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半月板損傷について|病態と症状


こんにちは!

理学療法士の前田です。



『歩き始めに膝が引っかかる感覚』や、膝の中でゴリゴリ音が鳴って痛みが起きたことを経験した方はいらっしゃるのではないでしょうか?


上記の様な症状がある方はもしかすると膝の半月板を損傷しているかもしれません。


今回は変形性膝関節症の原因にも繋がる【半月板損傷】について紹介していきます。




1.半月板って何?


 半月板は、膝関節の中にあるC字型の形をした内側半月板と冠状に近い外側半月板に分けられ、クッションの働きをする組織です。大腿骨と脛骨の間に存在し、体重の衝撃吸収や関節の安定化をおこない、膝関節の運動が滑らかにおこなえるようにサポートする役割を担っています。


膝関節は曲げ伸ばしをする時に、骨が【捻じる】・【滑る】といった複雑な動きが関節内で起こります。このような複雑な動きの中で、半月板や靭帯がサポートしているおかげで膝は滑らかに動かすことができます。




2.原因と病態


①原因について

 半月板損傷に関しては、スポーツ外傷が多い10〜20代や加齢・職業特性に伴って半月板が摩耗する中高年層など、世代に応じて原因が様々あります。膝関節は形状上、非常に不安定な関節で、半月板・靱帯・筋肉で補強して安定性を保っていますが、長期的な疲労の蓄積や事故・スポーツにより、膝関節を屈曲した状態で異常な回旋力が加わると、半月板が大腿骨と脛骨の間に挟まれて損傷してしまいます。受傷原因はスポーツによるものが最も多く、靭帯損傷の代表的疾患である前十字靭帯損傷などの合併損傷が多いです。



②病態について

 損傷の起きる部分としては内側・外側半月板ともに中央1/3から後方1/3にかけて断裂が生じやすく、断裂の種類は様々ですが「縦断裂」、「水平断裂」、「横断裂」、それらの混合型である「弁状断裂(フラップ状断裂)」などがあります。



③症状について

 半月は膝関節の大腿骨と脛骨の間にあるC型をした軟骨様の板で内側・外側にそれぞれがあり、衝撃緩衝と安定性の役割をはたしています。半月板が損傷すると、膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかりを感じたりします。ひどい場合には、膝に水(関節液)がたまったり、急に膝が動かなくなる“ロッキング”という状態になり、歩けなくなるほど痛くなります。


下記のような症状がある場合、もしかすると半月板が原因かも。。

  • 膝を曲げたり、伸ばしたりすると、痛みが生じる。

  • 膝関節が完全に伸びない、曲がらない。

  • 階段昇降や膝の屈伸などをしていると「ゴキッ」と異常音がする。

  • 「ガキッ」とロックがかかったように急に動かなくなる。




3.診断・治療方法


 半月板損傷の診断は、近年の関節鏡やMRIの発展により確実になり、その治療法も飛躍的に進歩してきています。

半月板損傷の治療法は、半月板の形状・損傷部位や程度・不安定性などの違いにより、保存療法・縫合術・切除術の3つに分かれます。

半月板の外縁は血行が認められていますが、内縁は血流が乏しく、縫合しても癒合は困難です。半月板損傷は若者に多く、切除による将来の変形性膝関節症の予防という観点から、できるだけ半月板を温存する治療法が選択されるようになってきている状況です。




4.おわりに


 半月板損傷は大きな外力が加わって生じることもあれば、1回の外傷ではなく同じ動作が繰り返されることで発生する場合があります。損傷に繋がる問題としては、筋肉の柔軟性・筋力低下をはじめ、体重増加、遺伝性因子など様々な要因があります。

 膝関節へのクッションや運動補助の役割を担っている半月板が損傷してしまうと膝関節への負荷を増加させてしまい、特に手術などで半月板を切除してしまうと変形性膝関節症へのリスク因子に繋がってしまいます。そのため、損傷した半月板を放置せずにリハビリで筋力や関節可動域の向上を図り、変形性膝関節へ発展させないことが大切になってきます。

また、未然に半月板損傷を予防するためにも病態や原因を知り、関節に負担がかかりにくいような身体作りをしていくことも大切です。

半月板損傷は発症した時、またはその後にも2次的な問題として日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。リハビリや運動を通して、症状を改善させることが可能ですので、お悩みの方はこの機会に是非ご相談ください。少しでも有益な情報となれば幸いです。



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