REKIHAKU:歴史と文化への好奇心をひらく

国立歴史民俗博物館の定期刊行誌『REKIHAKU』の公式noteアカウントです。『RE…

REKIHAKU:歴史と文化への好奇心をひらく

国立歴史民俗博物館の定期刊行誌『REKIHAKU』の公式noteアカウントです。『REKIHAKU』に掲載された特集記事を一部掲載します。

最近の記事

『REKIHAKU』011連動展示:顔身体をもつ先史時代の道具たち

はじめに  『REKIHAKU』011の特集は、顔や身体をつけた道具から、様々な文化・社会の特徴を考えたいと企画しました。なぜヒトは顔に注目するのかを心理学的に解説していただいたり、弥生時代~古墳時代に顔造形がほとんど消えてしまう現象、中国・琉球から九州にかけての顔を持った船、フィクションとしての「付喪神」、中米マヤにおける顔が付いた土器の社会的価値の高さなど、それぞれ特徴的な歴史像が浮かび上がってきました。  中でも、私が研究している縄文文化は、長い歴史の中で、特定の

    • 他者として遊女の「日記」を読むということ 「日記」を書く遊女たち(横山百合子)

      ※ このnoteは「REKIHAKU 特集:日記が開く歴史のトビラ」(2021年6月刊行)に掲載されたコラムの転載です。 きっかけは遊女の放火事件の資料 東北大学附属図書館の著名なコレクション狩野亨吉文庫のなかに、一八四九(嘉永二)年の新吉原遊廓で起きた遊女の放火事件の資料があることに気付いたのは、数年前のことだった。『梅本記』と題された、新吉原京町一丁目の遊女屋梅本屋佐吉の抱え遊女たちの放火事件の裁判調書である。『梅本記』には、遊女の自筆の「日記」やその「日記写」も含ま

      • 女房が日記を記したのはいつからか? かな日記と『土佐日記』(小倉慈司)

        ※ このnoteは「REKIHAKU 特集:日記が開く歴史のトビラ」(2021年6月刊行)に掲載されたコラムの転載です。 かなを用いて日記を書くことは貫之の発明ではなかった 「かな日記」と言えば、古代では紀貫之『土佐日記』が有名である。「をとこ(男)もすなる日記といふものを、をむな(女)もしてみむ、とて、するなり」で始まる創作文学であり、土佐から帰任する国司に随従する女性の立場で記されているが、貫之が土佐守の任を終えて都に戻るのは九三四(承平四)年末から翌年にかけてのこと

        • 中世の「日本」はどんなカタチをしていたのか?(荒木和憲)

          ※ このnoteは「REKIHAKU 特集:いまこそ東アジア交流史」(2021年2月刊行)に掲載された特集記事の転載です。 中世「日本」の境界 いまから500年前の「日本」はどんなカタチをしていたのだろうか。北海道は「夷島(えぞがしま)」と呼ばれる異域だった。沖縄には琉球国という国家が存在し、奄美諸島(鹿児島県)をも領有していた。中世「日本」の境界は、現代日本の国境とは全く違うし、中世という時代(11~16世紀)のなかでも変動がある。ユーラシア大陸ほどダイナミックではない

        『REKIHAKU』011連動展示:顔身体をもつ先史時代の道具たち

          個人を通して見る近代東アジア─中国の石炭を日本に売ったイギリス人実業家─(吉井文美)

          ※ このnoteは「REKIHAKU 特集:いまこそ東アジア交流史」(2021年2月刊行)に掲載された特集記事の転載です。 個人の目を通してみる「外国」わたしの専門としている日本外交史や東アジア国際関係史では、基本的に国家を軸として歴史を描くことが多い。たとえば、日本外務省やアメリカ国務省などの史料をもとに、外交官や政治家など政策決定者が何を考え、どのように国家間の外交交渉を進めたのかが考察対象となる。その場合、外交政策を策定するまでに国内の諸勢力の間で展開された攻防が考察

          個人を通して見る近代東アジア─中国の石炭を日本に売ったイギリス人実業家─(吉井文美)

          名もなき人々の小さな日朝関係史―瀬戸内漁民の朝鮮海出漁─(松田睦彦)

          ※ このnoteは「REKIHAKU 特集:いまこそ東アジア交流史」(2021年2月刊行)に掲載された特集記事の転載です。 残された一枚の画幅「愛媛県越智郡魚島村韓国出漁之状況」 東西に長い瀬戸内海の中央、燧灘(ひうちなだ)の真ん中に浮かぶ島、魚島(うおしま)。島の面積は一・三七平方キロメートル、周囲は六・五キロメートル。愛媛県越智郡上島町に属する小さな島である。 魚島の港と集落(2018年撮影) 漁業の盛んなこの島には、漁船団の出航の様子を描いた、一枚の画幅が残されて

          名もなき人々の小さな日朝関係史―瀬戸内漁民の朝鮮海出漁─(松田睦彦)

          資料を残し伝えることの意味(天野真志)

          ※ このnoteは「REKIHAKU 特集:されど歴史」(2020年10月刊行)に掲載された特集記事の転載です。 災害と向き合う「資料」という道しるべ大規模な地震や津波、さらには感染症など、社会を揺るがす困難に直面した際、過去に起こった類似の事象を探し出し、そこから何かしらの教訓を得ようとする現象が広く見られる。二〇一一(平成二三)年の東日本大震災時には、貞観地震(八六九年)や慶長地震(一六〇五年)などが注目を集め、新型コロナウイルスが流行する現在では、スペイン風邪など過去

          資料を残し伝えることの意味(天野真志)

          シーボルト父子と一五〇年前の日本(日高 薫、福岡万里子)

          ※ このnoteは「REKIHAKU 特集:されど歴史」(2020年10月刊行)に掲載された特集記事の転載です。 シーボルト父子の知られざる姿を追う国際プロジェクト 江戸時代の日本に来て、長崎・出島のオランダ商館付きの医師として、日本人に西洋医学を教えたことで有名なフィリップ・フランツ・フォン・シーボルト。 幕府禁制の日本地図を持ち出そうとして国外追放され、お滝さんや娘のイネを残してヨーロッパに帰らなければならなかった彼が、年老いてから開国後の日本を再び訪れていたことはさ

          シーボルト父子と一五〇年前の日本(日高 薫、福岡万里子)

          ジェンダー史研究事始(三上 喜孝)

          ※ このnoteは「REKIHAKU 特集:されど歴史」(2020年10月刊行)に掲載された特集記事の転載です。 生きづらさとジェンダー少し前にチョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』(斎藤真理子訳、筑摩書房、二〇一八年、原著刊行は二〇一六年)という小説が話題になった。韓国ではすでに一三〇万部を突破し、アメリカやフランス、ベトナムなど世界の二二の国と地域で翻訳出版が決定している。日本でも発売から一年で一五万部を超え、多くの読者の心をとらえた。 小説の主人公は、キム・ジ

          ジェンダー史研究事始(三上 喜孝)

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