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大好きなSinger-SongWriterシリーズ・真部修一

僕には大好きなSinger-SongWriter(SSW)がたくさんいます。
ちょっと気の向くままにその一人一人について少しずつ記していきたいと思っています。

ではまず最初は真部脩一さんから。
僕が彼を知ったのは、バンド「相対性理論」のメンバーとしてでした。

彼は大学の頃に加入した進行方向別通行区分というバンドから音楽活動をスタートさせていますが、やはり多くの人たちに知られる様になったのは相対性理論を結成してからでしょう。

僕が相対性理論を知ったのは2008年。どこかのレビューを読んでこれいいかもと思って『シフォン主義』という音源を買いました。これはちょっとした衝撃でした。『スマトラ警備隊』に『LOVEずっきゅん』。

『スマトラ警備隊』

『LOVEずっきゅん』

もちろんそれまで聴いてきたポップス・ロックの範疇のもので、下手したらレトロな範疇ですらあるんだけど、なんと言えばいいんだろう、解釈・接し方というかアプローチが結構違って聴こえて新鮮でした。

曲のクレジットを見ると、全曲作詞・作曲:真部脩一。
この人の活動は今後ずっと追っていこうと、その時強く思いました。

この『シフォン主義』の自主制作盤リリース時、彼はベース歴がわずか1か月だったという話。凄いですね。やはり相性、適正ってのはありますね、世の中に。職能として。


続く2nd Album『ハイファイ新書』

このアルバムで完全に信者って言っていいレベルで惚れてしまいました。全ての曲が好きです。今でもよく聴きます。相対性理論に出会ってからは、好きだけどちょっと聴かない時期があった、とかは無くて、なんだかんだで出会ってからずーっと聴いてますね。特に自宅から駅までと電車に乗ってる時、移動中によく聴きます。

言葉遊び豊かでシュール、新鮮なコンビネーションの歌詞選び・並びの展開と濃密に癒着したメロディそしてアレンジも本当に素晴らしく、一気に虜になりました。シャレてるんですよ。気が利いてるんです。ふふふ、って微笑する様な時もあるし、自分の生活と照らして色々考えちゃう時もあるし、日々繰り返し聴いてると深く同調して入ってくる様になりました。

相対性理論『テレ東』

相対性理論『品川ナンバー』

相対性理論『さわやか会社員』

相対性理論の「テレ東」という曲を書いたとき、人生で一度だけ「曲が降ってくる」という体験をした。何の気なしに鍵盤を弾いていたらイントロから最後まで一気に書き上げてしまったというその体験が、自分の中ではとても大きく、モチベーションの拠り所になっている

とてもいい話。


そして3rd Album『シンクロニシティーン』

これは更なる決定打で、正に名盤だと思います。
これに思い入れの強いファンも多いんじゃないかな。

4曲目『チャイナアドバイス』とか7曲目『マイハートハードピンチ』とか特に好きですね。

この頃になるとやくしまるえつここさんや永井聖一の作詞作曲における割合も増えてきて、そうした曲((恋は)百年戦争とか気になるあの娘とか)ももちろん好きなんですが、特に惹かれるなあと思ってクレジット見ると真部さんだったり。いずれ、各アルバム全曲レビューというかその思いのタケを書いてみようとは思ってます。


相対性理論『チャイナアドバイス』

相対性理論『マイハートハードピンチ』

そして2012年、真部さんは盟友・西浦謙助さんと共に相対性理論を脱退。
まあバンドですから、理由はさまざまでしょう。

僕も昔バンドやってたのでそれもよくわかります。
そしてそのバンドメンバーがその後どういう人生を歩んでいるのか一切知りません。そういうものだと思ってます。バンドとかチームとかそういうものは。


真部さんはその後、ハナエさんという女性歌手のプロデュースをしたり

ハナエ『神様はじめました』


非常にコアで濃厚な才能が集いコアなライブを繰り広げる日本が誇るカルト・アヴァンバンドVampilliaに正式加入(2013年)したりして、BiSや戸川純をボーカルに迎えた「bombs」シリーズにおいて作詞と歌メロを担当しています。


戸川純さんが歌うこの曲とか、まさに真部修一節って感じですね。
大好きです。こうした普遍的なカタルシスを抱かせる才能なんですよねえ、改めて。

Vampillia - lilac (bombs 戸川純 )

「相対性理論脱退後はバンドはもういいという気分になっていた」

らしいのですが、

「1人だけで仕事ができる状態になると自分以外の要素から生まれる別の音楽をやりたいと思うようになって始めた」

2017年、集団行動を結成。

集団行動 『ザ・クレーター』

「言葉遊びを多用したシュールで独特のワードセンスを持ったどこか感傷的な歌詞を、ペンタトニックスケールを多用したオリエンタルで中毒性の高いメロディーに乗せる真部が作り出したポップミュージックの新しい方程式」

まさにこの言葉の通りの展開で、Voが変わっても真部さんの曲の癖はそのままに存分に発揮されています。並びの妙、良き濃厚な、批評性の高い音楽リスナーとしての真部さんのセンスが、気持ち良さを如何なく発揮されその時間は憂鬱から逃れる、そんな感じがします、僕にとっては。


彼の作曲の特徴としてはいわゆるペンタトニックが効果的に印象に残る形で使われてることだと思います。ペンタトニックとは五音音階のこと。「ドレミソラ(CDEGA)」という5個の音を並べ替えて作られます。1オクzーブに5つの音が含まれる音階。世界各地の民謡とかでよく使われてますね。

真部さんは本当にペンタトニックの使い方が上手い。
彼の曲を聞いてると東京よりは西の方、南の方の地方を旅をしてる気分になってきます。

でもここがポイントだと思うのですが、彼の作る曲は古(いにしえ)の民謡臭くならないんですね。その歌詞で歌われてることは現代の都会の少女が普段から感じている気分、ペンタトニックとあの純真な歌詞、そのマッチングがいいのだと思います。


それ以外の活動としましては、西浦謙助さんと共にプロデュースした女の子2人組に「タルトタタン」というユニットがあります。

そのユニットの曲、これがもう! まさに真部節フル稼働って感じで、相対性理論のファンは、これ、やくしまるさんのVoだったなあ、とか妄想しちゃうんじゃないかなってモロなテイストで。

タルトタタン『恋するカレンダー』

うーん、凄い。これぞまさに研磨されたソングライターの才能、熟成された癖がいかんなく発揮された名曲かと。


最後に、彼が影響を受けた音楽という事で「私を構成する9枚のアルバム」という、前にTwitterとかで流行った企画の話。9枚ではなく3枚挙げられていましたが、全てブラックミュージックでした。これもまた面白いですね。漠然と、もっと英国のロックとか入るかと思っていたけど。

私を構成する9枚のアルバムという企画で、集団行動のメンバーで各3枚選ぶ事になり、初めて聴いた瞬間を覚えている3枚と前置きした上で、マイルス・デイヴィスの「Nefertiti」、プリンスの「The Gold Experience」、ドクター・ドレーの「2001」を挙げた。


本当に素晴らしいリリシストであり、メロディメーカーですね。
これからも真部さんの音楽の旅は魅惑のペンタトニックと共にずっと続く事でしょう。楽しく聴かせて戴きたいと思っています。

それではまた。


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