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880円+10年前の低スペックPCで、マンガ動画を1人で作る方法

日頃、こんなマンガ動画を作って、YouTubeやnoteにアップしております。

1.はじめに

noteの投稿コメントで「マンガ動画の作り方を教えてください!」ってコメントがあったので、「え?そんなのネット検索すれば出てくるんじゃね?」って思って検索してみたら…

あれ?無い?マジか…(汗

いや、あるんですけど、無いんです。
どういうことかというと、私のような作り方を解説しているページが無いんです。

試しに「マンガ動画 作り方」で検索してみてください。

どのHPも、脚本家、漫画家、声優、動画編集者、プロデューサー、そして高価なペイントソフト(Adobeのイラレやプレミアプロ 3万円/年)と、クリエイターパソコン(15万円)が必須って感じで書いてある。

マンガ動画1本作製するのに、それなりの絵師や声優に外注したら、費用が20万円ぐらい。10本作ったら、200万円じゃん。それに先ほどのPCやソフトの初期投資。

めっちゃ高い…(==;
こんなの投資目的なら絶対回収できない…

この私の記事では、「880円+10年前の低スペックPCで、マンガ動画を1人で作る方法」をご紹介します!


2.準備するもの

【パソコン】
まず、私がどの程度のパソコンを使っているか。

当初はCore i5(第4世代)、メモリー4GB、グラボも10年前のもの。今ならメルカリで中古で2万円ぐらいで手に入ります。クリエイターPCなんて使ってません。

現在少しグレードアップして、CPUをCore i7(第4世代)に載せ替え、メモリーも8GBにしています。グラフィックボードもGTX1050を追加。全パーツはハードオフのジャンクで調達。(ジャンクなので、組み上げるにはPCのスキルが必要ですが。)

【漫画家】
私は絵は一切書けません。ましてや外注なんてしたらいくらかかるやら…
しかし、マンガを描くソフトがあるのです。

コミPo! ~絵を描かなくてもポッとマンガがつくれちゃう!~
これが驚異の880円!

基本、パソコン以外にお金をかけるのは、ここだけです。
もちろん、いろんな服を着せたい、キャラクターを増やしたいってのがあれば、もう少しここにお金をかけます。私の場合は、ビジネス系のキャラクターや小物が欲しかったので、それを追加購入(1320円)しています。

私は初期の頃に買っているので、1万円ぐらいで買いました。それが今や880円ですからね…価格破壊もいいとこです。

ここがミソなのですが、このソフト、10年前のソフトなんです。だから10年前のPCでも十分ってこと。

【声優】
外注する気はない。理由は簡単。いろいろ面倒だから。
どうしても他の人に頼めば、そのやり取りだけで時間がとられる。もちろん費用も発生する。

え?「自分の声を当てたらいいんじゃね?」だって?
バ美肉おじさん(ーチャル少女Youtuber受)をしろと?

声を変換するソフト(ボイスチェンジャー)などもありますね。
これね、実は大変。声優さんってすごいなって思う。
だって、原稿を心を込めて読むんですよ。棒読みじゃだめ。
だから、あきらめました。(やったのかい!)

そこで、私はCeVIOを使って音声を作成しています。これは無償トライアル版があった時に「使い勝手がいいな」と思っていたんです。あと、パッケージ版は3人の声が入っていて、1万5千円ぐらいでした。

いまだともっと安く手に入りそうですね。1万円ちょっと。1人当たりのコスパは、ボイスロイドよりもいいです。ボイスロイドは少しお高め。でもYoutubeではボイスロイドの方をよく見るかな。

「おい、880円じゃ収まらないじゃないか!」

そうですね。じゃぁ音声部分を無料で行う方法。

1つはCoeFontを使う。

これ、すごいですよ。この音声で、調整ができて無料っておかしいです。
つい最近でてきたものです。2種類のキャラの声が使えます。発音の調整までできる。最強です。

PCのスペックが良いなら、VOICEVOXCOEIROINKなどもいいですね!
最近はキャラが増えてきて、充実してきています!
ただ、結構パソコンパワーを使うので、古いPCだとキツイですね。

もう1つは、一般的(?)な機械音声を使う。
テキストーク(いわゆるゆっくりボイス、OpenJtalkが使える)
Balabolka(Microsoft、Google、IBMの機械音声(TTS)が使える)

もし、自分の声に自信があるなら、ご自身で吹き込むのもありかと。そうするとコンデンサーマイクが必要ですね。安いのはダメ。ノイズが入りすぎ。安くても5千円ぐらいのを買いましょう。

