研究所に隣接する美術館(DIC川村記念美術館)
千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館に初めて行きました。
DIC株式会社が運営している美術館です。森や池を配したなだらか丘陵の中にあり、レストランや茶席もあります。
春分を過ぎても関東の内陸部は小雪が舞うという天気予報、都内では冷たい雨が降る土曜日でしたが、朝一で行ったこともあり、人が少なくゆっくりと鑑賞することができました。
都内から高速を使って車で行きましたが、佐倉ICから15分程度で着きました。駐車場は広く無料です。近くの駅からシャトルバスがあるようです。
作品は写真が撮影が出来ませんが、モネ、ルノワール、ピカソ、マチス、シャガール、レンブラントなどの西洋絵画、近代の抽象絵画、彫刻があり、森は自由に散策することができます。
作品だけでなく、建物も芸術作品のようです。
展示室には数人しかいなかったので、ピサロの「麦藁を積んだ荷馬車、モンフーコー」を単眼鏡を使って細部までじっくり観ることができました。
シャガールの「ダヴィデ王の夢」は大作です。作品の前のソファーに座って観ていると作品の中に体が入り込むような感じがしてきます。
レンブラントの自画像もあり、視界の中に誰もいない状態で鑑賞することができました。
抽象絵画も充実しており、抽象絵画で脳みそが汗をかいた後に、またピサロに戻りました。
レストランの評判がいいので、美術館から外に出て早めに行ってみると、まだ数組しかいません。スープとパスタを食べ、食後のコーヒーは頼まず、再び美術館に入り、展示室の奥にある茶席に向かいました。
レストランは美術館のチケットなくても利用できるようですが、お茶席は美術館の中にあります。
ほどよい苦みのある抹茶が口の中の脂を洗い流してくれました。額縁のような窓から美術館に隣接する研究所の建物が見えます。
美術館に来るまで研究所が隣接しているとは知りませんでした。経緯からいうと研究所に隣接して美術館が造られたようです。
美術館の建物に入る時に、池の向こうに美術館の施設とは思えない建物を見て、いったい何の建物だろうかと思ったのですが、美術館開設の経緯を読んで疑問が氷解しました。
美術館の運営方法は、ブリヂストンのアーティゾン美術館やポーラ・オルビスホールディングのポーラ美術館と違うようです。
アーティゾン美術館は公益財団法人石橋財団が運営母体となっていますが、石橋財団はブリヂストンの大口株主(保有比率11.21%で2位:2022年12月31日時点)ですので、ブリヂストン株の配当金が財団に入ってきます。
ポーラ美術館は公益財団法人ポーラ美術振興財団が運営母となっており、財団がポーラ・オルビスホールディングの大口株主(保有比率35.50%で1位:2022年12月31日時点)ですので、ポーラ・オルビスホールディング株の配当金が財団に入ってきます。
これに対して、DIC川村記念美術館は財団が運営しているのではなく、企業が直接運営しているようです。「ようです」と推測で書いたのは、美術館のHPやDICの公開情報では財団などの存在や、DICの有価証券報告書の貸借対照表や損益計算書を見ても、所蔵品の評価額の記載や運営費用の計上を確認出来なかったからです。
カネ勘定のような下世話なことはさておき、研究所という企業の施設に美術館やレストラン、茶席が隣接しているのは、研究所を訪れるお客さんへのおもてなしに高い効果があることでしょう。DICのようなグローバル企業ですと、海外からのお客さんも多いでしょうが、美術品を鑑賞した後に茶席で和菓子と抹茶、という趣向もできます。
美術館の前の庭園は綺麗に剪定され、池には水鳥がいます。桜、ツツジなども植林されているようです。雨の美術館は趣がありましたが、晴れた日に庭園を散策してみたかったです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?