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ホテルの廃業を考えているならM&Aで売却を検討してみましょう

こんばんは、M&Aガイド事務局です。

新型コロナウィルスの影響も長引き、売上減少や疲弊感からホテル経営者の中には廃業することを考えている方も増えています。しかし、本当に廃業しか選択肢はないのか少し立ち止まって別の方法も考えてみませんか。今回は、ホテルの廃業を考えている経営者に対して、M&Aを活用してホテルを売却する方法を解説しています。きっと廃業にはない、多くのメリットが見つかるでしょう。


国内のホテル・旅館の廃業件数

帝国データバンクの2021年上半期(1~6月)のデータによると、年初からのホテル・旅館業者の休廃業・解散件数は104件、前年同期比でも55.2%と大きく増加、新型コロナウィルスの影響もあって経営再起への諦めムードが広がっていると総括しています。

参考:https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p210705.html
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p210705.pdf

日本のホテル経営のこれまでと現状

日本のホテル経営は、これまで内的・外的要因から栄枯盛衰を繰り返してきました。1980年から90年代にかけてはホテルのバブル期があり、大型ホテルの建設ラッシュが続き不動産投資の対象にまでなりました。しかし、バブルもはじけるとホテルも経営悪化、休廃業が相次ぎました。

2008年にはリーマンショックもあり、それを契機にホテル業界も法人の団体旅行が激減、個人旅行や家族旅行への需要変化が起こり、サービス内容の変更を迫られました。一方、2010年代に入ってからは外国人旅行者を対象としたインバウンド需要の拡大、2020開催予定の東京オリンピックに対する期待も相まって、再び需要を先取りする形でホテル建設ラッシュが起こりました。しかし2019年年末、中国武漢で発生した新型コロナウィルスの影響から日本も2020年には東京オリンピックの1年延期、入国制限や外出自粛の厳しい措置を受けて国内外の観光客が激減するなど、多くのホテル・旅館が営業休止に追い込まれました。現状も、まだまだ先行き不透明な状況が続いて予断を許さない状況です。


ホテル廃業・倒産の原因

上記のような外部環境要因に加え、ホテル経営には廃業や倒産に至る別の原因もあります。それは以下の4つです。


1. 資金不足
2. 人手不足
3. 競争の激化
4. 後継者不在

1. 資金不足
ホテル廃業・倒産の原因のひとつは資金不足です。ホテル建設には多額の初期コストがかかります。さらに、建物設備が古くなれば改装費等の追加費用もかかります。長引く不況や競争激化で売上が落ち込み、さらにコロナウィルスの影響が拍車をかけている中で、運転資金や改装資金の捻出もままならないホテルが増えています。また、ホテル経営者も多くが60歳~70歳代の高齢に達しており、投資を行なっても回収の見込みが持てないことから廃業を選択する方が増えているのです。

2.人手不足
人手不足もホテル廃業・倒産の原因のひとつに上げられます。ホテル業界は昔から労働環境が厳しい業種と捉えられがちです。提供するサービスの性質から、深夜労働、早朝出勤がどうしても避けられません。ワークライフバランス等を重視する時代の流れなどもあり離職率も3割と高く常に人手不足の状態にあります。特に、過疎の観光地にあるホテルではさらに人手不足が申告です。人手確保は経営者としても、常に頭の痛い問題なのです。

3.競争の激化
競争の激化も廃業・倒産の原因です。競争相手はなにも同業のホテル業者とは限りません。旅館だけでなく開業コストの安い民泊もホテル経営には強力なライバルであり、その安い宿泊料金でビジネスホテル等から顧客を奪い取っています。厳しい競争の結果、さらにホテル経営が厳しくなり廃業の動機を強めています。

4.後継者不在
ホテル廃業の大きな原因が後継者の不足です。ホテル経営者がご子息等の親族に家業を継がせたいと思っても、その肝心の子供がすでに別の職業に就いているなど、引継ぎの意思がないケースが多いです。さらに有能な従業員に継がせたくとも、その社員が、ホテルを引き継ぐのに必要な多額の買収資金が用意できないことがほとんどですのでこちらも話が進みません。最終的に経営者としても廃業を選択せざるを得ないのです。