【動画編集者】
わたしは動画編集にはAviUtil使ってます。ゆっくりムービーメーカーでもいいですね。ゆっくりボイス使うなら、さきほどの音声作成はゆっくりムービーメーカー内で同時に作成できます。そういう意味では便利。マンガ動画なら、ゆっくりムービーメーカーだけでも十分かも。もう少し細かい動画編集をしたいならAviUtilを使わないとダメですね。

AviUtilは、無料の動画作成ソフトとしては最強なのですが、いかんせん操作がむずい。パソコン初心者だと戸惑います。いろいろできるがゆえに…ですね。

有償ならAdobeのPremiere Proを使っている人が多いかなぁ。

本当に最初の最初は、Windowsに標準で入っているソフトの「フォト」の動画作成機能を使っていました。いわゆる写真をつなげて音楽や効果を入れる、卒業や結婚式とかで流れるスライドショーの機能ですね。マンガ動画なら、パワーポイントでもできちゃうと思います。動画作成ソフトじゃないので、使い勝手はお察しの通りですが。

【脚本家】
そんなの、自分で書きましょう。文章を書くスキルは必要ですね。

【プロデューサー】
そんなの、自分でやりましょう。マーケティングのスキルが必要です。

ここまでが、事前準備です。
ね?パソコンがあれば、最低額880円で1人で始められるでしょ?

では、具体的なマンガ動画制作過程についてお話していきましょう。


3.マンガ作成

●脚本パート
まずは脚本です。話の大筋を決めます。
メモ帳でもExcelでもMindMapでもなんでもいいです。

私は小説を書く才能はないと思っています。ただ、子供時代は、本を読むのは大好きな少年でした。休日になると、市の図書館へ行って、本を読んでました。子供向けの推理小説とか、科学系の本とか、パズルやクイズ、だまし絵とか。ショートショートの神様である『星新一』の作品は全部読んだかな。この影響なのか、必ずマンガの最後にオチをつけるようにしていますw

本の嗜好からもわかる通り、「論理的な思考をするめんどくさい子供」だったと思います。

なので、私の書くストーリーも、どことなく理詰めだったり、論理的だったりするのかなと思います。もうちょっと、エモい、感情を揺さぶるようなものを書きたいとも思うのですが、残念ながら恋愛小説は読まなかったのでw

んで、脚本ですが、たいていは脚本通りになりません。(==;
この後のマンガ作成で、キャラが勝手に動くのです。いや、ホント。

●マンガパート
最近は、しっかりした脚本書いても無駄になることが多いので、方向性だけ決めてコミPo!でマンガを描き始めます。起承転結だけかな、決めるのは。

気が付いた人もいますかね?
私のマンガ動画、本のマンガと異なり、キャラクターの配置がYoutube動画向けになっています。

1つのコマに真ん中にドンとキャラがいる。これがベースです。
いわゆる「下手くそなマンガ」ってやつです。

なにせ、スマホ画面というサイズで、マンガを見せる必要がある。
紙のマンガ本のようなコマ割りをしてはいけないのです。
1コマは長方形固定。この枠内に情報を入れるのです。

そして、起承転結に合わせてキャラクターたちがこの場面だったら、なんて言うかな~って考えて、セリフだけをコマに入れていきます。キャラの配置はしません。いわゆるネームってやつですね。これで1話分最後までセリフだけを入れます。

私の場合、1話で25枚~30枚。これでだいたい動画にすると6分です。1枚の絵が再生されるのは10秒~12秒ってとこですね。

話の流れが良さそうなら、これにキャラクターを入れていきます。できあいの3Dのキャラクターをぐりぐり動かして配置するって感じで、簡単に作れます。

キャラクターを入れたら、今度は背景を入れます。絵によっては背景に合わせたキャラのサイズってのもありますね。先ほどのキャラも微調整していきます。

ようは、
 セリフを入れる ⇒ キャラを入れる ⇒ 背景を入れる
と作業をまとめて、同じ作業を連続して行うようにしています。最初は1コマ1コマ作っていました。1コマでセリフ、キャラ、背景。また次のコマでセリフ、キャラ、背景…

…ですが、作っている途中で、話の方向性を途中で変えたくなることがあります。そうすると前のコマも変えないといけなくなります。二度手間です。なので、セリフだけ、キャラだけと、まとめて作業をしています。

