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Back home - Challenge by Ms. Thendeka

テンデッカちゃんが私のお隣の部屋から、近所のアパートへ引っ越していってちょうど2ヵ月、テンデッカちゃんは、来週故郷の村へ帰省を予定しているのだとうれしそうに話してくれた。クリスマス休暇に故郷の村で家族で過ごして以来、高級ステーキハウスでかれこれ6ヵ月くらい働いて、その間に子供であるピオちゃんにも会っていないし、家族が恋しいので一週間休みを取ったんだよね、みたいな感じだった。

うれしそうなテンデッカちゃんのプランに水を差すのも憚られるのだけど、一週間休みを取るということは、例えば4週間/月で計算したとして、収入が4分の3になるということを意味する。彼女の収入はR5,200/月(=JPY41,600)なので、つまりR3,900/月になる。もちろん、ヨハネスブルグから彼女の故郷の村まで片道7時間の道のりで交通費もそれなりにかかり、往復でR1,200するらしい。4分の3の収入から往復交通費と仕送りのR1,500/月を差し引くと、残金はR1,200。他人のお財布事情を心配するほど私も余裕はないのだけど、果たして生活していかれるのだろうか・・・。

このプランに心底落胆したのが彼女をこれまで全面的にバックアップしてきた大家さんだった。実は彼女の毎月の家賃は、大家さんが厚意で全額支払っており、職場である高級ステーキハウスに徒歩で通えるようにと大家さんが探してきた物件は、家賃がR6,000/月。彼女は収入の115%の金額の物件に住んでいることになる。

大家さんはいつも、自分は資金提供に何かに喜びを感じているわけではなく、あくまでテンデッカちゃんとその子供のピオちゃんの将来のキャリアを創っていくために投資しているので金銭的な援助を永遠にすることはできないよ、とテンデッカちゃんに説明しているのだけど、この帰省のプランを見る限り、もしかしてあまり響いていないのかもしれない。

「もし本当に仕事を休んで帰省するのであれば、今後家賃の肩代わりはしない」

大家さんはテンデッカちゃんにきちんと立場を伝えたと、とても残念そうに話していた。

テンデッカちゃんが凄いなと思うのは、彼女はそれでも帰省を諦めなかった。大家さんに「故郷の村で畑仕事で疲れている両親をたまには手伝って休ませてあげたいので帰ります」と言って帰省していったそうだ。そして、大家さんは、翌月以降の家賃の肩代わりを終了した。

彼女のロジックは私のロジックとは全く異なっている。帰省をやめて支援を受けるのか、帰省を選択する彼女の価値観を尊重するのか、何が正解で何が不正解ということでもない。国際協力や社会貢献というコンテクストで考えたときに、正解も不正解もない問いに対して、どういうロジックで誰のための何を目指すのか、すごく難しい。

テンデッカちゃんの挑戦は続く。





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