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 ひとりぼっちのヒヨドリ その16

   

   前のお話 ➡ ひとりぼっちのヒヨドリ その15


前の記事から3~4日後の朝

来た!
ひよちゃんがひとりで。

 

「無事だったのー?
 心配しちゃったよーお」 

「昨日も俺が畑でいろいろしてた時に来てたぞ」

「なあんだ、教えてくれたらよかったのに」

「グミの実ちょっと食べてったよ」

「へえー、渋くないのかなあ」

「渋いさ」

「年数が経つと甘くなるのかと思ってたんだけど、
 あ!もしかしたら甘くなったのかも」

私は庭に出てグミの実を味見してみた。

「シブーイ! 
 もっと木が大きくなれば甘くなるの?」

夫「なんて名前だったか 種類が違うんだよ。
  これは甘くならないグミだ。
  花は甘いが実は渋いんだよ」

 「へえ、花は甘いの!
 何年待っても甘い実はならないの?」


  そう言えば、まだユスラウメも赤くならない頃
  グミの木の枝の横に止まったひよちゃんが
  首を伸ばしてはチョン、チョンとグミの花をついばんでて
  可愛かったっけ。


  私が用意しておいた
  オレンジとかキウイなんかより先に
  グミの花をついばんでたから、
  グミの花ってホントに甘くておいしいのね。



  だけどこんな渋い実 食べていいのかなあ。
  便秘しちゃうんじゃないの?

  ああ、だからいつも3つぐらいしか食べないのかあ。
  花はいつもいっぱい食べてたよねえ。

見かけはおいしそうなグミの実


グミが熟れる前は
隣のユスラウメをせっせと食べていたけれど、
まだ先端の細い枝に
真っ赤なユスラウメがいくつも残ってるのに
何故かひよちゃんは目もくれない。

ホバリングができるのだから、
そのつもりなら
全部食べ尽くすこともできそうなものだけど、
もう熟れすぎて不味くなってしまったのだろうか。

最近は
刻んだ果物をお皿に用意してやっておいても
なぜかイチベツもせずに通り過ぎて、
シブーイ  グミの実だけ3つばかりついばんで行ってしまう。   

 
ヒヨドリは
小松菜とかチンゲン菜やブロッコリーなども
好んで食べるそうだし、
そういったものはこの辺りの畑にはいっぱい有る。
いろんな木の実は有るし、
私の用意したものに頼らなくても
充分エサには困らないのだろう。

  ひょっとしたら
  グミの実にナンカ《特別な栄養》が有るのを
  本能的に分かってて、
  ちょっとだけ食べに来るのかもよ?
  
  きっとそう !・・・・・かな?


そこでネット検索してみたら、

 グミの実にはパントテン酸やアントシアニン、
 βカロテンなどが多く含まれているが、
 渋み成分はタンニンで、
 大量に摂りすぎると鉄分の吸収を妨げる


のだそうだ。


  ヘエーエ なあーるほど、
  だから3つだけ食べるんだ。
  カシコーイ
 
  ってか、本能なんだ。
  スゴイねえ。

 

 
気が付けばグミの実もなんだか小さくしなびて来て
下にいっぱい落ちている。

「 きっともうこの庭にはあんまり来なくなるんだなあ」
ふと、そんな気がした。


  寂しいけど、
  元気でいてくれたらそれでいいから。
  モズになんか やられないでね!

  また寒くなってエサに困ったらきっとおいで。
  なんならそこのコブシの木に巣を造って
  子育てしたっていいんだからね。

  早くいいカレシが見つかるといいねえ。
       

   つ づ く

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