ホテルの廃業は大変、関係者にも迷惑がかかる

実は経営者がホテルの廃業を選択しようにも、廃業自体簡単ではありません。廃業にも一定の費用がかかる上に、関係者にも大きな迷惑がかかります。取引先もホテルの廃業で連鎖倒産を被るかもしれません。また、ホテルで働いている従業員も廃業で勤務先がなくなり路頭に迷うことになります。


さらに、廃業しても借金が残る場合があります。たとえば、廃業時点でホテルに一定額の大きな負債(借入金)があり、資産を全部売却しても返済しきれない負債が残ることもあります。経営者保証(個人保証)がついた負債は法人で返済しきれない場合には、オーナー個人に返済の義務が生じることがあります。これでは廃業したくても現実的に廃業できないのです。

ホテルを廃業するならM&Aで売却した方がお得

このように廃業するにもハードルが高く、簡単には廃業できません。廃業するならいっそのこと、M&Aでホテルを売却した方がお得になることがあります。M&Aでホテルを売却すれば売り手の悩みが一挙に解決できる可能性があります。具体的に見ていきましょう。


ホテルの買い手はどのような人たちか
まずはどんな相手がホテルの買い手となるか、説明します。

大手同業者:
まずは同じ業種のホテル同業者です。売り手より事業規模が大きいホテル経営者なら買い手としての資格は十分あります。業界を熟知しているだけに同業者が苦境に陥っているホテルを買収してくれれば、経営の立て直しを図ってくれる可能性は高いでしょう。

異業種の会社:
異業種の会社も買い手候補です。たとえば飲食店、不動産業、観光産業などです。これらはホテル経営と何らか関わりのある業界だけに、ホテルを買収できれば、多角化経営やホテル立地先への進出など、シナジー(相乗)効果が十分見込めます。

投資ファンド:
投資ファンドもホテルの買い手のひとつです。京都など、人気の観光地にあるホテルは観光客の人気も根強く、国内外の投資ファンドが虎視眈々とホテル買収を狙っています。また、投資ファンドが買収したホテルに経営ノウハウや資金等を提供することで、今までは実施できなかった新しい施策が打てたり、コスト削減等による業績の改善が見込めたりすることもあるでしょう。

ホテルM&A事例

最近、ホテルに関して実際に以下のM&A事例がありました。2例ほど紹介します。

◆2021年2月、秋田のシティホテル・「秋田ビューホテル」が長野県でスキー場を経営する株式会社アビラに株式譲渡された

◆2021年4月、メゾンツーリズム京都株式会社「ホテル京都木屋町」が霞ヶ関キャピタル株式会社に株式譲渡で買収された


ホテルのM&Aにおける売り手及び買い手のメリット

最後にホテルのM&Aにおいて売り手、買い手、双方のメリットを紹介します。

買い手のメリット
・欲しかった好立地物件(有名な観光地ホテル、大都市圏の駅近ホテル等)が比較的容易に手に入る
・ホテル経営に適した設備施設だけでなく、熟練社員、ノウハウ、ブランド等も同時に手に入り、ホテル経営の初期コストが抑えられるとともに成長のための時間コストも節約できる
・営業基盤の拡大が図れるとともに、グループとしてスケールメリットを享受できる

売り手のメリット
・ホテル売却で後継者問題の解決が図れ、経営者も気兼ねなく引退できる
・売却で一定の利益が得られれば、創業者として老後資金や別の事業資金が確保できる
・売却によってホテルの負債も引き継ぎや負債に紐づく経営者保証(個人保証)の解消も出来る可能性がある
・資金力や組織力のある買い手にホテル丸ごと売却できれば、取引先との契約は継続でき、従業員の雇用も守れる
・廃業すると残るのは老朽化したホテルの不動産だけの資産価値のみになってしまうが、M&Aでうまくホテルを売却できれば、ブランドや社員・取引先・ノウハウ等も含めた無形資産(のれん)にも価値が付くので、売り手経営者が得られる金銭の額が大きくなる可能性が高い


ホテルの売り手のみなさんはご自身の事業にとってどんな影響があるかをチェックして、廃業に代わる選択肢(売却)を十分検討してみて下さいね。

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