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出かけてきたよ㉗(新たなる地へ🌎)

人気の無い空港に降り立つ。空港内、真っ暗だ。
わずかに灯を灯していた、チェックインカウンターへ。
こんなに、すぐに出国できてしまうこと、今までなかった。
並ぶことなく、自分一人に係員数人という厚遇で、全ての手続きを通過。

発着地の積雪により、搭乗機の出発が遅れていた。
何でもない空が広がる外を見やりながら、
先程、空港に来るまでのことを思い出していた。
あの龍は、お天道様は、どこへいったのだろう。
・・・・・幻。

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空港へのバスの車窓から何気なく、
「帰宅」する時、通常しないことをした。
振り返り、後方に流れていく景色から、
自分の実家周辺のエリアをわざわざ探し、眺める。
六甲山系が、うっすらと雪を戴いている。
ああ、最近冷え込んでいたもの。山上は積雪していたんだ。

突如気づいた。
その様は、延々と続く龍の背。
驚きで、周囲を思わず見渡してしまった。
あんなに勇壮な姿なのに。気づいている人はいない様子。
さようなら。お見送り、ありがとう。
そっと”龍”に、別れを告げた。

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空港近くなると、西に海が広がっていく。
いつもはこの海を眺めながら、私は空港へ導かれる。
しかし、再度通常しないことをした。
海の反対側に座り、東に目を向けた。

曇りがちの空が広がっていたはずなのに。
車窓いっぱいに、抜けるような青空がひろがっている。
そして、雲と言う雲が不自然なまでに集まって分厚くなり、
太陽を覆っていく。日輪に見つめられながら、空港へ。

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お人払い。人気の無い空港。
もしかしたらここは、異次元の世界なのかもしれない。
別の世界では、いつものようにたくさんの人が行き来している
空港であるかもしれない。
私は、どこへ行くのか、帰るのか。

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この一時帰国では、たくさんの素晴らしい方と
実際にお会いできる機会に恵まれた。
お一人お一人、思い出す。

この日の直前に、尽きる事のない時間を再び共有したことも。
わんこ紅茶、美味しかったですね、カミーノさん。
ありがとう。また会いましょうね。

経由地に到着した際、
すでに、次の飛行機の搭乗開始時間をわずかに過ぎた時間だった。
コ〇ちゃん関係の手続きに、ゲートは長蛇の列。

そこに、先程私が乗せてもらっていた飛行機のパーサー、
キャビンクルー達の一団が来るのが視界に入ってきた。
簡単に、搭乗させてもらったお礼を述べた後、
これからさらに、同社を利用して遠方に行く予定であること。
その飛行機の搭乗が始まっているが、なんとか同社を利用したい。
どうしたら最善の策となるかを知っていたら教えてほしいと話した。

有難いことに、パーサーが長蛇の列の隣にあった、クルー用のゲートに
掛け合ってくれた。お蔭で、そこを利用させてもらえることになった。
申し訳ないが、たくさんの人をすり抜け、ゲートを通過。
ありがとう、ありがとう。
クルーに手を振ると、「良い空の旅を」と声を掛けてくれながら、
みんなで手を振り返して、見送ってくださった。

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その後、とにかく文字通り、空港内を疾走。
パスポートは握りしめていたが、
手荷物をもっていたかどうかも、記憶にないくらいだ。

次のゲートが見えてホッとする間もなく、ここにも長蛇の列。
この現在の世界状況において、ここでフライトを逃すと
非常に面倒なことになることが予想された。
ましてや、ここは経由国💦
おまけに、スケジュール通りに帰宅できないと、仕事にも障る。

かつては、モジモジするばかりで極度のはにかみ屋だった私。
人間は、色々な面を持つのだろう。そんな過去はどこへやら。
まずは上着着用の空港関係者を見つけ、事情を説明した。
すると、あっさりその場でパスポートを検め、通過。
一部始終を目にしていた、手前に並んでいた人が笑顔で
「よかったね、間に合いますように」と
声をかけてくださったのが嬉しく、非常に有難かった。

もう一つ、人でたくさんのゲートがあったようにも覚えている。
そこでも同様にして、通してもらった。
走る、とにかく走る。
母国から、文字通り飛んで走って、私は在住国に行く。

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居住国への飛行機は、私を待っていてくれた。
ゲート近くを走る私を、グラウンドスタッフが呼び止めてくれた。
そこで、他所からのフライト到着遅延もあり、
まだゲートを閉じていないことを知った。

ひたすら安堵して、座席に身を埋める。
フライト中にアルコールは摂らないことにしているが、
母国上空を飛行する機内、経由国産まれのビールで祝杯をあげた。

またね、母国。
たくさんの人・巡り合わせのお蔭で、私は訪問できた。
そして、帰るべく時が来て、居住国に行く自らを実感した。

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微睡んでいる間に、オンタイムで飛行機は私の暮らす国に到着。
ターンテーブルに行ったとたん、自分の荷物が目の前に飛んできた。
喜ばしい呆気なさ。このご時世だけど、戻れた。

国内線は満席。
さらにひと眠りしている間に、私の暮らす街に到着。

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”ただいま”

この空の下で、暮らす。
いつか再び、舞い立つ日まで。

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※このnoteは数か月前の出来事を綴っています。
 これまで、「出かけてきたよ」にお付き合いいただき、
 ありがとうございました。

ありがとうございます! あなた様からのお気持ちに、とても嬉しいです。 いただきました厚意は、教育機関、医療機関、動物シェルターなどの 運営資金へ寄付することで、活かしたいと思います。