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女子プロ新時代と上谷沙弥

前回は”今”の女子プロレスの流れをダイジェスト紹介しましたが、
今の女子プロレスラーの象徴と人気の秘密、
そして、僕の推し選手について解説していきます。

今の女子プロレスの一番の魅力、それは”華やかさ”です!

選手1人1人のルックスも良くなり、
コスチュームも個性とこだわりが詰まっていて、めちゃくちゃオシャレでカッコいい。(事実、初めてみる女性の多くはそのカッコよさや試合の躍動感に感動するケースが多い。)

そんな現代女子プロレスのアイコンが前のnoteでも書いた”岩谷麻優”
スターダム一期生であり、何もできない普通の女の子がトップレスラーになれることを体現したまさにアイコン的存在。
愛嬌がある可愛い笑顔、天然が滲み出る天真爛漫なキャラクター、咬み咬みのマイクパフォーマンス、プロレスラーとは思えない体形(かなり細み)などなど、2010年代以降の女子プロレスラーの代表であり、今の女子プロ人気を支える男性ファンの憧れ。(推しでなくとも、麻優さんを嫌いなファンはいないと思います。)

そんな岩谷麻優のでデビューから時が経ち、
2019年8月にデビューしたのが同じくスターダム所属の
ゴールデンフェニックス”上谷沙弥”

LDH運営のダンススクールEXPG出身で、世界ダンス大会で上位入選、
その後バイトAKBとしてアイドル活動も経験。
ただそれ以上は、アイドルとしては芽が出ず、プロレスもやるアイドルを募集していたスターダムに応募し、なし崩し的にプロレスラーとしてデビューすることに。。

持って生まれた類まれな運動神経、そこにダンスで培った運動能力、
そしてアイドルとしては大きめな身長(168cm)も大きな武器となり、
デビュー初年度からスターの片りんが随所に。見事新人王を獲得。

バイトAKBに選ばれるくらいのルックスに、運動能力を活かしたダイナミックな戦いは初見の人にもわかりやすい派手なプロレスが彼女の魅力。
特に見て欲しいのは、現在の女子プロ界では彼女のみが使い手であり、代名詞でもあるフェニックス・スプラッシュ。
実際会場で見られた時のお得感は凄いです。

2021年12月には、スターダムの二大シングルタイトルのうちの一つ、
ワンダー・オブ・スターダム王座(通称:白のベルト)を戴冠。

そんな彼女のベストバウトTOP3はこれだ!

3位 VS ビー・プレストリー 2020.9.28 @後楽園ホール
2位 VS 白川未奈         2022.9.13@後楽園ホール
1位 VS ひめか       2022.8.21 @ドルフィンズアリーナ

全て生観戦しましたが、3位のビー・プレストリー戦は期待の新人から、トップ戦線へ躍り出るための試金石となった一戦。あっさりビーに片づけられる、そういう試合かと思ってみたら大善戦!
あの時の上谷が持てる力・技を全て発揮し、トップ外国人のビーをあわやまで追い込んだ激闘で、この試合が翌年のワールド・オブ・スターダム王座(赤のベルト)初挑戦につながった彼女にとって重要な一戦だったと思います。
そして、1位のひめか戦は、2022年の僕的ベストバウト。
恐らく多くのファンが上谷のベストバウトに選ぶであろう試合。
元々はKAIRI(現WWEカイリ・セイン)がワンダー王者の上谷に挑むタイトルマッチが組まれていて、KAIRIから戦前チャンピオンとしての資質を煽られまくっていた。
しかし試合数日前に、流行り病でKAIRIが棄権。
その穴を埋めたのが上谷と同じく黄金世代の一角でライバルのひめか。
サイズが大きくて、ルックス抜群の二人の対決は、KAIRIの体調不良のガッカリ感を補ってあまりある大熱戦!
舞台は、正直ガラガラのドルフィンズアリーナ(最大収容人数7,000人超に対して、1,000ちょい)。
事実、会場の寒々しさもあって、この日は真夏にも関わらず、
セミで組まれたこの試合まで、会場はすっかり冷え込み気味。
そんな中始まった二人の戦いは序盤からフルスロットル、
変幻自在の上谷の飛び技に対して、ひめかは得意のバワー殺法で対抗。
いや、むしろひめかの押せ押せムード。
ここ一番で、しかも受けられる相手にしか出さない、裏必殺技のジャンピングニーが炸裂!会場が歓声で揺れた!思わずウォッ!と声が出る!
そこからのランニングパワーボムと、あと一歩まで追い込まれた上谷が一瞬の間隙をぬった、リバース・フランケンシュタイナーからの抑え込みで勝利。
ひめかの攻めの強さが生んだ名勝負だったが、パワーファイターのひめかを退けたことで戦いの幅を見せつけた上谷沙弥。
(全ての試合がスターダムワールドで観られます。)
この年上谷は、一年以上に渡ってワンダー王座を守り続け、
あの栄えある有田プロレス大賞を獲得し、大躍進。

