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雨後の月のBlack Moon 丹澤山のからっと純米吟醸

最近、日本酒を呑むのを控えめにしているんですが、でも、次から次へと出てくる美味しいものの誘惑には負けてしまいますね。
夏休みは沖縄にでかけたときに、キーツマンゴーを購入、それと、市場に出回り始めた無花果と合わせてみたくて開封したのは、雨後の月のBlack Moonの火入れ。

今年は若めと聞いておりましたので、数ヶ月の間でしたが、常温保存しておいたものです。

ここ数年、雨後の月は舌触りがなめらかで、酒質の綺麗さ、透明感に磨きがかかった気がするんですが、今回のBlack Moonは、淡麗で、以前の雨後の月に比べると、若干酸味が強めを感じたあと、雄町の懐の深さを後ろ盾に、上品な甘みとフルーティーさがふわっと膨らみ、やや辛口に切れていく印象。きれいに切れていくお酒です。

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そのままお酒として楽しむにしても、食事に合わせるにしても、とにかく程よいお酒。
少し驚いたのが、とんかつとの相性の良さ。

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果物と合わせる前に、少し空気に触れさせたいという思いがあり、何も考えずに用意した料理でお酒を開栓してしまったのですが、塩味を利かせたとんかつと、お酒が持つ旨味やコクが良く響き合い、豚肉の甘みを感じたあと、やや辛口なお酒が、スッキリと切ってくれます。

で、肝心なマンゴーや無花果ですが、火入れということも合って、思っていたほど熟成が進んでいなかったので、40度後半ぐらいで燗をつけることに。

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私、旨味が広がる燗酒は好きなのですが、どちらかというと、燗酒でもライト派。
そういう意味では、程よいボリューム感で、スッキリとした味わいに仕上がるBlack Moonの燗は好みのタイプ。

マンゴーと合わせるには、生のBlack Moonのほうがしっくり来るかなと思いましたが、片栗粉をまぶしてソテーした無花果と、それを利用したソースで仕上げた豚肉は、甘みとコク、そしてスパイスの辛さが、Black Moonが持っているお酒の味わいと、とてもしっくり来る組み合わせでした。

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そして、また別の日、カナダ産ですが500円で松茸が手に入ったので、焼き松茸、松茸ご飯と茶碗蒸しを作ることに。

それと穴子の梅しそ揚げを始め天ぷら、煮穴子、水なすの刺し身やみょうがの浅漬…なんていうのが食卓に並んでしまったら、やっぱり日本酒。

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雨後の月のBlack Moonは、初日に2人で6合、2日目に3合飲んでしまい、残り1合でしたが、せっかくなので合わせてみると、この日のお料理とは、まんべんなく相性の良さを発揮していました。
というのか、ここ最近の雨後の月は、以前に比べると、料理とより合わせやすくなった気がします。

松茸はもちろんですが、一番はナスの天ぷら。お酒が隠し持っている苦味が、ナスの甘みを引き出し、とろっとした食感と相まって、うっとりするような味わいでした。

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雨後の月の後に頂いたのが、丹澤山のからっと純米吟醸。低アルコール酒ですが、それを感じさせない、懐深く優しい味わいがあるお酒。

川西屋さんのお酒は、出汁や醤油味とよく合うと私は思っていて、麗峰があればそちらをメインにしたと思うのですが、呑みきって在庫がなかったのでこのお酒に。
それでもやっぱり、出汁や醤油味との相性は抜群で、茶碗蒸しと合わせれば、三つ葉の香りとだしの風味がお酒に合うし、煮穴子に至っては、香ばしさに甘みと旨味を存分に広げて盛り上げてくれて、す~と消えていく組み合わせ。

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そう考えると、料理の味わいだけではなく、食材の香りを楽しませてくれるお酒でもあるのかもしれないなと思いました。

どちらのお酒も、野暮ったさがなく、洗練されているけれど、料理にも寄り添ったり、味わいを膨らませて楽しませてくれたり。
日本酒を呑む体力がないため、お酒を楽しむ機会も減っているんですが、限られた範囲で呑むからこそ、こんなふうに楽しみたいと思わせてくれる、お酒2本でした。
(2019年9月5日)

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