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パニック障害と私 〜美容院編〜

わたしはいつも美容院に入る前に発作をおさえる薬を飲みます。

以前パニック症状が落ち着いた頃(治ったと思っていた)、いわゆる寛解期に美容院で盛大に発作が出てしまった事がありました。

それからというもの元々苦手な美容院がどうしてもこわくなってしまいました。

女性にとって美容院というところはどちらかといえば癒しの時間なのではないでしょうか。
よっぽど合わない美容師さんでない限り、髪のお手入れをしてキレイになってリフレッシュ出来る場所ですね。

わたしも以前はそうだったけれど、すっかり「出来るだけ行きたくない場所」になってしまった。
美容師さんは、こちらが気持ちよくいられるよう最大限に気を使ってくれます。それが分かっているからこそ、プレッシャーになってしまう悪循環…。
申し訳なくて、いたたまれなくなってしまう。

それで極力セルフでカットもやるようになりました。
やればできる…ものではあるけれど、限界はあって。理想的には程遠いけれど、仕方ないと割り切るしかないですよね。

とはいえ、若い頃はカラーせず地毛でいられたけれど歳をとるにつれ白髪という問題が発生。

白髪は体質によっては40過ぎても全然白髪がない方もいるようで、羨ましい限りです。
わたしは23歳くらいから白髪が増え始め、37歳のいまは白髪が見えない分け目は見つけられないほど白髪が多いです。

カラーも市販のものがたくさんあるので色々試したり、カラーリンスを使用したり、挙句の果てには染める戦いに疲れ果てて全部ブリーチして金髪の時もありました。
金髪のほうが黒髪よりは生え際の白髪が目立たないので…。

悲しいかな、もちろん髪はボロボロです!!常に。
年齢と髪色も釣り合わなくなってきますし…。

そもそもわたしは美容院の何が嫌なのだろう?
いやいや、パニック発作に「嫌」とか「好き」とか関係ないよな。だから苦しいんだよな。一度発作が起こるとそこが自分にとって楽しい場所であったとしても、身体が「ここに来たら発作起こすぞ〜!」と覚えてしまう。

だから発作を起こした場所を避けるようになって、どんどん出かけられなくなってしまう。

美容院は避けようと思えば一生避けられる場所なのかもしれない。
だけど、すてきなヘアスタイルにはなれないし、働いていたら「身だしなみ」として相応しくないという状況もありますね。

髪の悩みって誰にでもありますよね。
わたしは多すぎる、太過ぎる、剛毛でさらに癖毛という髪質で、放っておくととんでもない事になります。
そしてあまりケアをマメに出来る性格でもない。

髪型がひどすぎて着ている服さえサマにならないって誰にでもストレスだと思います。

パニック障害ってこういう日常のストレスを溜めるのもまた良くないとも思ったのでなんとか美容院を克服したいな、とずっと考えていました。

髪質ゆえに一度美容院に行くとカラーとカットで2時間のはずがわたしは3時間以上かかってしまうのです。(ボブでもロング料金をとられてしまう程の多さ…どんだけ!)

この時間が半分だったらがんばれるかな?と考えカラーとカットを別の日にするというスタイルをとる事にしました。

結果的にこれが大正解だったみたいです。

美容院って大体カラー+カットとか、カット+パーマとか、組み合わせでお得な料金になっているので無駄にお金がかかる事にはなるけれど、背に腹はかえられません。

同じ美容院で別日に分けるって意味わかんないなんだこのお客さんって思われるよなぁ…とか考えなくていい事を考えて(だから病気になるんだよ…笑)美容院自体をカットの美容院、カラーの美容院に分ける事にしました。

普通に考えたら、こういう病気があって…と説明すれば良いのだけど、それができない。
パニック障害だと知られたくない。

これもパニック障害のわりと特徴なんでしょうか?わたしのまわりのパニック障害もちの人も極力周りに知られたくないようです。

それでわたしはついに見つけたのです、わたしにとっての神美容院を…!!

その美容院はわりと近所にここ数年できたところらしくて、カラー専門の美容院だそう。
メニューにカットやパーマは存在しないんですね。

だから「カラーだけかぁ、このお客さんお金落とさない」って思われる…申し訳ない…というを考えなくて良いんです。(本当に考えすぎ)

そしてわたしが一番感動しているのが「自分で乾かす」というスタイル。

どういうシステムかというと…。
カラーとシャンプーはお店の人がしてくれて、終わったら乾かす場所に連れて行ってもらういます。
その乾かす場所は4席くらいあって1席ずつパーテーションで仕切られていて、そこにあるスタイリング剤など好きに使って自分で乾かす。

そして終わったらそのまま帰る(入店の時にお金をはらうので、本当に帰るだけ)。

……ヤバくないですか!!!!!

なんて気負わなくていいシステム…!!

これだ!
わたしが求めていたのはこれだ…!!!!

