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ラノベ9話





前前々々々回のあらすじ・イス


      




    【かぐや様は告らせたい#9話】



「え!?あれ!?何で!?部屋から出れてる?????」


そう。今まで赤い結界に阻まれて魔王である私だけ、魔王の間から出れず閉じ込められていた筈なのに、何故か今、廊下まで出れているのだ。



どうして???リフォームをして、もしかして結界が取り除かれたのか???


などなど酔っ払った頭で思考を巡らせていると、体が急に揺れ出した。




         ❇︎


『お客さん!お客さん!!着きましたよ!』

「ハッ!あっ!つい寝てました!すみません!」

どうやら、体を揺らしたのはタクシーの運転手の様だ。
タクシーの時計を見ると、現在21:57分。

あと3分で強制的に眠りについてしまう。
急がなくては!

『料金が、3067円です』

「あっ、タクシー料金でこんな中途半端な金額あるんすね」
とは時間が無いのでいわず、慌てて3070円札を一枚出して、
「お釣りは結構です!」
と言い放ちタクシーを降りた。



あと2分。
なかなか来ないマンションのエレベーターをイライラしながら待ち、扉が開くや否や自分の階のボタンを連打する。
が、同じボタンを2回連続で押したらキャンセルされるタイプのエレベーターだったので、かえって遅くなった。(という事は、このマンションのエレベーターはMITSUBISHI製ですね)



あと20秒のところで玄関の鍵を開けれて、無事、家の中で倒れ込む事が出来た。
ベッドまで辿り着けなかったのは残念だが。


             




         ❇︎




また魔王の間のイスに召喚された私は、恐る恐る、そして期待半分でこの部屋の扉の外に指を出してみた。



「ギィヤ○%×$☆♭#▲!※バンブスシュプロスーーーーー!!!」



赤い稲妻と共に電気が体に走り、あまりの激痛に私は思わず、ドイツ語でタケノコを意味する言葉を叫んでいた。



やはり、私をこの部屋に閉じ込める結界は健在の様である。


「はぁ、はぁ、、。なんで???
やっぱり出られへん!さっきは何で廊下まで出れたんや???」


どうしてだ??
考えろ。きっと、自由になれるカギがあるに違いない!


私はしばらく考えて、こう口にしていた。




     「、、、あれぇ〜?」


つまり、何も分からなかったのだ。


そして、

     「えぇ?あれぇ??」

と言った後、こうも言った。

      「おかしいなぁ〜」



すると、元気な挨拶の声が扉の外から聞こえて来た。

「魔王様、おはようございます〜!!」

声の主を見ると、いつもボーっと突っ立ってるだけのツェシだった。

「お、おお、おはよう。」

「リフォーム、最終チェック含めて今終わった様ですね!」

いつも無愛想なツェシが、何やら今日はえらく上機嫌だ。
いつも業務の事を言う以外は無視されるのに、今日は、そちら様から話しかけて頂けるなんて、何があったんだ?私はまだ酔ってるのか??


とは思いつつも、嬉しくなった。
ようやく、彼女と打ち解ける事が出来たのでは無いだろうか?


「で、魔王様。今回のリフォーム、コレ、どーいった意図が有ったんです?聞かせて下さい」


「おお、そうか、気になるか!
今回のリフォームの目的、それは、ズバリ!
魔王をスムーズに攻略してもらえる様にした」

「えぇ?どーゆう事ですか?」


「まず、私の弱点は、目薬99個。
しかし、攻略に来たパーティーが目薬を99個持っていなかったら??

その不安を解消する為に、魔王城一階に出て来るザコモンスターを全部、倒したら目薬を落とすサイクロプスに変更した」

「なるほど」


「そして宝箱の位置も、今まではバラバラの部屋や廊下に置いてあったのを一部屋にまとめた。」

「それはどうして??」

「一部屋にまとめたと言っても、ギッシリ詰めて置いてる訳じゃない。まばらに置いてあるんだが、上から宝箱を見ると、こうなる。茶色いのが宝箱だ」



「MAPで見ても、弱、点、と読める。その弱点柄に置かれた宝箱の中身が全部、目薬なわけだ。コレで魔王の弱点が目薬だと気付かないヤツは居ないだろう!」

「うわー!凄い!!!!」


「あと、前にも言った様に、今後ツェシが扉の前で売るのは、以前の弱点の鍋の蓋ではなく、目薬99個セットに変更だ」

「アイ・サー!」

「極め付けはこの魔王の間の壁のタイル、コレを白と黒で不規則に並べさせた。何故だと思う?」

「さぁ?」

「よく見てみな。実はコレ、QRコードだ」



「コレを読み取れば、また弱点のヒントになるって事さ」


「へぇーっ!!」


「更にコレが1番金がかかったんだ。2階の駐輪場を無くして、その広大な土地にカジノを作った。

これで、カジノ目当てで魔王城に来てくれる人も増えるだろ?“カジノで勝ったついでに3階に寄って魔王に挑戦”みたいな人も増えるだろ」

「なるほど!あったまいー!♪」


「あとは空気清浄機のフィルターを変えた」


「なるほど、いろいろ考えて居るんですね!」

あぁ、喋り相手が居るっていいなぁ。
時間が過ぎるのも早い。

と、思っていた矢先、残念なお知らせが。


「では、魔王様、わたくし、業務がありますので、戻りますね」

あーぁ。残念。
もうちょっと居てくれても良いのに。

てゆーか、業務って何よ??いつもボーっと立ってるだけやのに。

なんて思いながら、また椅子に座り、ボーっと天井のスミを見ていた。


あまりにも無音すぎる為に、部屋の隅で落ちる水滴の音が聞こえてくる。

その水滴が落ちる音を1回、2回、、、6008回、6009回と数える暇つぶしをして居ると、扉の向こうから男の声がする。

(なんだ、、、??まだ、現場観音8人衆が廊下のリフォーム跡に問題が無いか見て回ってるのか、、?)

と思いながら耳をもっと澄ませてみる。

かすかにう〜っすらと、男の声が聞こえる。

聞き慣れない声の様だ。






  『なに?ずっとこっち見てるやん!!』


  『気持ち悪い!もう、行こ行こ!!』







、、、、ボーっとしていた為、スイッチを切っていた思考回路が急に動き出し、心臓が高鳴った。





「え???、、、まさか、、、???」

と久々に声を発した直後に、扉がギィ〜っと少し開き、向こうから先程よりもハッキリと聞こえる声がする。




『大丈夫!攻略法も分かってるんだし、絶対に勝てる!行こう!』


その声の直後に見知らぬ男女5人組が入ってきた。







、、、、、、勇者だ!!!!


      え、いきなり!?


こんな、なんの前振りもなく、急に現れた!


     でも!!!やった!!!




魔王を、倒しに来てくれたんだ!!!!



       長かった!!!


いや、厳密にはまだ4日目で前任の魔王に比べればまだまだ短いが、それでも十分過ぎるくらいに退屈だった!


      ようやく解放される!


その嬉しさから、



     「ウォォーーーー!!!」



と、雄叫びをあげ、第二形態の竜の姿に変身をした。



その瞬間、何かが私に投げつけられ、ソレはカツーンと勢い良く頭にぶつかった。


私にぶつけられたソレは、跳ね返り、床をコロコロと転がっている。




   床に転がるものをよく見てみた。






     ソレは、鍋の蓋だった。






     【続くかもしれない】




あとがき・今回の弱点の並びで置かれたMAPの絵は、全て高級な寺岡テープ(ハンズで一本800円くらい)で書かれております。
「どうしてペンで行ったらんかったんやろう?」
それしか思いません。

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