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メールは人の為ならず~嫌なことを言っちゃう人は~

メールというストレス

小売業の現場にいる私たちには
販促系を筆頭に、
品質管理・経理系・総務系に人事系と
本部のあちらこちらの部署から
ほぼ毎日、多岐にわたる様々なメールが届く。

本部は土日が休日だが、
私たちは平日休みが多い。

なので、シフトが休日明けの遅番で、
たった一日半、PCを寝かせようものなら
新着メールの数と件名の羅列に
固唾を飲むことも少なくない。


その件名をざっと見るだけで
どのようなレスポンスを求められるものか
その所要時間がどれくらいかもわかる。

『今日も定時じゃ帰れません』

そんなとき、私はいったんPC を閉じる。
とりあえず、見なかったことにする。

業務開始と同時に、
「本日の業務キャパオーバー確定」を認めるのは
店長とはいえ、内心バックレたくなる。

なので、見なかったことにして
気持ちを仕切り直す。

薄氷の意欲が砕けないための回避行動。

これはたぶん
防災関係の講義できいた、
「正常性バイアス」とかいうやつだ。

正常性バイアスとは
自分にとって都合の悪い情報を無視したり、
状況を過小評価しようとする認知特性で

「自分は大丈夫」と
心の平穏を保とうとする心理だ。

私はメールチェックに非常事態における
認知機能も働く。(どんな自慢?)

それくらい、現場の店長にとって
メールはストレス。

誰かを責めたくなるけど
誰も悪くない。

本部の担当者たちも、自分の業務を
粛々とこなしているだけ。

たまたま同時に現場へのメールが
集中しただけなのだから
と、気持ちを立て直すべく
見なかったことにして避難に走る。

その場しのぎの回避行動。


メールに人柄を読んでしまう

メールにストレスを抱える私は
せめて「楽しい読者」でいたいと願う。

店舗側の私たちは概ね、メールを貰う側なので
配信側が著者、私たちは読者だ。

楽しい、は無理でも
ストレスは案件の内容だけにしたい。

業務なので、内容が面白いなんて
めったに無い(というか、無い)。

だが、そんな無機質な画面から
文字を通して「体温」が伝わることがある。

そんな瞬間はやはり救われる。

日々、滝のように流れてくるメールを
浴びていると、
些細な文言や、表現に対して敏感になり
励まされる思いがしたり、癒されたりもする。

そして、そのメール配信者に対しても
勝手な感情が芽生えるものだ。

知っている人のメール文だと
妄想はそこまで広がらないが、
会ったこともない相手だと、
メールの文章そのものが
配信者その人自身となってしまう。

「メールの印象=人柄」
そう解釈してしまう。


繰り返されて強化される条件反射

「この前の書類、
さっさと出しなさいよ、何やってんの
何回も言わせんじゃないわよ」

人間関係においてこんな伝え方は非常識だ。

なのに、メール文では
そういう翻訳が出来てしまうことがある。

文体は「です・ます」の
敬体文なのに

上から目線や、丸投げ感、非難とかが、
文章のあちこちから滲んでいる。

これが作品なら
その著者を選ばなければいいだけだが
業務メールなので
その『著者』が部署異動にならない限り
読者を辞めることは許されない。

月に数度、メールでのみ
やりとりするだけなのに

実際、どんな人か知らないのに
その人の印象は固まって行く。
苦手意識も湧く。

案件がどうの以前に
発信者の署名を見るだけで
梅干しの映像に唾液が出るみたいに
酸っぱい気持ちになる。


例文比較コーナー

A:先般、お知らせした○○について
 提出期限が〇月〇日と迫っております。
 繰り返しお伝えしておりますが、
 規程に沿ってご提出頂けない場合は
 処理が翌月に持ち越しとなります。
 (※ご丁寧にその規程文書まで添付!!)
 また、期限ギリギリにご提出されましても
 処理の立て込みが予想され
 期日内での対応が間に合わないこともございます。
 取り急ぎ、ご対応をお願い致します。

件名からしてケンカ腰w ちゃぶ台返し確定案件

B:○○について
 期限:〇月〇日(〇曜日)〇時
 再度、ご案内させて頂きます。
 日程に猶予が取れず、
 皆様にはご迷惑をお掛け致します。
 店舗業務との兼ね合いなどにより
 期限内の提出が難しい場合はお手数ですが、
 ○○(←担当者名)までご一報頂ければ
 可能な限りで調整させて頂きます。
 尚、今日明日ですと終日在席しております。
 お電話でも構いませんので、いつでもご相談下さい。

文字から体温が… お釈迦様の蜘蛛の糸

同じ催促なのに、
印象が全く違う二つのメール。

これはある年の瀬に来た文書だが
本社が年末年始、休業に入る前に
私たちへ書類提出を促すためのものだ。


店は年末年始など関係ないわけで
しかも
繁忙期でデスクワークどころではない。

ただでさえ、メール対応は
店舗業務の合間や休憩時間を割いて
さばくしかなく、
当然、店で何かあった場合は
そちらが優先されるので
メール対応は業務終了後となる。

そんな状況にいる私たち。

タイミングもほぼ変わらず
A、Bの依頼メールが届いた場合、
優先順位も締め切りも似たようなものなら
どちらを先に対応するか?


ふん、言わずもがなじゃない。

あたしだって生身の人間なのよ。

悪態つきつつ、
やらなきゃいけないからやるんだけど。


ある日、他店の店長から
在庫に関する電話があったついでに
ふと、このメールの件を切り出してみた。

「Aメールの書類?もう送れた?」

「あ~、あれねー…
てめぇの正月休みに合わせてやってられるか!
って感じで…、まだ…」

受話器から漏れた力の無い失笑に

「あ、同じ穴にムジナはもう一匹いた」

私は自分と同じ匂いをかぎ取った。

この電話の店長はサバサバしていて
いつも朗らかな、感じの良い人だ。


メール一つで
善人がブラックデビルに変身したりする。


その頃、本部では…

サクサクとキーボードを打つ
Bメール担当者の隣、または対面の席で

「あー!何でこうも書類が集まらないのっ!
 帰れないじゃない!!」

と、カリカリ・イライラするAメール担当者。

世の情けはきっと
こんなふうに循環している。


誰かに嫌なことを言う人は
きっと、自分自身にも嫌な思いばかりさせている。
そして、そのことにも気づいていなかったりする。

ここテストに出まーすw



これはやーさんの記事を
共感に打ち震えながら拝読して、ふと
投稿せずに保存してた記事を思い出しまして
今回、日の目を見ました。
やーさん様、ありがとうございます。
「すっごいわかる~!」ってエピソードです。
ぜひ、ちぇけら♡


「嫌なことを言われたとき」のお題から
視点が少しずれてるんですけど、、、

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