わたしはインドネシアに来てからヒゲを伸ばしはじめました。来て2ヶ月くらい経ってからです。
きっかけはイスラム教徒の男は髭を生やす習慣があり、せっかくインドネシアにいるのだし同じことをしてみようと思ったのです。なぜ伸ばすのか自分で伸ばせば何かわかるかもしれません。
また、ビジネスの世界ではたとえイスラム教の国にいようともヒゲはマナーに合わないため、仕事をしていない学生の間しかヒゲは伸ばせないというのも理由です。

イスラム教徒はなぜヒゲを伸ばすのか

ムハンマドの言行録であるハディースに、髭の蓄え方について記述があり、またムハンマド自身が髭を生やしていたからというのが理由です。

生やし方は、口ひげは短く整えて、顎ひげは伸ばすというものです。当時の多神教の教徒はヒゲを整えていなかったようで、見た目を変えるという意味も合ったようです。

なぜそのようにムハンマドが言ったのか、わたしは実体験を通じて納得しました。後の項目で説明しますが、イスラム教の教えというのは本当に理にかなったことが多いです。

バンドンで見かけるインドネシア人のヒゲですが、いくつかのパターンが見られます。
若者は口ひげ(鼻の下のひげ)をはやし、短く切り揃えて整えていることが多いです。おそらくまだヒゲがたくさん生えないからだと思います。ヒゲが濃い若者は顎ひげについても生やして、短く切り揃えています。ボーボーに生やしているのは非常に少数です。

おじさんは顎ひげや下唇の真下にあるヒゲをボーボーに伸ばしているケースが結構あります。また同じくらいの比率で顎ひげを綺麗に切りそろえている人もよく見ます。
顎ひげを伸ばしている人は敬虔なイスラム教徒という雰囲気がします。

まったく生やしていない人もたくさんいます。体質的にヒゲが生えにくい可能性はあります。

わたしと同年代の教授は、彼女が高校、大学時代のときの思い出として、ヒゲを生やしている男性はまれで、体質的に生えなかったのだと言っていました。
夫が同級生なので直接聞いたらしいです。ところが、今は栄養がよくなったのかインドネシア人の体質が変わったのか、甥っ子が高校生にも関わらずヒゲが生えていると言って驚いていました。
クラスメイトの半分近くがヒゲを蓄えているのを見て、やっぱり昔と変わったのねと言っていました。

ヒゲの生えるスピードと長さについて

わたしの個人的な経験で言いますと、大学時代と今で、ヒゲの生え方が変わりました。
学生時代に2ヶ月くらい海外旅行をしてずっとヒゲを剃らずにいたことがありますが、2センチくらいで伸びが止まった記憶があります。ヒゲは眉毛やまつ毛のように短いままなんだろうと思いました。

52歳の今は、ヒゲは伸び続けており、顎ひげは4ヶ月で7センチになりました。口ひげは3ヶ月で5センチ弱です。
ところが、7センチになってから顎ひげの伸びが止まった気がします。やはり永遠に伸び続けるわけではなさそうです。わたしの体質的な問題かもしれません。
まれに寿命が長く伸び続けるヒゲもあるようで、今（5か月経過時点）であごひげは8.5センチ、口ひげは7センチのヒゲがあります。

ヒゲの白髪について

わたしの場合、髪に白髪が混じりはじめたのは比較的早く中学2年生の時です。白髪はその後も少しずつ増え続けています。

髪の毛以外で最初に白髪が生えたのは鼻毛で、大学の時だったと思います。それから安定的に白髪が見つかります。
次に白髪が生えたのはヒゲです。ヒゲのうちモミアゲ部分が早く、次が顎ひげ、最後に口ひげの順番に白髪が生えるようになりました。
最後に白髪が見つかったのは眉毛です。
陰毛にはいまだに白髪がありません。わたしの高校時代の友人の1人も同じです。髪は真っ白なのに陰毛は真っ黒だと言っていました。

ヒゲの白髪は髪と同じように、年齢を経るにしたがって増えていきます。
そしてわたしの場合、白髪が最も多いのは顎ひげ、ついでモミアゲ、最も少ないのが口ひげです。
不思議なことに、顎ひげの白髪は、髪の毛の白髪を逆転し、今や体毛の中で最も白髪の比率が高い状態になりました。理由は全くわかりません。

ヒゲを生やして困ること

口ひげを伸ばしていくと上唇を通り越して口を塞ぐように生えていきます。その結果、食べ物を食べる時にヒゲが口に一緒に入り不快な気分になります。
特にスープやカレーを食べる時に入り込みがちです。
それにサテのような串物を、横からガブリと噛んでさっと串を横に引く食べ方でも口の周りのヒゲが巻き込まれて口の中に入ります。

ムハンマドが「鼻ひげを刈るように」と言っていたのは、おそらくこれが理由だと思います。
イスラム教徒は不潔や不衛生を忌み嫌いますので、ヒゲが口の中に入るのは好ましくなかったのだと思います。

わたしは旅から戻ると、モミアゲと頬のヒゲを剃ると同時に口ひげを上唇の上で切り揃えてみました。改善しました。ただ、後の項目で述べる理由により、再度伸ばしはじめました。
口の中に入らないように、整髪料で口ひげを横に流れるようにして固めています。

顎ひげを伸ばして不都合になることは今のところありません。最初の頃、うつ伏せで寝る時にヒゲが変な角度に折れ曲がると違和感を感じましたが、慣れました。
ヒゲも髪の毛と同じように寝癖がつきます。多分誰も気づかないレベルですので、問題はありません。

ヒゲを生やしていいこと

今のところは何もありません。わたしがイスラム教徒だったらもしかすると何かいいことがあったかもしれません。

授業のゲスト講師(退官した陸軍の将軍)に「君の顎ひげは素晴らしい。PKSみたいだ」とほめられました。Partai Keadilan Sejahtera(福祉正義党)というイスラム政党です。あまり褒められている実感はわきません。

ヒゲを伸ばすと見た目が実年齢より老けて見えます。クラスメイトにヒゲを生やす理由を聞いたら、何人かは顔が幼いので大人に見せたいから生やすと言っていました。
わたしの場合、すでに老実年齢が老けていますし、ヒゲで更に年上に見せる必要はありません。

また、ヒゲのおかげで顔を覚えてもらいやすいとは思いますが、日本人ということだけですでに目立っていましたから、ヒゲの効果はほぼないと思います。

ヒゲを今後どうしていくか

これまでのところ、わたしのヒゲのイメージは中江兆民➔伊藤博文➔陸奥宗光と変化してきています。

３つのプランがあります。

１．まずは顎ひげがどこまで伸びるのか確かめたいと思っています。一旦鈍化してまた生え始めるのか、止まるのかの確認です。

２．次に口ひげを伸ばしてカイゼル髭にしてみようと思います。これはもう実行済みです。ちょっとやりすぎな見た目になるので、何か特別なタイミングでやろうと思っています。ラマダン（断食月）の初日にカイゼルヒゲにしました。

３．顎ひげが十分に伸びたら三つ編みにしたいと思います。
昔バイキングは遠征に行く時にヒゲを三つ編みにしていたらしいのです。

あとは、ハディースによれば、ムハンマドはヒゲをサフランで黄色く染めていたらしいので、それもやってみたいなと思ったものの、インドネシア人でやっている人を見たことがないし、ネットで調べても見つからなかったので、やらないことにしました。
サフラン高いですしね。

以上、＃今年やりたい10のこと
断食をするに続く２つ目ヒゲをのばしてみるでした。