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Week 4 - Challenges by Ms Thandeka

高級ステーキハウスで研修生を始めて約一か月、テンデッカちゃんはいよいよ4週目の金曜日に第一回目のテストを受けることになった。当初どうなることかと心配したり、ヤキモキしたが、4週目ともなると自ずと様子がわかってきて、残念ながら僅かな合格の可能性を感じることもなかった。週を重ねるごとになぜか研修時間は短くなって、2週目を過ぎたあたりから彼女は一日8時間働かずに帰ってきた。高級ステーキハウスも大家さんのツテだし無下にするわけにもいかず、なんだか「お客様扱い」のような感じがした。

ウエイトレスをいきなり目指さず、キッチンスタッフとして働きながらウエイトレスを目指すのはどうかとやんわり提案してみたが、チップで上乗せが期待できるウエイトレスと異なり、固定給でZAR5,000/月からスタートするキッチンスタッフでは高級ステーキハウスに通勤範囲でアパートを借りる予算が出せず、金銭的に成立しないとわかった。

ということは、ウエイトレスになるしかない。テストは最大二回受けられるので、一回目は万が一だめだったとしても何がどうだめだったのか結果より理由が大切だからマネージャーと話してね、と伝えて、その日私は、旅行に出かけるため空港に向かった。

数日後に自宅に戻ると、彼女は高級ステーキハウスで仕事をもらって帰ってきた。それはすばらしい成果で、大家さんと私は彼女のこれまでの頑張りを改めて労った。

が、ウエイトレスではなく、「クリーニングコンサルタント」という仕事だった。マネージャー曰く、「飲食業界で勤務経験のないテンデッカちゃんが短期間に全てのメニューを覚えるのは難しいと思うので、ちょうどクリーニングコンサルタントが辞めることになり、急遽ポジションが空いたのでやりませんか?」ということらしい。サラリーの提示額は、ZAR5,000/月だった。彼女はお話しをいただいたその場で引き受けることにしたそうだ。よくよく聞いたら、予定されていたはずのテストも受けていなかった。

随分とかっこいい名称のこのポジションは、要するにトイレ掃除だ。高級ステーキハウスには男女兼用で2つのトイレがあり、勤務時間中にトイレ掃除をする。高級ステーキハウスにひとりしかいないポジションで、クリーニングコンサルタントが勤務していない時間帯は、他のスタッフがお互い協力して掃除するシステムらしい。

テンデッカちゃんの挑戦は続く。



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