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並木寧音「旗手」

超新星が入ったことで今駅伝界隈が盛り上がっている東京農業大学。しかし、箱根駅伝に向けてそれ以前より東京農業大学は改革を進めていたこともまた、事実である。その第一人者こそが並木くんであり、高槻くんだった。

バンカラ気質がある東京農業大学を箱根までに導いたのはその改革の最前線で活躍していたことは間違いない。


100回での復活を目指して入学をしてきた

100回記念大会での復活を目指し、スカウト活動をしてきた小指監督が直々にスカウトした最初の世代が並木くんたちだ。「練習環境が整っている」と東農大に進むことを決断した彼は東京実業高校時代には青梅マラソンで10km部門優勝を成し遂げるなど実績十分で入学。

入学後もその実力を遺憾なく発揮。ルーキーイヤーからハーフマラソンで1時間2分台と好タイムを残すと、10000mでは2年時に28分20秒49、3年時は28分16秒30まで短縮するなどタイムを確実に伸ばして成長をしていく。

関東学連選抜で地元に近い2区を走ったのはこの時だ。区間13位相当という結果だったが当時は田澤廉選手など強いランナーも非常に多くその中で健闘したともいえる。

それでもだ。予選会では決して芳しい結果を残したとは言えない数字が続いた。チーム内成績を稼いでいたのは高槻くんと並木くん。しかし、あとが続かないまま17位→18位→17位という結果が続き、2年時に学連選抜に選ばれたとはいえ決して満足いく結果を残せたわけではなかったのだ。

だが、その中で並木くんは研鑽に研鑽を重ねた。努力して積み上げたものはやがて結果となりもう一人の「力」を引き寄せることとなる。

睡眠の質向上

その後も実力を伸ばし、今年の3月に行われた学生ハーフマラソンでは4位入賞を成し遂げるなどスタミナという面でも大きな成長を遂げた。

「ちょっと慌ててしまった」と3位以内でなかったことを悔いたものの、睡眠の質向上のためにリカバリーウェアを購入したりして、陸上競技にお金をかけることを強く意識したことがさらに彼を強くさせていく。学連選抜とはいえ高槻くんと並んで学連選抜を走ったという経験と、研鑽を怠らなかったこと。

それが前田くんという化学反応によって実りを迎えた東京農業大学は全日本大学駅伝を予選突破すると、その勢いのまま夏を越えそして立川での喚起につながった。

とはいっても、まだ彼らが満足している数字ではないことをここに明言せねばならない。目指している先はまだはるか先なのだ。

シード権獲得のためには爆走が不可欠

今年の全日本大学駅伝で4区まで5位の位置につけていた東京農業大学は、決して力が無いわけではない。しかし、その後の失速も相まって結果として13位でゴールをすることとなってしまった。関東の大学15校参加のうちの13位というのはまだまだチームとしての実力に差があると言わざるを得ない。

しかし、高槻くんと前田くんを擁し、序盤から主導権を握るレースを展開していけば何か大番狂わせを起こしても決して不思議ではない。これまで3年連続チーム内トップだった高槻くんは、最終学年になりここまではやや調子を落とし気味にうつる。

だからこそ、並木くんと前田くんの「爆走」は言ってしまえばシード権獲得という目標に向けての最低限となる。

「今年は勝負の年です」と語るのは、東京農業大学の村上和春コーチ。その中でまずは箱根駅伝という結果を残した。残る本戦、古豪復活のきっかけとなるかどうかは間違いなく箱根駅伝にかかっている。

その旗手となり箱根路を駆けていくのは、やはり並木くんたち最上級生であるべきだ。と私の感想になるがそう思うのだ。

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