感動しすぎてワナワナと震えてしまいました。泣くかとおもった…


ドライヤーしてもらって(髪が多すぎるので三人がかりで乾かされる事も…)
スタイリング剤を付ける、セットとしてしっかりブローという流れが案外ストレスだったんだな、と自分でも驚きました。

スタイリング剤は大体においがあるもので、においって良いにおい、嫌いなにおいかかわらず「刺激」になってしまってパニック発作が起こりやすくなる(わたしの場合ですが)。

かといって断るのも、その断る事にいちいち「せっかく提案してくれてるのに申し訳ない」と感じるのもまた、ストレスだったんだなぁ…と。

ちなみにこのお店はオートシャンプーという機械でのシャンプーも選べます。
人にやってもらわなくて良いという事でもしかしたら自分に合うかも?と試しましたが、これはイマイチでした。
くすぐったいように感じて(炭酸シャンプーとかダメなタイプです)合わなかったです。

人にしてもらうシャンプーはわたしにとってストレスではなくて癒しである、という事もわかりました。

このカラー専門の美容院にしてからなんと大体1時間で終わるようになりました。
それでも入店前には薬を飲んでいました。

そしてある日薬を飲み忘れてしまった…。
席についてからアッ…と気付いて。
基本的にいつも薬を飲んで席に着いているので、なんとなく眠くなってくるというのがここしばらくのパターンだったんですね。

それで染め待ちの放置タイムにやや寝てる事もあるのですが、席についてから今日は寝そうかなー?と考えた時にふっと、
「ん?今日薬飲み…忘れた…」まできて「気がするけど、飲んだよ!いつも飲んでるじゃん!ほらほら、眠くなってきたでしょ?」という嘘を必死で脳に叩き込む。

正直ヤバい、ですよ。
飲んでない事実知ってますから。
でもここずっと薬飲んで大丈夫っていうパターンだったじゃん?そろそろ身体がそう覚えてるんじゃない?という賭けでした。

パニック障害が治るためには「この場所で成功した日(発作がでなかった日)」を増やして、最終的に「成功した日」を更新し続ける事が大事。

重要なのは、成功体験による上書きを続ける事


という認識がこれまでのわたしのパニック障害人生で分かっている事でした。


例えば電車はパニック障害のみなさん苦手ですよね。
わたしももちろん苦手です。かといって車の免許も持っていないので電車に乗らなければならない時もあります。

わたしの場合「通勤ラッシュ」の「満員電車」と「乗っている時間が長い」事がパニック発作を起こすキーだったので、通勤に電車を要する事で働くのはやめました。
通勤ラッシュも満員電車も乗らなければならない時間も、自分でコントロール出来る要素が見つけられないからです。

それでも実家に帰る時や通院で電車に乗らなければならない時もあります。
そんな時は「ラッシュに当たらない時間」に「なるべく空いている電車」で「最短の時間」という条件をなるべく守るようにしています。

「最短の時間」というのはわたしは「いつ終わるかわからない」「長く乗っているのが苦痛」という事が苦手という事実がはっきりしていたので、乗っている時間が短く済む急行や特急などを選択します。

これは同じパニック障害の方にはビックリされる事が多いです。
「急行とかは途中で降りられないからこわくてムリ」という方が多いからです。
それも分かります。

「各駅停車で1時間以上乗る」と「急行で30分で済ます」を測りにかけた時、乗っている時間が半分ということは発作が起きる確率も減る。と思ったんです。

各駅停車は5分起きに停まるとして急行は10分起きに停まる。少なくとも10分に一度は降りたかったら降りるチャンスはある。

5分おきを何度も繰り返しして結果的に1時間乗って、その間に3度、4度発作を起こすor10分おきを3度30分で1度か2度の発作。

大切なのは「発作の回数を減らす」。
だからわたしの場合は必然的に時間を減らして発作が起きる時間を減らすという事。

人によっては「各駅停車なら降りられるから大丈夫」という安心感によって、各駅なら発作が起きにくいという人もいますし、どの条件なら比較的大丈夫なのかは本当に人それぞれですね。


さて、美容院の話に戻しますと。

美容院もわたしにとってはこの電車の「そこにいる時間を短くして発作回数を減らす」案が応用されたという事ですね。

3時間美容院にいて何度も発作が出るより、1時間なら発作の回数も減るというわけです。

そして薬を飲んでおく事でより発作か起きにくい状態を続けて「発作が起きなかった日」がうまれる。

それを続けていて「成功した日」が統計的に多くなっていた。
そのことから薬を飲み忘れた日に「飲み忘れたけど今までと同じで大丈夫な環境だ」と思い込む事ができた。

たまたまおおきな発作が出なかったにしろ、これが3時間だったらもたなかったと思います。

正直あぶなかった…あぁ発作くるかもしれない、という感覚は2度ありました。
ですが何度もその美容院に通ううちに「いまこの作業だからあと何分で終わる」「このシャンプーがおわったらあとは自分で乾かす、自分でコントロールできる状況」という事が分かっていたので、結果的に今日は薬を飲まずに耐えられた。
少なくとも大発作は避けられた。

自分で乾かせるという事がこんなにも気持ち的に大きな支えだとは。

自分に合った美容院。
見つかって気持ち的に本当に楽になりました。

みんなが良いという美容院でも必ずしもそれが自分に合っているとは限りませんよね。
「簡素」な美容院がわたしにとっては本当に本当に助かっています。

こんな美容院増えたらいいな。
同パターンの美容院が苦手だという方にオススメしたい、ひとつの美容院スタイルです。


サポートしていただけると嬉しいです。現在病気や怪我により思うように働けないので生きてゆくためのサポートとして大切に使わせていただきます