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「信頼関係のある絆」が未来の価値になる | 渋谷「CHEESE STAND」 藤川真至

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インタビュー | CRAFTSMAN × SHIP の発起人 | 渋谷渋「CHEESE STAND」藤川真至

11月23日(土)に渋谷の国連大学で、CRAFTSMANたちによるイベント「CRAFTSMAN × SHIP」(copy by Shin Kikuchi)が開かれます。そのイベントの発起人でチーズ職人の「CHEESE STAND」藤川真至さんに、開催の経緯や抱負を聞きました。

――今回、「CRAFTSMAN=職人」をテーマにしたイベントを立ち上げられましたね。

「CRAFTSMAN × SHIP」という表記で「クラフトマンシップ」と読みます。イベントの立ち上げのコンセプトを考えるときに相談にのっていただいていたchiQの菊池紳さんのキャッチコピーなんです。これを僕はすごく気に入っていて、クラフトマン魂という意味はもちろんですが、船の意味としてshipをとらえると、CRAFTSMANの仲間たちといっしょに船出するようなイメージもあって。

そのあたりのことをクリエイティブ集団である「301」さんたちが、うまくビジュアルにしてくださいました。船と手触りのある木目のイメージからできたロゴもお気に入りです。

――「CRAFTSMAN × SHIP」は、どんなイベントにしたいですか?

伝統的な技と知識をもとに、自らの手から誠実で偽りのないものを作り出す「CRAFTSMAN=職人」が、どんどん姿を消していっているように思います。「人類の本質」ともいえる手仕事が失われていっていることに、さびしさを感じながらも、良いモノを作っているだけでは時代に淘汰されていく、ということに強い危機感を感じていました。

2019年7月に、noteで「CRAFTSMAN 2.0」を宣言しました。職人は、自ら発信力をつけて、時代とつながっていきながら、新しい価値を創造し続けていかなければいけないと思っていて、そのために職人は、職人でありながら、経営者になり、クリエイターにもなっていく必要があるのではないか、という職人の存在自体のアップデート論です。

一方で職人は、これまであまりやってこなかった「使い手のみなさんとのつながり」をより強く持っていくことも大切だと思っております。つまり、自分たちのプロダクトや、お店や工房での体験を通じ、「信頼関係のある絆」を作ることです。

――「信頼関係のある絆」とはどういうことでしょうか?

正確・不正確な情報が氾濫する現代にあって、この「信頼」こそが、これからもっとも価値とされるものになっていくと思います。その「信頼」と「絆」が、翻ってプロダクトやお店での体験の質を上げていくのではないか。

そんな考えのもと「CRAFTSMAN × SHIP」は、職人と使い手のみなさんとの「絆」をつくるための「対話」ができるような場にしたいと考えています。

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――「CRAFTSMAN × SHIP」のイベントはどんなものになりそうでしょうか?       

僕のほかに、「Minimal」の山下貴嗣さん、「365日」の杉窪章匡さん、「FUGLEN TOKYO」の小島賢治さんという、奥渋メンバーに集まってもらって、4人がそれぞれ作ったチーズ、チョコレート、パン、コーヒーを味わってもらいながら、そこに込めた自分たちの想いをお伝えするというのが、メインになります。

そこから、僕たち職人は、どんな想いをもってプロダクトに向き合っているのか。ほんの1ミリ、1グラム、1秒にのせた信念、哲学をぜひとも知ってもらいたい。そして、僕たちはその1ミリ、1グラム、1秒の違いから、みなさんが何を感じ取ってもらえるのかを知りたい。

そしてそれはきっと、「CRAFTSMAN × SHIP」で生み出そうとしている「信頼関係のある絆」の拠り所になるはずです。

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――「CRAFTSMAN × SHIP 」のイベントに参加した人たちにどんなことを感じて欲しいですか?

こうした「信頼関係のある絆」によって生まれたプロダクトは食品だけでなく、衣服や日用品、家具、さらには生き方そのものにまで関係が広がっていくと思います。そして、「信頼関係のある絆」によって成り立つプロダクトを選ぶこと、そしてそうしたものとともに暮らすこと、そうしたことから、豊かさというものを感じてもらえればと思っています。

「CRAFTSMAN × SHIP」が、そんな未来への手がかりになればいいですね。

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CRAFTSMAN × SHIP(クラフトマンシップ)
【出演】 CHEESE STAND ー 藤川真至/Minimal ー 山下貴嗣/365日 ー 杉窪章匡/FUGLEN TOKYO ー 小島賢治/and You.
【日時】 2019.11.23 sat open 13:00/start 13:30
【参加費】 3000円(税込)
【場所】 青山・国連大学
【協力】 ファーマーズマーケット・アソシエーション
13:00 開場
13:30 第1部 CRAFTSMAN TALK
藤川真至/山下貴嗣/杉窪章匡/小島賢治 各20分
4人のCRAFTSMANが作った商品を食べながら、そこに込めた想いや開発の秘話などを聞くことができます。
15:20 第2部 交流会
藤川真至×山下貴嗣×杉窪章匡×小島賢治
CRAFTSMANと参加者の質問を中心としたディスカッションのほか、各店のブース出店もあり、商品を実際に購入することができます。
16:30 終了
※内容は予告なしに変更になる場合があります。

「CRAFTSMAN × SHIP」前売りサイトはこちら

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ふじかわ・しんじ
1981年岐阜県生まれ。2006年大阪外国語大学イタリア語学科(現大阪大学)卒業。卒論「イタリアのモッツァレラ」。
在学中に藤原新也「メメント・モリ」に感銘を受け、バックパッカーに出る。高校時代になりたかった料理人への夢を、世界で夢を追いかけている人に出会う中で思い出す。イタリア・ナポリにて飛び込みでピッツェリアで3ヶ月見習いにて修行。この頃出来たてのモッツァレラチーズに感銘を受ける。トレンティーノ・アルト・アディジェにて、3週間ほど住み込みでチーズ作りを学ぶ。インドには行かず帰国後、名古屋のピッツェリアで働き、地産地消やサスティナブル、食育など食に対しての姿勢を確立する。2008年東京にてドーナツ店のマネージャーに。経営を学ぶ。2012年バックパッカー中に感銘を受けた出来たてのチーズの美味しさを広めるため、また今まで遠い存在だったチーズをより身近にするため、渋谷区神山町に「SHIBUYA CHEESE STAND」をオープン。日本で初めてブッラータを製造販売や卸、ECなどを行う。

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撮影/坂田佳菜女 構成・文/江六前一郎 edited by MAGARI

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