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川西屋『隆 白隆』の酒屋違い呑み比べ会

23日(2018年9月23日)は2年ぶりに行われた、白隆会に参加。
白隆とは、神奈川県の足柄山のふもとにある蔵、川西屋酒造店の『隆 足柄若水(白ラベル)』のこと。 
ずら~と並んだ、白隆の生原酒、実はこれ、現在『白隆 生原酒』として売られている、酒屋さん違い(タンク違い)。
これを酒友の渡辺 徹さんの発案で、吞み比べしようというのが白隆会。
今回も、心米さんのご協力で、美味しいお料理と一緒に堪能させて頂きました。

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ラインナップは、頂いた順番に下記の通り。
青木商店  仕込み48号槽しぼり565,5Kg仕込み
横浜君嶋屋 仕込み26号
秋元商店  槽搾り限定酒(秋元厳選)
坂戸屋    仕込み5号の坂戸屋SP
岸田屋   27byの寝かせた仕込み16号の生原酒
坂戸屋  900日熟成
丹澤山   凛峰 山廃純米27BY

でも、同じ蔵の同じ若水でしょう?違いが判るの?
と思われる方もいらっしゃると思うし、私達も実際にやってみるまでは、『どうなんだろう?』と思っていましたが、 
川西屋さんのお酒は、酒屋さんがタンクを選び、自分が思うタイミングで売り出されるとのこと。結果は下記のとおり。


青木商店さんの白隆は、このラインナップの中では、一番香りが高く、吞み口はすっきりしているものの、若水の甘酸っぱさ、苦味、ピリピリとくる辛味など、味わいのエッジが立っていて、例えるなら、紅白歌合戦のトップバッターのようなイメージ。


君嶋屋さんのお酒は、情熱シリーズのイメージとは異なり、物静かなスタート。全体を通してすっきりしたところがあり、時間と共に徐々に開いて行き、吞み疲れないタイプ。鰆の炭火たたきとの相性がキレがあって、抜群に良かったです。

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秋元商店さんは、穏やかですが甘い香りが漂い、甘味と酸味、微かな辛みがあり、苦味は控えめ。可愛らしい優しさがある味わい。
私が川西屋さんの虜になるきっかけのお酒だけあって、自分によく馴染みます。


坂戸屋さんSPは、秋元商店さんより若干おとなしめですが、ミルキーさを感じる甘い香り。
味わいは、酸味が少し強めで、ちょっぴりヨーグルト味のチェルシー(或はヨーグルトキャラメル)を思い出すようなところが、微かに味わいの中に。


岸田屋さんは、かすかな米感に香りや味わいを構成するそれぞれがまろやかに馴染んでいる印象で、穏やかなはちみつのよう。
甘みに熟成の中に感じる酸味が、穏やかにまとまり、とうもろこしの天ぷらの甘みや旨みと重なると、少し官能的。
55℃でつけた燗と、生シシャモの天ぷらと一緒になると、シシャモの旨みと食感にお酒の柔らかで優しい味わいは寄り添い、丸く感じるシシャモの苦味は良いアクセント、添えられた、銀杏の苦味とも寄り添いながら、お酒の甘みと一緒に、まったり静かに落ちていく。やはり、今日一番、艶っぽく感じるお酒。

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坂戸屋さんの900日熟成は、香りは、一生懸命くんくんして感じる程度に控えめな、心地よい熟成香のある穏やかな白隆らしい香り。岸田屋さん同様、味わいにまとまりがあり、甘みの後に感じる苦みもまろやかで、全体的にやさしい印象。
とうもろこし天の濃厚な甘みとお酒の甘みが共鳴し始めると、どちらの旨みも、ふわっ、ふわっと立つイメージ。
という感じで、自分たちが思っていた以上に、今回は香りにも味わいにも違いが。

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そしてさらに長谷川 憲孝さん秘蔵の1995BYの丹澤山に、2009年の横浜港開港150年記念 限定品として醸された川西屋さんのお酒も登場。
寝かし方が上手だったからか、1995年のお酒は、微かな奈良漬けやチョコレートのような香りと、その香りのイメージ通りの味わいのお酒で、ビター猪口のようなコクがあるのにすっきりしたお酒。
これが松坂牛のすじ煮込みと一緒に食べ勧めていくうちに、それぞれの味わいや旨みが重なり、どんどん膨らんでいく。
頭の中には♪愛してる~って最近~言わなくなったのは~♪とゴスペラーのハーモニー。
牛すじ煮込みは、横浜港開港150年記念 限定品とも合うけれど、こちらはビターな苦味に酸を感じるタイプなので、牛すじを食べた後味が干し葡萄を思わせるような感じでした。

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最後に丹澤山 凛峰。クリームチーズなどの個性が強すぎなく程よくクリーミーなフレッシュ系のチーズを思い起こさせる。
そこに、葡萄の半身が器の中に収められて、燗グリア。


心米さんの厳選された食材でのお料理は、予めお酒をイメージして合わせてくれたそう。
とても熱心に向かい合ってくださった事が、お酒の話の最中に垣間見える。


今回は、前回以上にお酒の違いも面白かったのだけど、良いお料理と組み合わさることで、川西屋さんの食中酒としての良さも、存分に楽しめました。
そして、幹事のなべさんが酒屋さんを駆け回り、私たちのような素人の会の為に、協力してくださった酒屋さんも本当にありがとうございました。
そしてこんな試みを一緒に楽しめる人達との時間。


興味がない人には、なんのこっちゃかもしれませんが、ちょっぴりマニアックで、本当に楽しくて美味しい時間でした。
(2018年9月25日)

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