ここまで上谷選手を紹介したら、スターダム、いや女子プロレス会の顔になってるんじゃないかと思わる方もおおいかもしれません。

ただ、結論まだその地位にはたどり着いていません。

ルックス良し、技も華やか、タイトルも充分。

なのになぜ??そう思いますね。

それはズバリ、

プロレス脳が無い

この一点に尽きます。

なるべくわかりやすく説明します。

プロレスラーにとってリング上でのパフォーマンスと同じくらい重要なのが、マイクパフォーマンスです。

勝った後に、そして負けた後に何を語るか、伝えるか。

それによって、試合までに積み重ねられたストーリーが完成したり、
新たな展開につながったりと興行を締めくくる重要な要素です。

上谷選手のマイクは、何というか、それじゃない感が凄いです。

ファンが期待する一言を言わないだけでなく、
ん?どういうこと?何が言いたいの???みたいに、
お客さんを困惑させたり、唐突な大声でよくわかないことをアピールしたり、俗にいう空気が読めないんです。

流れやトレンドを意識した一言、過去の歴史をオマージュした一言など、あらかじめ用意することもできるし、空気が読める選手や何を仕掛けたら面白いかが感覚的に理解できている選手はアドリブでもファンの心を掴めます。
最早これも一つの才能です。

上谷選手は明らかに何かを伝えようと考え、一生懸命キャラを作ってマイクパフォーマンスを行うんですが、ほとんど外します。
最近はマイクを持つだけで、ファンのこっちがドキドキします汗

マイクとは違いますが、先日の林下詩美のスターダム最終マッチでのシングルも残り時間が少なくなっても、果敢に3カウントを狙うのが、ファンが見たい姿勢ですが、残り数秒でもエルボーを打ち下ろすだけで、タイムアップ。会場中から「う~ん。」という声が聞こえてくるようでした。
3狙って返されても良いんです。それでもタイムアップまで狙ってくれないと、なんかノレないんです。

ファンが自分に何を期待しているか、今ここでどんな行動を取ったら受けるか、それが体感的にわかると彼女はプロレス大賞を取れると思います。
ファンとしては、自信にあふれ、会場中を沸かせられる、
推される選手に一皮むけて欲しいと思います。

ただ本当にスターレスラーへのポテンシャルは素晴らしいし、
現在もスターダムで上位の人気を誇ってるのもまた事実です。

でも!

彼女のポテンシャルはこんなもんじゃないんです!!!

もっと感情を出して、遠慮することなく言いたいことを言い、
僕たちファンを感情移入させてくれ!

女子プロレス史に名前を刻むんだ上谷沙弥。

次回のnoteでは今見るべき天才レスラーAZMについて書きたいと思います。
読んでくれて、ありがとうございます。


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