間詰ちひろ

主にエッセイ。ときどき物語。イベントレポートなども書いています。BOOK SHORTSで開催された「LOVE KAMATA AWARD」大賞受賞。横浜にあるnaludesign・onedafulldaycafeに在籍。連絡先 wachikarin@gmail.com
固定されたノート

プロフィール 2018年10月22日現在。

間詰 ちひろ (まづめ ちひろ)

1981年大阪府うまれ

間詰ちひろ、というのは筆名。

ノートに書き始めたきっかけはテソーミのマーコさんこと日笠雅水さんに力強くすすめていただいたから。

吉本ばななさん(よしもとばななさん時代も、もちろん)の小説が好きだと言ったところ「今日からnoteに書きなさい! ばななさんと同じ媒体に掲載できるって考えてみて? 素晴らしいじゃない」とおっしゃられた。本名

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めぐみちゃんは転校生【小説 カンパ・カンパニー】

「今日から一緒に勉強することになった、あめみや めぐみ ちゃんです。みんな仲良くしてくださいね」

黒板に書かれた「雨宮恵」の文字の前に立つ女の子は、「よろしくおねがいします」と、小さな声で挨拶をした。

「雨宮さんの席は、窓側の一番後ろね。山下さん、教科書とか見せてあげてくれる? 急だったから、まだ準備ができていないのよ」

はぁいと、山下葉月は大きな声で返事をした。

(いいなあ。まっすぐな黒

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呼吸と受け身

7月から月に2回、システマというロシアの武術を学ぶことに決めた。

先日、その第一回の講習があったので、その時に生んだことや体感したことを記録しておこうと思う。あくまでも、自分のために体験を記しておきたいだけで、多くの人に「システマとはこういうものですよ」と分かってもらるような内容ではないことだけ先にお伝えしておきます。

システマは、「呼吸がすべて」といってもいいのかもしれない。呼吸は誰もが無意

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トマトと、頬と。

「父さんごめんね、助かるわ」

エプロンで手を拭きながら玄関先に見送りにいくと、すっかり日焼けした父は白い歯を見せて笑っていた。

「夕飯に食べられそうなのがあったら、もいでくるよ」そういって、二人は手をつないで歩いていった。

わたしが子供のころも、同じように母を困らせ、父と手をつないで畑に出かけたことがあったことを思い出す。

特に夏の野菜は成長が早く、朝と夕方では違った景色が広がっている。父

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ゴルフのことは知らないけれど【ある、バイト。】

7月に入ったある日、ひとつのスポーツニュースに目が止まった。 

そのニュースは「ゴルフの石川遼選手、三年ぶりに優勝」というものだ。
プロゴルフファーの石川遼選手。デビューしたばかりのころはゴルフの成績のみならず、「ハニカミ王子」というニックネームで呼ばれ世間の注目を集めていた。最近では腰痛があるなど思うよ うに成績を伸ばせない、などのニュースでちらりと聞いたことがあった。

石川遼選手の優勝

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ふたりの記憶

「それ、押し花?」

読まなくなった本を片づけてほしいと母に頼まれ、久しぶりに帰省した。
ほんの少しの時間があれば、いつでもページをめくっていた母の姿を、わたしはそっと思い出す。
歳と共に目が悪くなっていった母は、本を読まなくなってどのくらい経つだろう。

欲しい本があれば、好きなだけあげるという母の言葉に甘えて、本棚から何冊かを選ぶ。
母のにおいが残ってる本をぺらぺらとめくっていると、一枚の紙が

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