人生はトリレンマ  お金と時間と安定は総取りできない

○月△日
 今から約10年前、高校時代の友人と集まった時にこのことに気づきました。
集まったのは、ボクのほか、社長、フリーター、役所勤め、大企業サラリーマン、医者でした。皆40半ばです。

 まず社長です。IT企業ということしか分かってませんが。「お小遣いだけでもお前らの年収をはるかに超えている」とのことで、経済的余裕は飛び抜けています。ただし時間は全然ないらしく、休日にも関わらず朝6時から仕事していて、この後も、おそらく23時とか、仕事をするという状況でした。
 そして今はそれなりに安定しているが、いつ何時蹴落とされるかわからない、そういう逼迫感が常にあると話していました。つまり彼はお金、経済的余裕は得たものの、時間的余裕と、安定という余裕を得ることができていません。「金はあるが、使う時間がない」とぼやいていました。

 次に、フリーターです。お金はいつもなくて、安定した生活も程遠い状況です。ただし時間だけは相当あり、毎日のように図書館へ行って本を読みまくっています。知識量が半端なく、思考する時間もあるので、考えを聞くと深い話をしてくれます。時間的余裕のみ突出していて、経済的余裕と生活の安定は底辺です。

 次の男は、市役所勤めです。安定という面では全く心配ないでしょう。経済的なところは想像でしかないですが、服装や身に付けているものから、それほど今ひとつという感触です。時間的余裕はかなりあるようで、毎日6時前には家に帰っているとのことです。
 8時に帰るのでさえ、周囲の目があり強いハートが必要だった当時のボクにとって夢のような話でした。この男の場合、生活の安定が突出し、時間的余裕もかなりあるが、経済的余裕は将来に渡ってそれほど見込めないというところでしょうか。

 次に当時のボクと、もう一人のサラリーマン、二人ともそこそこの大企業勤めでほぼ同じ境遇です。経済的余裕はまあまあ、時間的余裕も日々はそれほどないけど、それなりに休日はあるというものです。生活の安定は結果論ですがそこそこです。
 結果論というのは、ボクの勤めていた会社は当時は斜陽産業になりつつあり、同業他社が潰れていく中でしたので判断は保留でした。今のところ潰れていないので結果としてはそこそこかというものです。ただ株価はどんどん下がり続けています。

 もう一人のサラリーマン男も同じようなものでした。大企業と言っても昔ほど定年まで安定しているとは言いづらい世の中です。つまりこの二人に関しては、時間、お金、安定の三つともにそれぞれ中途半端な感じです。
 ただどれか一つが欠けることはないのでバランスは良く、いつの時代も大企業を目指したがるのは、そこが魅力だからでしょう。公務員が人気なのも、バランスとして時間と安定にシフトしているところが、人によっては魅力なのでしょう。

 さて最後にもう一人、医者です。社長ほどではないようですが、ベンツを乗り回し、高級マンションに住んでいますので経済的余裕はハイレベルです。安定という面も医者である限り食いっぱぐれはないでしょう。時間もそこそこあるようです。
 関係ないですが12コ下の可愛い看護師さんと結婚しています。これぞ3方総取り、何だったら4方総取りの形と思いきや、時間的余裕については最近ようやくでき始めたようでした。昔から知っているのでわかるのですが、高校時代から寸暇を惜しんで勉強し、大学に入ってからも勉強漬け、病院の若手時代も働き詰め、という時間的余裕は20年以上なかったというものです。

 以上のサンプルから、人生で時間とお金と安定は総取りできないと結論づけたということです。ただし医者の例からわかるように、時間に関しては前倒しで使って、時間的余裕の無い生活をしていれば、後から時間的余裕が残り、総取り可能な状態に持っていくことができるようです。言い換えれば時間を貯金したということです。
 裏返せば、時間を先取りして取り崩してしまうと、その分の皺寄せが必ず、経済的余裕と安定を脅かすはずです。若い時にダラダラ過ごすと、いずれお金と安定に影を落とすでしょう、というなんだか当たり前すぎる人生教訓になってしまいました。

 しかしこのトリレンマ状態(3つ総取りできない、2つ取ると残り1つが犠牲になる、1つを大きく取ると残り2つが危うい状態)については、まだまだ奥深く考察するので追々書いていきます。それではまた。

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