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インドネシアの島めぐり21日目 スンバ島を西へ移動

ワインガプの町とはどうも相性が悪いようで、午前中に一通り回ったものの早めにこの町を離れようと思った。
旅をしていると、たまにこういう感覚になる。不幸な出会いというか、初印象の悪さが尾を引く感じがすると言えば良いだろうか。

転勤や引っ越しで住む街であれば、「住めば都」とはよく言ったもので、住み慣れると共に便利に感じたり愛着を持つようになるため、おそらく旅であっても時間をかければ同じことが起きると思う。

ただ、旅人の時間には限りがある。あえて御し難い町を時間をかけ手懐ける趣味のある人は別にして、早めに見切りをつけて楽しい場所に移る方が結局はいいことが多い、とわたしの中で答えは決まっている。

というわけで、午前中に2つの伝統村を訪問したあと、わたしはトラベルバスに乗ってスンバ島の西の中心地ワイカブバックへと移動した。
そしてこの町をとても気に入った。

ワインガプの2つの伝統村

午前中にワインガプ近郊の伝統村をいくつか回ろうと思い、ホテルの人たちに場所を聞いたら、なかなか名前が出てこない。昨日オジェックの運転手と大違いだ。
結局2つ行ってみることにした。

一つは地球の歩き方に乗っているくらい有名な場所でgoogle マップでも表示される。プラリウ村という。
もう一つは新聞記事に世紀の発見みたいな表現で、昔の生活跡が発掘されたと写真入りで書かれた場所だ。そこにも伝統家屋がありまだ人々が生活しているという。ランバナプ村という。

有名な方はイカットの販売に力を入れていて種類がたくさんあった。わたしは今荷物を増やすわけにはいかなかったので、見ながらどういう種類や文様があるか学び、また高いイカットの特徴を頭に入れた。
好きな絵柄が多く、スンバの人たちと気が合いそうな気がしたが、もしかすると観光客の好むデザインに特化した売場の可能性もある。

昔の生活跡が見つかった場所は何の看板もないし、近隣の住人たちもよく知らないようで、見つけるのに苦労した。
素朴な集落だった。大きなかっこいい伝統家屋が残っていたが、今は誰も住んでいないらしい。
遺跡の方は、かまどの跡と見られるいくつかの塊が並んでいた。
人々はのんびりと暮らしているようで、子供たちの笑顔は本物だった。

あっという間に見終わり、ホテルの近くに戻ってきたのはまだ11:00。朝ごはんがスナックしか出てこなかったのでブランチにしようと気になっていたカフェに行った。
PC Cafeという。おススメレストラントップ5に出ていて、良さそうに思えたのだ。
雰囲気の良いカフェレストランで、何より景色が良い。
ワインガプの街並みを見下ろしながら飲むレモンジュースは最高だ。風がよく通りエアコンなしで全く問題ない。

魚料理を頼んだら盛り付けもおしゃれだった。

イカンゴレン定食45,000ルピア

トラベルバスで西へ向かう

ホテルで水シャワーを浴びてからバスターミナルに向かう。
途中でオジェックを捕まえて、スンバ島の西に向かうバスに乗りたいので、バスがいるところに行きたいと伝えてみた。
すると、バスは朝しかないので、トラベルに乗るといいと言って連れて行ってくれた。
ホテルで相談した時は、トラベルの運転手の電話番号だけ教えてくれ、自分で取れというし、トラベルが今日はいっぱいだと言っているので別のは無いのかと聞いても無いというし、伝統村の情報を何一つ持っていなかった一件を考えても、旅行業に携わる人たちとしてはどうなんだろうか。

オジェックの運転手の方がよっぽど頼りになった。
ただ、これは巡り合わせでたまたまそうなった可能性が高い。相性の悪い町というのは得てしてそういうものだ。

トラベルのバンは一見すると普通の車で、よくあるコテコテの装飾や文字はない。
運転手は青が好きなようだ。車は青、服も青、名前もTravel Blueという。
おまけにわたしの水筒に貼ってあったデューク大学のステッカー「Blue Devil」をいたく気に入り、車に貼りたいからくれと言ってきた。
こんなことを言われたのは初めてのことだ。

バスは13時まで待ったあと、わたしともう1人の客を乗せて出発した。
せっかく助手席に座らせてもらったのに、わたしは寝てしまったようだった。起きると運転手はたくさんおしゃべりしてきた。
わたしのインドネシア語能力がいまいちのため、いまいちな会話内容になってしまったかもしれない。わたしとしてはとても楽しかった。

運転手は日本人で言うと久保田利伸に似ている。(古い例えで申し訳ありません)
髪型まで似ておりもしかして意識しているんじゃないかと思ったくらいだ。ただ残念ながら歌は下手だった。
わたしの頭の中では勝手に彼は久保田利伸になっていたので、車から流れる音楽に合わせて彼が歌い出した時のギャップは大きかった。
お笑いだと必ずツッコミが入る場面だ。

ところで、車で移動するといいことの一つに、景色がある。飛行機から見る景色ももちろんいい。ただ、車の方が細部を見ることができる。
今回でいえば、乾燥している東部、多少湿っている西部という大枠情報を、車で実際に通ることで空気感も含めて補完できる。

ワインガプの町を抜けて山に入っていくと、普通は空気がしめり始めるのに、この島はそうではなかった。なだらかな木がまばらな丘陵地帯を尾根伝いに抜けていく。
日本にこの道があれば、ライダー達の憧れの道になっただろうと思える見晴らしの良い気持ちいい景色が続く。

そのうち森っぽくなってきて、いつものように空気が湿ってくる。雨も降っているし、田んぼもたくさんある。「やっぱり西は雨が多いと聞くけど本当だね」というと、運転手は「地区で言えばまだ東だ」と言っていた。

雨と霧に煙る森の景色もまたいい。標高が高いのだろう、空気もひんやりして気持ちいい。

ワイカブバックの町

ホテルは涼しいことを見越しエアコンなしの安い部屋にした。一泊素泊まり150,000ルピア。
荷物を置いて早速散歩に出てみると、田舎っぷり、人々の人懐っこさといい、この町に来てよかったと思った。ホテルは従業員のレベルも含めてあまり違いはない。
虫はこっちの方が格段に多い。湿っているから当然だろう。

町は明らかに小さく、賑わっているエリアの規模感でいえば、ワインガプの半分以下だ。
それでもこじんまりとした中にぎゅっと集まっているので、町感はある。

夕食はケバブ屋でケバブを買って、ホテルでビンタンビールを飲みながら楽しんだ。

ワインガプから来たという3世代の旅行者がやってきて同じホテルに泊まったので話した。
お母さんの1人は日本語がカタコトできる。NGOに勤めていて昔日本人の同僚がいたそうだ。
大学はバンドンだったというので、久しぶりにバンドン話をした。

今日はこんなところだ。

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