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Salary - Challenges by Ms Thandeka

こうして高級ステーキハウスでクリーニングコンサルタント(トイレ掃除)として働き始めて約一か月、テンデッカちゃんは、いよいよ初めてのお給料日を迎えた。

大家さんから聞くところによると、サラリーの総額はZAR5,220/月。あれ、なんかちょっと提示額(ZAR5,000/月)より多くない?と思った。前職のサラリーはZAR4,800/月だったので、僅かとはいえ増額にも見える。

しかし、実はこれ、増額でもなんでもない。彼女が勤めたその月の南アフリカの最低賃金はZAR23,19 per hour(1ZARが約8円だとすると約186円/時給)で、彼女の勤務時間は合計225時間。つまり、高級ステーキハウスは彼女のシフトを入れすぎてしまった分、最低賃金を割り込まないように調整を掛けたと想像できた。サラリーが増えたように見えたのは労働時間が増えたことによるものであり、彼女の時間当たりの賃金は変わっていないかむしろ悪くなっている可能性がある。ポジティブな面は、この金額にチップが上乗せされるということ。好調な滑り出しをみせたチップだったがグッドラックはそう長くは続かず、とはいえ合計でZAR1,000/月ほどになった。

ちなみに、高級ステーキハウスのステーキの値段は先進国と変わらない。フィレステーキを300gも食べたら5,000円にもなろうかという価格設定である。なんならウエイトレスの接客もフレンドリーで気遣いもすばらしい。売値は先進国水準で、労働力は途上国水準。つまり、南アフリカで「雇う側」と「雇われる側」の経済的な格差はこうして生まれるのだと理解した。

テンデッカちゃんと出会ったことをきっかけに、この国のサラリー事情が気になり、いろいろな人にさりげなくサラリーについて教えてもらった。近所のネイリストのお姉さんはZAR10,000/月、私の通うビジネススクールのレストランを仕切るマネージャーもZAR10,000/月、大家さんの会社の新卒のインターンシップがZAR7,500/月からのスタートだった。南アフリカでZAR10,000/月 (約80,000円)の収入を得るということはなかなか大変なことだと感じた。

テンデッカちゃんの挑戦は続く。

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