そして、これを画像ファイルとして書き出します。30枚でも5分もあれば書き出せるかな。ただし、これ、マンガの本の紙向けのサイズなんです。Youtube向けのサイズじゃないのです。

画像1

なので、こんな感じでベース(1枚)を作ってあり、青い枠線内を画像ファイル化した後で、余分な下の部分をカットします。マンガ動画の解像度は1280×720です。マンガ動画ならこの程度の解像度で十分。

つまり、この30枚の画像のサイズ変換が必要ってことです。私はImage Tunerってのを使ってます。英語ですが、まとめて複数の画像ファイルを変換することができるソフトです。

このマンガパートの作成時間ですが、セリフとキャラ入れ、背景入れ、全部で6時間ぐらいかけます。1分の動画あたりの作業時間は1時間ってとこですか。1枚の絵に12分ですかね。

脚本の方向性があいまいだと、セリフのパートは長くなり、セリフだけで1日をかけることもあります。集中できると、あっさりできたりすることも。キャラと背景は単調な事務作業なので、作業時間はほぼ固定です。


4.音声を入れる

●機械音声パート
マンガができたら、今度は音声作成です。
CeVIOを使います。

まずは、マンガからセリフを抜き出し、メモ帳に転記します。
そのテキストデータをCeVIOに入れます。コピペで一気に。

その後、各キャラクターの声に変えて、音程や発音の変な部分を探し、音程の修正します。そしてwavファイルで出力をします。他の機械音声ソフトでも、同様です。

この際に、全部のセリフを1つのファイルにするか、セリフごとに1つずつ切り分けるかの選択がありますが、1つずつに切り分けることをお勧めします。後にセリフとセリフの間隔を動画作成時に調整します。これだけでも雰囲気や感情を表せますので。

セリフを1つのファイルにすると、全ての音声の間隔が同じになり、単調になります。これを動画作成時に無音部分を見つけて切り分けて…ってするなら、最初から切り分けておいたほうが良いです。

知っている方は「切り分けると動画作成時に多くのファイルを扱うことになるから、わけない方が良いのでは…」って思うでしょう。それについては後述します。

この機械音声の作業で2時間ぐらいでしょうか。

●声優パート(自分の声でする場合)
自分の声で吹き込みたいって人は、コンデンサーマイクで録音して、Audacityでホワイトノイズを取ります。その後、恋声にて声質を変えて、キャラの人数分の声を作ります。

なお、恋声を使えば、CoeFontのような女性の声しかないものでも、男声にできますし、1つのキャラの声から、数人のキャラを作ることができます。

ですが、かなり音声ファイルの知識が必要になります。
もちろん、声優としてのスキルも必要です。発声方法とかね。
これやると、とんでもない時間がとられますよ…沼です。何度やっても満足できるものができず、私はあきらめたって感じです。


5.動画作成

●動画基礎構成作成パート
ここまでで、部品ができあがったので、後は組み上げます。
画像ファイル、音声ファイルをAviUtilへ順番に放り込みます。(AviUtilの使い方を解説しているHPはあちこちにあるので、そちらを参照。)

この画像や音声を放り込む作業も実はけっこう面倒。
画像は30枚程度なのでいいのですが、特に音声は面倒。画像1枚で4つのセリフだとすれば、120個ぐらいの音声ファイルがある。

私はExcelVBAのマクロを使って、ある程度自動的に放り込むようにしてあります。かなり効率的になりました。これが、音声ファイルを切り分けても、そんなに大変ではない理由です。

●BGMと効果音パート
画像と音声をいれたら、効果音を入れます。所々に電話音とか車の音、足音、レーザーの音(!?)などを入れていきます。これを入れすぎると逆にうるさくなるので、ほどほどに。効果音ラボさんがお勧め。

そして、BGMを入れます。各場面に合わせて、明るい曲、暗い曲、解説の曲、のんびりした曲…YouTubeのオーディオ ライブラリ(無料)から良さそうな曲を探しています。こちらにも効果音はあるのですが、英語なので、イマイチ探しにくい。

歌もの(挿入歌)は魔王魂様です。歌だけではなく、効果音やBGMもあります。

そして、マンガ動画の最大の利点、字幕不要なんです。
実はこれは大きい。動画に字幕入れるのはとっても大変。
ほんと、すんごくめんどいの。機械音声ならまだ楽ですけどね。肉声だと、もう文字起こしが大変。最近では自動で文字起こしをしてくれるソフトが出てきていますが、発声がきれいでないとちゃんと認識してくれないです。

