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高級紳士靴 Jalan Sriwijaya(ジャランスリウァヤ)のバンドン工場訪問記


革靴好きな人であればご存知かもしれませんが、多くの方は聞いたことがないと思いますので、まずは簡単にJalan Sriwijayaについてご説明します。
スリウィジャヤが正しい発音だと思うんですけど、公式オンラインショップがスリウァヤになっているので、ここではジャランスリウァヤで統一します。

ジャランスリウァヤについて

高品質なのにあり得ない低価格ということで人気を博し、日本全国の高級百貨店で販売されています。最初に取り扱ったのはBEAMSだったと思います。間違えてたらすいません。
Noteに書くにあたって店舗情報を見たら、かなり減っているので、通販で買う人が増えたのかもしれません。

何万円もする靴を通販で買って足に合わなかったらどうするんでしょうね。

高品質というのは、高級靴にしか使われない製法が使われているということです。ハンドソーンウェルテッド工法という昔ながらの手縫いで作られています。
ハンドソーンウェルテッド工法を進化させ、大量生産できるようにしたのがグッドイヤーウェルテッドで、こちらも高級靴にしか使われていない工法です。日本だとスコッチグレイン、リーガルとかです。

靴底の隙間におがくず状のコルクがしかれ、履くうちに沈み込み足にフィットすると言われている。

わたしは靴に詳しくないので、この辺にしておきます。図書館で本を借りて読んだくらいです。

ジャランスリウァヤは社名ではなく、ブランド名です。

最初に言っておけばよかったですが、会社名はFortuna Shoesと言います。ジャランスリウァヤは、創業時の工場(今も第一工場として稼働中)がある通りの名前です。ジャラン=通りなので、スリウァヤ通りですね。

そしてこのブランドが使われているのは、日本、韓国、シンガポールの3か国のみとなっています。
なので、ここからはブランド名ではなく会社名のFortuna Shoesで説明を続けたいと思います。

Fortuna Shoesの成り立ち

もともとは紳士靴ではなく軍隊用の軍靴を作っていたようです。そういえばリーガルの前身も軍靴製造メーカーですね。
今は引退した社長が、ヨーロッパに武者修行に行き、技術を身に着け、高級部材の仕入れ先の目鼻をつけて戻ってきて、本格的に紳士靴製造に乗り出します。

なんだか日本のウィスキーを始めたマッサンこと竹鶴さんみたいな話ですよね。本物にこだわっているところもそっくりです。

わたしはご子息がたまたまいらっしゃったのでご挨拶しました。ご子息と言ってもわたしより年上に見えます。とても品の良い方でした。

現在のFortuna Shoes

ほぼ全量を海外に輸出しています。紳士靴を始めた当初は人脈のあった欧州が大半だったらしいです。イギリス、ドイツ、フランス、イタリアが中心です。
今は日本向けが増えてきていて、50%が日本向けと言っていました。
日本以外はヨーロッパ、アメリカが多く、韓国とシンガポールが少しです。

工場はすべてバンドン市内にあり、創業の工場がJalan Sriwijaya(スリウィジャヤ通り)、2007年にできた第2工場がJalan Soekarno Hatta(スカルノハッタ通り)、ちょうど第3工場が完成したところです。
第3工場は稼働前ですが、女性用の靴を作る工場になっています。これは素晴らしい展開だと思います。

従業員数は300名。皮のカットと縫製を行う第1工場に200名、最終工程のアッセンブリを行う第2工場に100名。

生産キャパは日足200足なので、従業員1名あたり1日1足作れないということです。ハンドソーンだけでなくグッドイヤーも取り入れているのにこれしか作れないというのは、手間がかかっていますね。
どんなに安くても10万円近くする工法と言われる所以です。

ここは革の品質も高く、高級なフランスメーカー(デュプイ社)の革を使っています。

Fortune Shoesは靴のデザインにもよりますが4万円前後で買えますので、お得になっています。

わたしは外から第2工場を見学させてもらいました。ベルトコンベアーが1台ありましたが、何も流れておらず、ほぼ手作業の工場です。歴史で習う「工場制手工業」が現代によみがえった感じです。

