見出し画像

シャウエンの冬、苦い思い出

モロッコにきて予想外だった1番の出来事は、衝撃的に寒いことだった。

特に1ヶ月暮らしていたシャウエンは北部で、山間部だったこともあり、特に寒い地域だったようだ。
もともとカンボジアに行くつもりで、モロッコ行きが決まってからも気分的には「暖かい海外へ行く」という思考回路から抜け出せていなかったのが試練の始まりだった。

画像1

荷造りしたキャリーケースに入れた冬服は3着。フード付きのパーカを2着と、合皮でできたレザージャケットだ。
コートやヒートテックは何故か必要ないと思い込んでいた。あとは部屋着でお気に入りだったジェラート・ピケのもこもこガウンを奇跡的に持ってきていた。

おかしいな?と思ったのはシャウエンに到着し宿に一泊した翌日の朝。

なんか、思っていたよりも部屋、寒くない…?

布団から抜け出せない。あと、部屋がなんか暗い。
もう日は登っているはずなのに。

iPhoneの今日の天気には最高気温18度とあるけれど、絶対にこの部屋の温度は10度以下だ。布団から出られない。

借りていた一室は、広さは10畳くらいに、窓がひとつ。
窓の大きさはファッション雑誌を広げたくらいの大きさしかない。
石造りのような壁ということも相乗効果を持って、暮らし始めて2週間後にはこの部屋が「監獄」のような感覚になった。

日中外に出てお日様に当たっている間は暖かいのだ。
でも、室内が異常に寒い。
自室は小さな窓しかないからお日様の恩恵は受けられない。暖房はリビングにしかなく自由に使わせてもらえない。

画像2

日中はコート代わりに購入したジュラバを着て、寒さから逃れるために外に出る。寒さを凌ぐためにひたすら散歩をするのだ。

でも日が落ちると外も寒い。
私は、夫が持ってきていたヒートテックを貸してもらい、もこもこガウンを着て布団に入る。
そしてひたすら寒さに耐える。これ以外の選択肢がなかったのだ。

お風呂がこんなにも恋しいと思う時間は、これから先にもなかなかないだろう。
日本は本当に恵まれている国だ。カフェも、家も、一歩屋内に入ると絶対に暖かいんだもの。
こんな寒いなんて知らなかった、こんなはずじゃなかった。

そんな文句を頭の中に思い浮かべても、ここに来ると決めたのは私自身。(宿も私が決めた、過去の自分を責めたい!)
誰のことも責められないし、呪詛を言っても何も解決しない。

この1ヶ月が終わってからは暖かいところに絶対に行きたい。生活を整えたい。

画像3

…こんなことを考えていた1ヶ月を乗り越えて、今は暖かい地に無事移動できている。

普段更新しているSNSだけだと海外に行ってキラキラ!幸せ!みたいに見えていると思うし、それを若干狙ってもいる。
もちろん楽しいことも山ほどあったが、最初の1ヶ月は正直結構つらかった。
しんどさ6割:楽しさ4割くらいでしんどさの勝利といったところだ。

シャウエンに次行くときは絶対にヒートテックとホッカイロを大量に持っていこう。そう心に決めている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?