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タクシー業界はライドシェアになぜここまで反対するのか。

ライドシェア解禁に向けて急速に動きがありますが、なぜタクシー会社は
こんなにも反対するのだろうか。
自動車業界に身を置くものとして、賛成派と反対派の意見をしっかりと把握しておくべく、それぞれの言い分をまとめてみようと思う。

「ドライバー・従業員と家族の生活を守るため、ライドシェアと称する白タク行為の断固阻止」-。演壇両脇にそう大書された垂れ幕が下がる中、協会の伊藤宏会長(神奈川都市交通社長)は会員や来賓を前に「私たちの今の思いを表している」と力を込めた。

https://www.kanaloco.jp/news/economy/article-1049509.html#google_vignette

ライドシェア解禁を謳う理由

主な解禁理由は以下を解決する手段となるからだ。

  • タクシー業界の人手不足
    タクシーの有効求人倍率は4倍近くと全産業平均の1.2倍から大幅に上回るほど人手不足の状況。原因としてコロナでの離職や外国人観光客の増加に伴う需要に対する人手不足もあるようだ。
    https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/taxi/work

  • タクシードライバーの高齢化
    タクシードライバーの平均年齢は60.7歳お全産業平均の43歳を大幅に上回る高齢水準である。自分は東京に暮らしているが、確かに高齢ドライバーのタクシーに乗り、途中で居眠りしそうになり蛇行運転をするドライバーにあたったこともある。
    そんな中で、個人タクシーの運転手の年齢制限は75歳から80歳まで引き上げるという政府方針もある。いくら人手不足といえど乗る側の不安がないといえば嘘になるだろう。
    https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/taxi/work

  • 特に地方では移動インフラが減り、移動が困難になっている
    免許返納者の移動手段がないことや、財政問題で公共バスの本数が減ってしまうこと、外国人観光客が地方にも来てくれることなど、地方の移動インフラ問題は顕著で、移動インフラを整備することは極めて重要だろう

そんな中で海外では最早当たり前のインフラ伴っているライドシェア、日本でできない理由は、自家用車を有償で運送用に活用することが法律で禁止されているからだ。
導入することでタクシー事業者としての参入障壁が低くなり、上記課題を解決する一助になることに加え、価格競争力が増し、タクシー運賃が安くなることもメリットとして挙げられるだろう。多様な働き方が認められている中で、副業としてタクシードライバーを選択する人も増えるだろう。

ここまで聞くと導入したほうが良いように思えるが、反対する理由としては、安全性の担保とかであろうか。講習やプラットフォーム側の管理により一定カバーできるのではないだろうか。

タクシー業界が反対する言い分とは?

国内でのタクシー営業開始から110年余りの歴史を引き「旅客の安全と良質なサービスで公共交通機関としての使命を果たしてきたが、落城しかねない危機が迫っている」とも言及。ライドシェアが全面解禁されれば「運賃の価格破壊を招き、業界にとって死活問題となる」と危機感をあらわにした。

https://www.kanaloco.jp/news/economy/article-1049509.html#google_vignette

北海道ハイヤー協会は、ライドシェアに反対しています。  「例えば乗客や運転手が襲われたら、誰が責任を負うのか。全部運転手の責任になる。安全と安心が担保されなければいけない」(北海道ハイヤー協会 今井一彦 会長)  札幌市ではコロナ禍前と比べ、タクシードライバーの数は2割減。平均年齢は63.2歳となり、人手不足と高齢化が進んでいますが、北海道ハイヤー協会は「目先の利便性よりも、安心と安全を優先すべき」と主張しています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5eb4e96eecd4efbcbc8a6689e218eed433c7db10?page=2

やはり、安心・安全の担保が一番の論点か。
また、重要なインフラとなっているタクシー会社が、価格競争等で倒産してしまう会社も出てくるのかもしれない。それ加えて、その後プラットフォーマー事由でエリアを絞ったりする(サービス提供をやめる)と、その町のインフラを担う会社がいなくなってしまう。そういったことを危惧しているのだろう。

一部解禁でスタート?

2024年4月から一定の条件の下で解禁される方針が決まった。
とはいえ、新しい制度では、タクシー会社の管理の下であれば、一般のドライバーが都市部や観光地でも有料で人を運ぶことができるようになった。
※具体的な内容については24年6月まで取りまとめがおこなわれるようだ。


結果的にかなりの制限が入るようだが、少しずつ解禁に向けて動いている状況だ。今後も引き続きwatchしていきたい。

今まで辛いときも頑張って支えてきたタクシー業界にとって、規制緩和により、自分たちの生活が脅かされることは非常に怖いし、やるせない気持ちもあるだろう。しかしながら、業界を取り巻く問題が深刻化している中で、果たして今のタクシー業界だけでこの問題を解決できるのだろうか?「否定より提案を」という言葉があるが、もしタクシー業界だけで既に問題解決できる道筋が見えているのであれば、しっかりと反対しソリューションを基に議論してほしいが、そうでないのであれば、ライドシェアにより救われる人も多くいるように思えるため、いい塩梅でお互いに寄り添い、日本を住みやすく、観光のしやすい街にするべく、建設的な議論をしてほしい。


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