第2工場は最終工程で、縫い合わせだけでなく靴型を入れて形を整えたり、最後革に染料と油をしみこませるため、高温のコテで丁寧に靴全体をこすったりしていました。

最終検査は倉庫で実施します。量的にサンプルチェックに見えるほど少ない人数でやっています。倉庫にある在庫は、非常に少なく見えました。
おそらく、わたしがこれまで見てきた工場とは規模が違うのでこんなものかもしれません。

第2工場のショールームで記念に靴を購入

あまり大っぴらに販売できないようです。なので、門で固く閉ざされた工場の中にある事務棟に設けたショールームという外見をしています。
店には絶対に見えません

通用門の隙間から警備員に声をかけ開けてもらう。

安いのかと思っていたら、まったく安くはありません。わたしは2足購入しましたが2足で約8万円でした。
いい靴なので高いとは思いませんが、わざわざそこまで行かなくても、日本で買うのとほぼ同じと思います。

奥のチャッカブーツの方が高い。

ブランドはFortuna ShoesでJalan Sriwijayaではありません。日本で売っているブランドをここで売るわけにはいかないとのことです。ヨーロッパやアメリカは別ブランドで販売していますが、やはりインドネシアで売る靴はFortuna Shoesのみです。

手前が日本のジャランスリウァヤブランド、奥がインドネシアのFortuna Shoes

カードは使えず現金のみとなっています。現金を忘れても近くのATMでおろせますので問題ありません。ショールームの方もよく分かっていて、わたしは連れて行ってもらいました。
Bank Mandiriは1回100万ルピアしか引き出せず、Indomaretというコンビニの中にあるBCAは検査中でつかえず、ちょっと離れたBNIまで行きました。BNIも200万ルピアしか引き出せませんでした。

わたしは平日に行ったので、客はわたしだけでしたが、毎日お客さんは来ると言っていました。
何人が多いのか聞いたところ、「日本人が8割、インドネシア人2割、韓国人と中国人はほんの少し」と言っていました。

とにかく遠方からたくさん日本人がやってくるそうです。ジャカルタ、カラワンとかです。

一番売れるデザインは「内羽根ストレートチップ」です。わたしもジャランスリウァヤの内羽根ストレートチップの靴を横浜高島屋で買って持っているのですが、その話をしたところ、「なぜ日本人はみんなこのデザインの靴を買うのだろうか」と不思議がっていました。
「それはフォーマルの定番だから、必ず1足はそろえるし一番使うからじゃないですか?」と答えましたが、彼の疑問が解消した感じはしなかったです。

わたしは足幅が広く甲が高い典型的な日本人の足をしているため、内羽根方式は正直好きではないですが、仕方なく履いています。

トコペディアでも買える。

トコペディアというのは、日本でいう楽天みたいな会社で、インドネシア本社のイーコマースです。Gojekと合併してGoToの名前で上場しています。
インドネシアはアマゾンは出てきておらず、トコペディアとシンガポール本社のShopeeが競っています。

トコペディアで買った場合、サイズが合わない場合1回に限り返品を受け付けているそうですが、これがかなり面倒なようで、大変だと言っていました。
それはそうだと思いますよ。高級な革靴は最初は固かったりちょっときついのを慣らしていくものだし、内羽根か外羽根かで同じサイズでも変わりますから。履いてみないと本当に分からないです。

わたしの足の形が変だからかもしれませんが、甲のところが詰まったり、足の小指がいたいのはしょっちゅうです。運動靴ならいざ知らず、革靴の通販はわたしはちょっと考えられないです。

アクセス

住所:
Jl. Soekarno Hatta no 495 , Cijagra, Lengkong
Kota Bandung, Jawa Barat 40265
営業時間:
Monday - Friday 12.00 - 13.00 Closed
Saturday 10:00 - 13:00 WIB
Sunday and Public Holidays Closed

右下が第2工場とショールーム、左隣の赤いマークが第1工場。買い物はできないとのこと。

https://fortunashoes.co.id/

この靴たちは10年、20年はく想定ですので、多分死ぬまで履き続けると思います。なので、あまりフォーマルでないものを選びました。
どのように育っていくのか楽しみです。

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