日々之雑感 22

どっちに行ったらいいのかわからない。どうやったら視界がひらけるのかがわからない。ぐるぐると同じ場所を回りながら目の前の「生活」をこなしてる毎日。あっちへ行ったら楽しいのはわかっている。この通りを行けばちょっとだけ景色が変わるのは知っている。でもそうじゃない。そういうことじゃない。

問題は自分の中にある。身体の中のあちこちにぶつかってモヤモヤモヤモヤとしたものを吐き出す塊がいる。足を踏み外すとどこまでも吸い込まれてしまいそうな暗くて深い穴がぽっかりと開いている。この塊をどうにかしたい。深い穴に吸い込まれることなく踏みとどまらなくてはいけない。

ずーっと忘れたふりをしていたそんな感覚が今年に入ってからちらほらと亡霊のように姿を現して困らせる。いや、忘れたふりをしていただけだから本当はずっとそこにあったのだが見たくなかっただけだ。そんな感覚はないほうがお気楽に「生活」できる。見なかったことにすればそこには何も存在しない。見て見ぬふり、日本人の得意技。

塊と深い穴は物心がついた時から存在していて、自分の頭で考えられるちゃんとした大人になれば消えていくものだと漠然と思い込んでいた。だが成長するに従って消えるどころか存在感をどんどん増していく。今度は老成して達観できるようになれば存在そのものを感じなくなるのではないかと思った。では急いで達観しようとあれこれと試みるがそんなものはすべて無駄。凡人が達観などできるわけがない。

ああでもないこうでもないとのたうちまわり、結局は忘れたふりをしてやり過ごしてきたがそれも限界が近そうだ。こうなったら選択肢はひとつだけ。

塊の正体を見る。深い穴の奥底まで覗きこむ。

ここまできたら物心ついた頃から存在しているこいつらと徹底的に向き合わないことには穏やかに歳も重ねていけない。そもそも「生活」すること自体が極端にへたくそなのにそれすらままならない。

このままじゃ嫌だ。



©madokajee

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