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シネマクティフ東京支部の2019年上半期ふりかえり(座談会書き起こし・その6)

2019年下半期の期待作

ronpe 「最後はけんす君からのお題、2019年下半期の期待作 です。ではmatsuさんから」

matsu 「はい。ふたつあったんですけど、原作を読んだ映画というテーマで考えまして」

まる 「へー」

matsu 「ひとつが『ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ』です。これ日本公開決まってないかもしれないんですけど。映画.comだと10月公開ってなってますね。監督がジョー・ライト、出演がエイミー・アダムス」

まる 「おー」

matsu 「あと『オーヴァーロード』に出てたワイアット・ラッセルが出てますね。簡単に話を説明すると、主人公が家に引きこもっていて、近隣を覗き見るような生活を送っているんですよ。それで僕がなんでこの作品を期待してるかというと、話の中にたくさん映画が出てくるんですよ」

けん 「へー」

matsu 「主人公が映画を見るのがすごい好きで」

けん 「あぁ家に引きこもって見てると」

matsu 「はい。とくに古い映画が好きで、ヒッチコックとか見てるんですよ」

けん 「じゃあめちゃくちゃ『裏窓』っぽいですね」

matsu 「そう『裏窓』なんですよ。モチーフも。その他にもいろいろなところに映画のモチーフが散りばめられているし、作品の中に映画も出てくるし」

けん 「面白いですね」

matsu 「それが映画化されてどういうふうに描かれているかという」

けん 「じゃあ、原作にある要素ってことですよね」

matsu 「そうですね。だから映画はちょっと違うかもしれません」

けん 「なるほど」

matsu 「それで本の最後に登場する映画リストなんかも付いてたりして」

けん 「いいですねそれ」

matsu 「60作以上紹介されていますね」

まる 「わーすごい」

matsu 「ストーリー的にそこまでじゃないかもしれませんが、どう映画化されているかが楽しみです」

けん 「ちなみにジョー・ライトには『ストーナー』の映画化企画もあるんですよ」

ronpe 「あ、けんす君好きなやつ」

けん 「そう、『ストーナー』の小説は人生ベスト級に好きなんで、そちらも楽しみです」

まる 「もう一作は?」

matsu 「あともう一作は日本映画で『マチネの終わりに』です」

まる 「あ、福山?」

matsu 「そうです福山(雅治)です。平野啓一郎なんですが、この本を映画化するのすごい難しいと思っていて」

ronpe 「純文学ですよね」

matsu 「純文学だし、作家の力がとても大きい作品だと思うんですよ。描き方によっては本当につまらない映画になりそうなんですけど。最近、平野さんが試写を観たらしく面白かったと云っていたので楽しみです」

ronpe 「じゃあ次はまるゆさん」

まる 「私は10月公開予定の『ドリーミング村上春樹』という作品です。村上春樹作品の翻訳を手がけるデンマーク人翻訳家を追ったドキュメンタリですね」

けん 「へー」

まる 「面白そうでしょ」

ronpe 「つい最近、映画関係のニュースサイトでも話題になってましたね」

まる 「この翻訳家の方、日本語から直接デンマーク語に翻訳してるらしく、けっこうめずらしいみたいなんですよね」

けん 「あー、英語からじゃないっていう」

まる 「そういうことだよね。すごい楽しみです」

けん 「けっこう技術論的な話が面白そうですね」

ronpe 「じゃあ次は僕ですが、まぁとくに去年あたり大注目のA24」

まる 「おー」

ronpe 「今年も『荒野にて』とか『魂のゆくえ』とか、配給作で良かったのはありましたよね。でも製作作品で何か観たいというのがありまして、ホントはここでアリ・アスターの新作『Midsommar』を挙げたいんですけどまだ日本公開日は決まっておりません。なので他のA24の製作作品から考えまして、9月20日公開『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』です」

まる 「ふーん」

ronpe 「これの監督はボー・バーナム監督、初監督作品で青春もの。同じ青春ものでA24作品だと『レディバード』を思い出すんですけど、こっちはおそらく日本でいえば中学生、より若い主人公の話ですね。あまり詳細は調べていませんが、僕は今後もA24作品は追っていきたいので本作も期待しています」

まる 「うん」

けん 「なるほど」

ronpe 「じゃあ次はけんす君」

けん 「はい。一番楽しみにしているのは中川龍太郎監督という『四月の永い夢』の監督の新作で、『わたしは光をにぎっている』という作品です。12月の公開予定になってるんですけど、まだティーザーが出たぐらいですね。『四月の永い夢』が去年とてもよくて。中川龍太郎監督は僕と同い年なんですよ」

ronpe 「へー」

けん 「だからなのか、『四月の永い夢』の主人公も自分と同年代で、作品が描いていることにも親近感があって近い感覚があるんですよ」

ronpe 「僕がジェームズ・ワン(同い年)に感じてるみたいな…」

けん 「ジェームズ・ワンの作品に親近感?」

ronpe 「僕がネメシュ・ラースロー(同い年)に感じてるみたいな…」

けん 「すごい大きいところ出してくるじゃないですか(笑)
でも日本映画、最近は商業映画デビューみたいなものがちょっと変わってきた感じがあって。作家性をねじ曲げないで商業にいった人が出はじめてる感じがしていて。その流れが続いてほしいと思っていて。今年下半期で云えばあと『宮本から君へ』とか。あと深田監督とかもそうですけど。その新しく出てきた監督たち、その中でも中川監督はとても期待している監督です」


はい。以上でシネマクティフ東京支部による2019年上半期ふりかえり座談会の書き起こしは終わりです。ゲスト参加のけんす君に感謝。座談会はまた年末にやりたいです。

text by ronpe

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