見出し画像

首輪

首輪は嫌いだ。鈴のついた首輪をつけていたこともあるけれど、息苦しいからすぐに外してきた。そもそも飼われていないのだからいらないし、つけられる前に自分からふらっと消えてきた。野良猫に首輪はいらない。

気分のおもむくままに、動く。そこが気に入ったら日向ぼっこをしてぬくぬくと眠り、何だか違うなと思ったら次の所を探す。野良猫だって雨をしのげる屋根を見つけられるし、ごはんだって食べられる。場所も手段も選ばなければいくらでも生き延びられる。

さて、次はどこに行こうかな。賑やかで楽しそうな所がいいな。

そんな流れにまかせてやって来たここで、首輪をつけられた。首輪をつけようとする人間たちからいつも逃げていたけれど、よく見かける子だから首輪をつけてあげよう、と言われて断らなかった。

理由はよくわからないけれど、雨に降られることもないし、ごはんだって食べられるし、ちょっと遠くまでお散歩に出かけることもできるし、時々は通りすがりの人たちが頭を撫でてくれるから喉をごろごろと鳴らせるし、最近はお腹を出して眠っていることもある。気がついたらずいぶんと長居しているしね。

要するに、居心地は悪くないってこと。

やっぱり首輪は嫌いだけれど、外し方はよく知っている。だからちょっとだけ飼われているふりをしてみようかな。でも気をつけて。飼い猫だと思って気を抜いてると尖った爪にやられるよ。



©madokajee

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?