●動画書き出しパート
ここまでできれば、あとは動画書き出し。
基本、AviUtilの動画書き出しはCPUが使われます。なのでグラフィックボードはあまり関係ありません。グラフィックボードは最低限ですませ、いいCPUのパソコンを買いましょう。

とはいえ、私の環境の場合は、CPUよりグラフィックボードの方が性能がまだましなので、グラフィックボードに動画を書き出させています。そもそも紙芝居の動画ファイル化なので、そんなに動画書き出しの時間はかかりません。2分ぐらいかな。

これが動きがある動画だと、結構時間がかかります。10分の動画ならこの低スペックPCだと、動画再生と同じ程度の時間がかかると思ってください。解像度によっては、動画再生の2倍3倍の時間がかかります。

そして、出来上がった動画を再生して、違和感のある部分を修正します。
声の音程がおかしかったり、キャラの向きがおかしかったり、追加で効果音を入れた方が良いと思ったり。何度もチェックするので、3~4回同じ動画を見ることになります。

この動画化の時間は、今はかなり効率的になったから2時間ぐらいかな?
最初のころは相当時間がかかっていました…


6.本当に大事なものは?

後は出来上がった動画をYouTubeにUPして終わりです!

ということで、880円+10年前の低スペックPCで、マンガ動画を1人で作る方法をご紹介しました。

トータルの時間は…
 ・マンガ:6時間
 ・音声:2時間
 ・動画:2時間

10時間ってことですかね。スムーズに進んでこんな感じです。
ストーリーに詰まると、1日かけてネームがやっとできるなんてことも。

動画投稿開始した当初は、この倍の時間をかけていました。6分程度の動画に20時間です。少しずつ改善をしてきて、やっと10時間ぐらいに納まるようになってきました。

効率化でき、少し余裕ができてきた2年目は、週に2本作ってました。土日で1本。月曜~木曜で1本って感じ。いや、これは結構きつかった。新しいことを生み出す時間が取れませんでしたね。


★ 最後に、ここまで話に出てきていないことを付け加えます。 ★
ディスプレイはFull HDの24インチが3枚です。どこのデイトレーダーですかって感じです。動画の素材を放り込んだり、動画の素材を修正したりするのに複数ディスプレイはとても便利です。

私は電源の入らない壊れたジャンクディスプレイをもらって、基盤のコンデンサー交換(500円)をして使ってます。

きっと、私はマンガ動画なんかやるより、ジャンクPC動画を作った方が、絶対にYouTube伸びます。自信あります(ぉぃ

自信がある理由は、需要があるって知っているからです。

そう、実は大事なのはプロデューサー

何を誰にプロデュースするのか。自分が作った動画を見てもらいたいんですよね?それについての戦略はこちらの記事にて紹介しています。ご参考までに。

結局、ヘタクソな絵でも、ひどい声でも、内容が良ければ受け入れてもらえます。もちろん、絵は綺麗な方が良い、声も上手な方がいい。動画編集だって洗練されている方が良い。

でも、それはただのスパイスでしかありません。本質じゃないのです。
綺麗な絵で、有名声優を起用して、キャラがヌルヌル動画内で動いて、洗練された文章や音楽でも、ダメなものはダメです。

本質に魅力がないと何をしてもダメなんです。

感動を生む。心を動かす。
お客様が、視聴者が何を求めているのか。
そこに対して、自分は何を提供できるのか。

ツールなんて、どうでもいいんです。だから外注できるんです。自分でなくてもできる。魂が無くてもできるので。どうにでもなるって言ったほうが良いですかね。

映画やドラマ、アニメでもそうでしょ?何億円もかけたものが全然ヒットしないなんてざら。何だったら「カメラを止めるな!」みたいな製作費三百万円の映画が大ヒットすることも。本質を押さえることだどれだけ大事か。

なんだったら、いらすとやの絵を使い、棒読みの機械音声だけでサクッと作る。それでもいいものは作れます。例えば、Fラン大学就職チャンネルさんとか。本質が秀逸です。

本家のマンガ家さんだって、こんなものをつくっています。
100万の命の上に俺は立っている(ワケあり無料版)

結局、本質に魅力さえあれば、ツールはどうでもいい。

ということですよ。(^^)

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
少しでもマンガ動画を安く作りたいって人の参考になれば幸いです!


<おまけ>
そんな私がエモいのを作ろうとして失敗したチャンネルはこちらw


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