見出し画像

雨後の月 涼風純米吟醸

夏は鱧、そして雨後の月 涼風純米吟醸。
 
キリッと冷やしたお酒を口に含むと、可愛く香りがふわっと膨らみ、スッキリとした甘さ、優しい苦味と酸味ですっとしたのみ口で上品なお酒は、私の夏の風景の一部です。
 
肴は、前日使った鱧のあらと昆布で出しをとり茶碗蒸し。
鱧の半身は、梅肉と紫蘇と一緒に天ぷらに、とうもろこしや明日葉も揚げました。
鶏もも肉は塩だけでグリルで焼いて、柚子胡椒を添え(やきものX柚子胡椒が好きなのです)、夏野菜の煮浸し、明日葉の胡麻和え。
 
さて、どれから書いていいのだろう…
それぐらいこの日の料理と雨後の月は本当にしっくり来てくれました。
といっても、雨後の月のおかげなんですが(^^;)
 
鱧の茶碗蒸しは、鱧の身も入れていますが、頭についていた少し硬めのところのほうが美味しいですね。味を潰さないようにしめじ、エビ、百合根、三つ葉、アクセントにレモンの皮を少し。
こんな茶碗蒸しと一緒にお酒を味わうと、鱧だしの味、卵の風味に寄り添い、雪のようにすっと一瞬に儚く消えてゆきます。レモンもいいですね。雨後の月とレモンの相性は抜群なのですが、ほろ苦さと香りが本当に心地良いです。

レモンと同じような理由で、明日葉のほろ苦さとも相性がよく、胡麻和えは爽やかな相性。
夏野菜のオクラはオクラのCuteさをふくらませてすっと切れ、
すりおろした生姜を少し加えた天つゆで食べる、とうもろこしのかき揚げとは、とうもろこしの甘みをふくらませて、少しはちみつに似たような心地よい味わいの中でゆらゆらした後、酸味と遊び、
鶏肉の柚子胡椒添えでは、鶏肉の旨味をふわっとふくらませた後、柚子胡椒のスパイシーさを待ってから、甘みと苦味で切れていく。

画像2

そしてなんと言っても、鱧の天ぷら。
雨後の月と一緒になると、とても揚げたときにちょいと失敗したとは思えない天ぷらがそこに。
これは塩も天つゆも何もつけずに食べたのですが、
鱧の旨味、甘めの梅の柔らかな酸味と膨らむ梅の紫蘇と香り。
この香りが雨後の月の風味ととても相性が良くて、きれいにハモります。そしてお酒が旨味を鱧の旨味を膨らませながら、雨後の月の味わいを響かせて、やがて静かに消えてゆく。
このお酒はそんなお酒。

画像1

すっとしたのみ口だけど、複雑な味わいが絶妙なバランスで重なり合い、スマートにまとめ上げている、私が思う雨後の月らしいお酒。
複雑さが、器用にいろいろなお料理に寄り添い、どちらかが主張するのではなく、共鳴しながら楽しめる。
  
そんなところ、なんとなく、相原さんに似ているような。
スター性、カリスマ性は確かにあるけど、
努力家だったり繊細だったり、目の前の人やそこにあるものの良さを上手に引き出すことの天才だなぁ…とお酒を飲みながら、ふとそんなことを思いました。
 
そういえば、この日は琉球ガラスのお気に入りの酒器を使っていますが、ビジュアル的にも味わい的にもとても相性が良く、夏らしさ満喫。
 
食中酒としても、お酒だけでも、美味しくするする楽しめる1本。ごちそうさまでした。
(2018年6月8日)

画像3


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?