そこにあるのは
随分ご無沙汰してしまった。
が、なんとか生きている。
なんとか、というのは、資格試験とかPTAの仕事とか本来の仕事なんかが積み重なって多忙を極めていたからである。
昔から忙しさを自慢するのはあんまりかっこよくないと勝手に思い込んでいるのでこれはただの愚痴なのだが、自分の蒔いたタネとはいえどうして資格試験を今年に持ってきたんだとかPTAの周年行事がなぜ今年にあたってしまったんだとか嘆きながら、でも後悔している暇もないからとりあえず目の前のことやりますハイ、みたいな。そんな感じ。
仕事して、その隙間でPTA関連の仕事をして、さらにその隙間で資格試験の勉強をしていたのでピアノ弾くとか本を読むとか趣味の時間がことごとく削られた。
せっかくピアノも指が動くようになってきたところだったのに、2ヶ月触っていない。またリセットである。読みたい本は日々棚の上で高さを増し、ときに雪崩を起こしている。
その作業のひとつひとつは決して嫌いじゃないし、むしろ楽しいのだけれど時間管理というその一点において無理があったな…と思うしかないが、資格試験が終わりようやくひとつ片付いた。
しかし、試験というのは本当に自分の闘いだと受けるたびに思う。資格試験に絞ると看護師、社会福祉士、衛生管理者、そして今回のケアマネージャーと経験してきたわけだが、看護師を除いて他の資格はぶっちゃけ落ちてもなんの影響もなかった。
もちろんプラスアルファの知識になるしそのアルファを求めて勉強していたんだけれど、看護師として働いている以上落ちても特段のマイナスにはならないのだ。
その点でいえば看護師の国家試験が一番緊張した。なんせ合格発表の時点では既に新卒として入職して働きはじめているので、落ちた瞬間に退職もしくは無資格者としての業務に配置転換なのだ。そりゃもうプレッシャーであった。
無事に社会人になってから、言ってみれば気楽な立場でいろんな試験を受けてきたが、それでも試験会場に向かう道すがらはいつもあれこれ思い悩む。
なんとか勝算はあるだろう、という状況まで漕ぎ着けてはいるものの、あの本もやっておけばよかったなあこの問題の解説ちゃんと読んだっけ…等々我ながら情けない心境になる。
落ちても影響はないぶん、自分にかけられる時間とお金の貴重さといったら昔の比ではないのだ。その貴重なふたつを割いたんだからできれば一回で受かりたいというのが正直なところである。
なのに…やっぱりもう少し早くから勉強すべきだったか…と悶々としつつ浮き足立った状態で会場に着く。
この先は目の前の参考書も問題集も、ついなんでも聞いてしまうGoogle先生もいったんお別れである。自分の頭ひとつでの勝負。この不安感はなかなかすごい。大丈夫だよがんばれ!と励ますのも自分でやるしかないので、頭のなかは大渋滞。
さて、そんな大渋滞の片隅で今回初めて思っていたのが、子どもたちのことであった。
あの子たちはこれからの人生で受験にしろ資格にしろ、人生の岐路に立つような試験を受けていくのだなあとふと思ったとき、今のこの自分の気持ちを忘れないようにしようと強く思った。
この足元がぐらぐらするような感じで会場に向かう子どもたち。想像しただけで勝手にこちらがしんどい。
できるだけ構えず、いつもの感じで送り出そう。いってらっしゃーい気をつけてね〜で、うんそうだそれだ。それで夕飯だけは彼らの好きなものいっぱいにして、お疲れ様!で乾杯だ。
試験前、心を落ち着けるために通い慣れてるチェーン店のカフェに入ってコーヒーを飲みながらそんなことを思った。そんなこと思う前に一問でも復習せい、と今更ながら思う。
さて、今回の試験結果は12/2に届く予定だ。
ケアマネというのは介護保険法に基づく資格なのだが、実務研修という研修の受講資格を得るための筆記試験なので、当然筆記に受かるとけっこう長丁場の研修に出なくてはならない。
今の職場からすると畑違いの職種なのだが、運良く上司からは前例はないが自主的な研修という形で時間をくれると返事をもらっている。
ここまで後押ししてもらうと、いったんは試験が終わってウカレた心がじわじわと落ち着いて今度は自己採点では大丈夫だったけど名前書き忘れてないか、とかそんなバカみたいなことが気になりだす。
一人相撲にもほどがある。
でも、試験を受けるたびに自分を振り返るし、客観視する。自分が今どのレベルにいてあとどれくらい、何をすればいいのか。それを考えること自体が貴重な体験だし、子どもたちにはむしろいろんな試験を経験してほしいと思っている。
試験はたしかに壁ではあるけれども、敵ではない。そこにあるのは、自分というひとりの人間を鼓舞して叱咤して淡々と知識を積み上げるだけの、いわば自分との対話作業なのだと思う。
カッコよくまとめたところで、また名前書き忘れてないかな…と頭をよぎる。
本当に、試験はおもしろいのだ。
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