自分事になると冷静ではいられない
午前4:03。
尿意でしぶしぶ起床する。
寝ぼけ眼を擦りながら寝室のドアを引いたときに、事は起きた。
ガリッ
左足の小指をドアに引っ掛けてしまった。
一瞬遅れて激痛が走る。
半分夢の中にいた体は、痛みによって完全に覚醒した。
トイレから戻り足の様子を見ると、短時間にも関わらず関節部位が腫れ上がっていた。
腫れてしまったので冷却するのも面倒だし、とりあえずテーピングで圧迫しておく。
地味に続く疼痛と腫れで、私は完全に骨折だと思った。
そんな私の心配はただ一つ。
「山にいつ行けるか」だった。
数時間後、起床した夫に説明し、家事を完全にお任せする。
不自由そうに歩く私に、いつも以上に夫の優しさを感じる。疾病利得。
今までの人生において、骨折した子どもは何人も見てきたが、自分が骨折したことはなかった。
ここにきて骨折を体験できるだなんて貴重だ。
貴重な体験を無駄にしたくない私は、夫の勧めもあって整形外科に受診することにした。
長い待ち時間を経て、問診で事情を説明したあと、お医者さんは訊ねた。
「指は動かせますか?」
自慢ではないが、私の足指は普段パーにもグーにも動かせる。
しかし今日はこの腫れと痛みで動かせない…
あれ? 動かせる…
ここでようやく私は骨折ではなく【打撲】の可能性を考えた。
違うんです!
普段の仕事なら、子どもにちゃんと「動かせる?」って、確認するんです!
……そんな誰も聞いていない言い訳を、頭の中で繰り返す。
「打撲ですね。1週間くらいで治ります。」
……お世話になりました、と診察室をあとにした。
混雑している中、軽症で受診して少し恥ずかしい。
骨折だと早とちりしたことも、夫の同情をひいたことも恥ずかしい。
普段していることが自分事の時はできていないということは、まだ完全に身についていないということだとわかって、本当に恥ずかしい。
恥ずかしいことはいっぱいあるけど、それも学びになったり、ブログのネタになったりするなら、まぁいいかとも思える。
そんな日常。
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