見出し画像

まっすぐな姿勢なのに、しっくりこない【システマをまなぶ】

前回は試験勉強のため、おやすみしてしまったので約一か月ぶりのシステマ。

カルチャーセンターがおこなう感染症対策の一環として、対人同士で肌が触れ合わないように講座ごとに対応する、という取り組みがなされている。

システマでも、今回はひとりでおこなう地道なワークだった。

ただ、システマの動きは、わたしが普段無意識で使っている身体の動かし方じゃない。地道なワークにこそ、上達というか、身体の動かし方のコツをつかむ手がかりがある。

じゃあ、システマの動きってなに? となるけれど、これは単純明快。

もともと身体が機能している、純粋な動き。

重力に逆らわず、緊張やコリやゆがみがなく、筋肉の動きを順番に伝えていく。わたしの無意識の動きは、緊張とコリとゆがみがアリまくり。そのため、力の流れが肩とか、腰とかで滞ってしまい、もったいない。

今回のワークは、身体の動き、立ち方を見直すというもの。身体の中に通る力を順番に伝わらせていく。

身体をダラリと前屈させる。力は抜いて、膝もリラックス。

その状態から、膝を軽く曲げて、順番に上体を起こす。文字にしてしまうと、ただそれだけの動きを、見直すというワーク。

でも、動きとしては何も難しいところはない、ように見える。けれど、たったこれだけの動きでも、自分の身体を理解できていない。むしろ、シンプルな動きを繰り返してみると、緊張がどこにとどまっているか分かりやすい。

講師の北川さんは「身体の中にある力を、順番に伝えてください。背骨をひとつずつ動かすように。ひとつずつ、ていねいに」と、繰り返し言っていた。

たとえとして、「往年の蕎麦屋の出前のように」とも言っていた。

今となっては、見かけることはないのだけれど、お蕎麦屋さんが自転車で出前を持って行くときの様子。片手でそばのせいろやどんぶりをタップリと積み上げてバランスよく運転している。もはや職人技ともいえる。

せいろやどんぶりを積み上げていくバランスのごとく、身体の中のバランスを保つように、というもの。持っている手がグラグラしてしまうと、落としてしまう。また、積み上げ方がいい加減だと、バランスが崩れてしまう。せいろが背骨、と考えるとわかりやすい。

上体の力を抜いて、だらんとしたところから持ち上げていくとき、どうしても、腰の力でエイッと持ち上げてしまう。でも、そうではなく、膝が前に出て、恥骨から骨盤へ、みぞおちから胸、肩、腕、手首、そして頭はいちばん最後。

いや、あたりまえでしょ? と思われるかもしれないけれど、やってみると難しい。ただ、ひとりで行っていると「できてるもんね~~~」という気になるのも厄介なところ。隣でやっている人のを見ていると「みぞおちに緊張があるからアーチが描けていない」と指摘されている。おそらく、わたしもみぞおちが詰まっているだろうから、より意識して繰り返し試みる。

ワークの途中で、北川さんはこんな話もしてくださった。

普段の状態のときに、猫背など背骨にゆがみがあったり、肩こりなどで身体に緊張があるとする。そのときに、整体だったりストレッチなどで身体がゆるみ、背骨のゆがみやコリがとれる。しかし、本来あるべき身体の状態が「しっくりこない」と感じることがある。それは、普段のゆがんでいる状態が「正常」だと認識してしまっているせい。

ひとむかし前スポーツ選手などでも、身体の動かし方にクセがあった場合、整体などを受けた直後はコンディションが悪い場合があるという。整っているよりも、自分の動かしやすいクセがあるほうが、力を発揮しやすい。

ただ、それはパフォーマンスにおいて効率が悪いため、身体にクセをなくす、重心を均等にするなどのトレーニングを行うのがスポーツ界のトレーニングのスタンダードとして変わってきているという。

この話を聞いたとき、目からウロコというか「そういうことか!」と腑に落ちた。というのも、システマのワークに参加した帰り道は、たいてい首とか肩のあたりに違和感がある。痛みとかではなく、まさに「なんかしっくりこない」感じがいつもしていた。

帰りの電車の中で首をぐるんぐるん回したり、なーんか座りが悪いんだよねえ……と思っていたのだ。ふだん、猫背でストレートネック気味なので、システマのワークではいつも肩回りに緊張がある。そこを意識して、できているかは別として、リラックスを心掛けている。心掛けてできるものではないのだけれど、フッと力が通るときもある。

普段の緊張がすこしほぐれたために、身体としてはよい状態。だけれども、どことなく首が気持ち悪く感じていた。普段の身体が、いかに無頓着かちょっと悩んでしまう。

地道なワークは、ナイフワークとかストライクのようなハデさはまったくない。飽きてしまうこともあるので、好みが分かれる。実際にクラスのなかでも「今日のワークみたいなのが好き」というのはおそらく半々くらい。

わたし自身は身体の動きとか重心の移動など、これまでまったく意識せずに暮らしてきた。こういった機会にひとつずつ動きを見直したりできるのでの地道ワークをこつこつやっていきたい。




最後まで読んでいただきまして、ありがとうござます。 スキやフォローしてくださると、とてもうれしいです。