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子どもからの"甘えたい"のサイン 中編

眼科の通院後、
私は退職を考えるようになった。

育休時代と比べて今の子育てはどうか
と自問自答した時に、
最近、子供たちの目を見て話せているだろうか。
背中を見せているだけだ。
子供とゆっくり話せているだろうか。
いや、寝る前の時間も翌朝の起床を考えて、会話もしないまま絵本だけ読んで寝かし付けていたこともある。

そして、下の子はまだ手がかかったため、ぐずって抱っこを求められれば積極的に抱っこしていた。
それを見ていた上の子が
 抱っこして欲しい。
 まだ〇〇も抱っこして欲しい。
と言うようになった。
2人を抱っこして、幼稚園の荷物も持ち、車から玄関まで連れて行った事もある。
それも、日々の疲労からできなくなっていた。

土日は子供2人を連れて食材の買い溜めに走り、日曜の夜は平日の仕事を考えると休んだ気にならなかった。
幼稚園は週2でお弁当もあり、お弁当の日の片付けはいつにも増して地獄だった。
毎日の食器洗いでのお箸類セット、コップ、おしぼり、水筒に加えて、お弁当箱が加わるのだ。

復職してからの私は時短勤務をしていた事もあり
 早く仕事を覚えなきゃ。
 周りに迷惑を掛けないようにしなきゃ。
 時間内に仕事を終わらせなきゃ。
 家事・育児・仕事をこなさなきゃ。
と、自らを追い詰めるように課題を課していた気がする。

復職してからの子供たち、特に上の子は
 頑張っているお母さんをサポートしなきゃ。
 忙しいお母さんに甘えてはいけない。
 出来ることは、自分でやらなきゃ。
と思わせていた気がする。

それが互いに限界に達していたのだろう。

幼稚園に子供たちを預けてすぐに、ベテランの女の先生に、皮膚科に通院していることや眼科で言われた事を話した。

先生は自分の経験も交えながら話した。

「私も子供を預けて仕事をするのは罪悪感があったし、家では怒ってばかりいて嫌な母親だなって自己嫌悪にもおちいった。
子供が園内で他の子を叩いた話を聞いてショックだった。
仕事を辞めた方が良いのでは…とも思った。
お母さんは自分の子供に対して一生懸命になるし、心配も大きくなる。
園の先生にも相談した。
"子供は頑張っているお母さんの背中をちゃんと見てますよ。
子供に自分の気持ちをちゃんと話して下さい。
きっと理解してくれます。
協力をしてくれるようになるかもしれません。
私たちは園でお子さんをちゃんと見ますから、お母さんは家庭でちゃんと見てあげて下さい。
向き合う時間を作って下さい。"
と言われて、子供に自分が家事に忙しく相手ができない気持ちを正直に話し、寝る前の布団の中では話をする時間を必ず作ったら子供は変わった。
他の子を叩かなくなった。
私と子供は、通っていた園の先生に支えられて今があると思う。
子供は大学生になり、"海外に行きたい"とまで言うようになった。
大丈夫だよ。
私たちも園生活で変わった事はないかちゃんと見ているから。
家庭と園で協力して育てて行こう」

と泣きながら訴えてくださり、私まで泣いてしまった。
人前で泣いたのなんて何年ぶりだろう。

若い担任の先生も、子を見送る玄関先で、忙しい私の代わりに上の子をギュッと抱き締めて優しく包んでくれていた。

こんな素晴らしい先生方に出会えて良かった。
心から思った。


私が仕事場に辞職を願い出たのは、ほぼ勢いで決断したようなものだった。

辞める2,3ヶ月前にふと、
 うん、辞めよう!
と思えた。
すると、気持ちがスゥーっと軽くなった。
自分でも驚いた。

上司が1人になるタイミングに居合わせたこともあり、子供の関係も相談し、辞めさせていただくかもしれないと伝えた。
しばらく考える時間を与えられたが、育児と仕事の両立に向けた解決策も浮かばないまま、上司との面談になった。

ここで決断しないと、ズルズルいくなぁ
と直感で思った。
勢いだった。
 "辞めます!!"


長くなったので、今回は中編としました。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

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