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人間嫌いのためのデフォルメ考

 補語です。絵を描いています。
 人型のものばかり描いていますが、私は普通に人間が嫌いです。人間が嫌いすぎて心身の不調を起こし五、六年は大幅に能力が低くなっていました。それでも嫌な記憶の整理のために人間を描かなくてはいけなかったので人間らしさを避けて、尚且つ自分の負担にならない程度に簡略化されたデフォルメをと思い、現在の絵柄に落ち着いています。今回は人間嫌いのためのデフォルメについて言語化をしていきます。主張が非常に鋭利なのでその手のギャグだと思ってください。


1.線を硬くする

 線とはすごいものです。引き方次第で柔らかさ、硬さ、それが何であるかなどを克明に説明することができます。ですが、今はそのようなものはあなたの家の番犬にでも食べさせて下さい。全てを太さが一定の線で描くのです。
 人間とは肉の塊。柔らかなもの。ヒトの肉感とは何と悍ましいものでしょう。私は一時期人間が巨大な貝肉の化け物に見えていたことがあります。つまりヒトである事=有機性であり、有機性を持った線によって柔らかさを表現する事は限界人嫌いの私には耐え難かったのです。

線に強弱のあるものとないもの

 輪郭も下膨れを避けたりしています。下膨れは肉の柔らかさの最たるもの。耐えがたい。しかし完全に正円だと冷たくなりすぎるので若干潰しています。

2.人間らしい顔パーツを極力減らす

 顔。人間の中で最も情報量の集中するパーツです。恐ろしい。なので表情を作るためのパーツは極力減らします。これは能力が下がっていた時にあまり多くの顔パーツを同時に扱って印象を操作することができなかった名残でもあります。
 なので弊デフォルメには鼻、眉毛、二重幅などが存在しません。口元も点一つであったり、とにかく表情を読ませません。

同じ無表情でもパーツの有無で印象が違う

 二重幅や鼻はともかく、眉毛がないと相当人間離れした印象になりますよね。それでいいのです。何故なら人間が嫌いだから。

3.更に生命力を減らす

 肌に肌色を使いませんし、目にハイライトを入れません。試しに先程までの絵に血色とハイライトを入れてみましょう…

 アッ!ツライ!
 なんですかこの…稚児のような…極めて耐えがたい!
 
ベビースキーマ(子供寄りの特徴を持つ生き物にヒトは親しみを覚えるという事)モリモリなので恐らく常人はこちらの方が親しみを感じるでしょう。ですが私には耐えがたい!やめます。

スン…

3.体の起伏も無くす

 当然ですね。弊デフォルメは、素体としては以下のようになっています。

グレイタイプ?

 老若男女基本的にこの脅威のなで肩です。デフォルメにしては足がやや長めなのが特徴だと思います。足も長い方が非人間的ですし、親しみづらいですね。

まとめ

 いかがでしたでしょうか(まとめサイト)。
 一般的な「絵のうまさ」というのは写実的であるのもさることながら、モチーフが人間や生物である場合、人間的な魅力があるように演出できるという事でもあると思います。つまり人間嫌いになってしまった以上、私はそれに逆行せざるを得ないのです。そうするとどんどん絵が浮世離れした印象になっていきます。

 私って、どうしたらいいですか?

おわり


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