見出し画像

しゅうかつロック、ボクにも言わせて 「第35回 ロック対談_だぶる模話模話模話~〈ギターの音色について、マンガの本の裏表紙とかに出てた数千円のアンプいくらやってもレコードの歪んだ音がでにゃい、AC/DCに出会って、ヘビメタ中毒が終わる、忌野清志郎さんのインタビューに『キースの弾くきったないテレキャスやストラトの音が、本物のギターの音』みたいなこと書かれてた ほか〉」

模話1「今回はギターの音色についてだね」
模話2「初めてエレキギター買ったのはいつ?」
模話1「高校一年の頃かな?東海楽器のストラトキャスターモデル。ブラッキーだった」
模話2「アンプは?」
模話1「マンガの本の裏表紙とかに出てた数千円のアンプだよ(笑)」
模話2「ディストーションついてないやつでしょ?」
模話1「おう。いくらやってもレコードの歪んだ音がでにゃいのよ」
模話2「だめにゃん」
模話1「でさあ、Tちゃんって真空管アンプ持ってて結構弾ける友達の家に行って見せてもらったらびっくりしたわけさ。しかもボリュームが3つくらいあって、いろんな歪め方できてさ、リバーブもあって、うわあレコードとおんなじだ~。かっこええって(笑)」
模話2「弾かせてもらったの?」
模話1「うん。うまく弾けてる音になるから感激した。弾けるの少ないから恥ずかしかったけど」
模話2「ちなみに何を弾いたか覚えてる?」
模話1「たぶんスモークオンザウォーターとハイウェイスターにラブガン、ブラックドッグやロックンロールのリフ弾いたり部分的に覚えたソロとか。天国の階段のソロの弾き方がお互いの教本と違うみたいな話はでたかな?まあ間違えて覚えてたこともあるだろしね」
模話2「ディストーション問題はどうしたの?」
模話1「ボスのディストーションか何か買ったかもな?意外に忘れた。いやたぶん安いディストーションついたアンプを買ったかもな。エフェクター買ったのはなぜか覚えてないな」
模話2「ヘビメタは高三まで聴いてたでしょ?」
模話1「うん。AC/DCに出会って、ヘビメタ中毒が終わるわけよ。どんなにハードだろうが、速く弾けようが弾けまいが、楽曲が心身をゆり動かさないような音楽は違うんじゃないかって気づいたわけよね。バックインブラックはその後、ストーンズやフェイセズ、Whoみたいなものや、パンクロック的なものもなぜか聴けるようになるきっかけになったんだよ」
模話2「なるほど、あの小さい箱じゃなくて、ギターとでっかいアンプにバンドのロック的な才能に意識が向き始めたと(笑)」
模話1「過剰なエフェクト処理がなくて、ほぼSGとアンプの音でさ、すぐそこで鳴っている感じじゃん? そのまんまのギターの音が聞こえるんだよね。それが、気持ちいいって初めて感じたんだよね。マルコムヤングのグレッチの独特の混沌的な音とアンガスのシャープで正確なめりはりのきいたバッキングのSGの〈レスポールに比べて伸びのない〉平べったい音がさ…両方からちょっとだけ違いのあるリフが時々聞こえると、その二人のバッキングによる音の広がりってのかな…なんだかワクワクしました。意外とダブルリードに近いバッキングっていうのか…シンリジーとかジューダスプリーストのバッキングの効果に似ているっつうのかな?(笑)。なんだかんだいって、ヤング兄弟のギターサウンドのおかげで、きれいなディストーション中毒からのセラピー効果があったのよ」
模話2「カートコバーンがひとつも瑕疵がないアルバムといっていたでしょたしか。余計なものが少なくて、栄養価が高いものを食べて、インスタントを食べなくなったかんじでしょうか?(笑)」
模話1「もわもわくんは、兄弟のバッキングはどっちが好きだった?」
模話2「ぼくはマルコム派でさ、ストラトキャスターの弦をぶっといのにかえてもうコードしか弾けなかったから、コードしか勝たん状態になりました。影響受けたよね」
模話1「でもさ、やっぱりアンガスの弾くバッキングって、当時、キースリチャーズ以上にすごかったと思うね」
模話2「でも、アンガスは兄さんをすごく尊敬していたし、兄さんあってのおれだみたいな信頼関係だったと思うよ。兄さんのほうが厚いセミアコっぽいもわもわしつつリアで鳴らしてる音で、グレッチのいい意味でサイケで混沌としてかつ弦の音がわかるって音じゃん? シャープなロックの基礎を忠実に守るアンガスの精密なバッキングとはバランスがよかったんじないかね?」
模話1「同感。だから、キースも、あのブライアンメイも好きなバンドに彼らが必ず出てきたもんね。ロックにおいては基本に忠実なまじめな生徒さんなんだよな(笑)。そのころかそのあとくらいにヤングギターに載った忌野清志郎さんのインタビューというかストーンズの夜をぶっ飛ばせの頃のライブのアメリカのレポートがあってさ、『ヤングギターの読者は好きじゃないかもしれないが、キースの弾くきったないテレキャスやストラトの音が、本物のギターの音』みたいなこと書かれてたのは心に残ったんだよね」
模話2「清志郎さんとの付き合いの始まりの予感だね?」
模話1「さらに、似たようなこと言ってた人がいたよ。t新聞のtさんがさ、『ストゥージスがいたおかげで、メタルの必要がなかった』って言われて、なるほどと思ったね」
模話2「メタルなんかのディストーションの強い激しい音楽って、やはりロック聴く人間が通過するひとつの時期でもあるわけね。パンクもよりハードなサウンドってあるし、メタルだろうがパンクだろうが衝動的な方向は似ているかもね。それぞれの様式美って好みあるだろうしさ」
模話1「話し戻すと、まだメタル聴いてはいたから、受験で水道橋イケベ楽器行ったんだけど、フランジャーとかフェイザーとか買ったかな? いや買ってないのかな? そもそも使いこなしてなかったし(笑)」
模話2「チューナーのほうが大事じゃない?(笑)」
模話1「確かに。バンドブームでさあ、バンド組んだときから、初めてギターを知った感じだったな。そのころも結局ディレイとチューナーとdodだっけ? オーバードライブだけかな? ワウペダルもファズも使いこなすのはボクには難しかったな~。さっきの清志郎さんのきったねえギターの音ってのはさ、メタルだとそこまでギターの本来の音の個性ってわからないじゃん? でも、確かにディストーション中毒から解放されるとさ、『ああ、テレキャスの音がこの曲にあってる』とかさ、ギターが個性としてよりその楽曲の印象に影響するって感じるようになったかな。リッケンバッカーでないとあの音にならないな~とかさ。日本人って自然物を感じ取る感性が豊かだから、『ああ、これは〇〇の音だ』って、ある意味自然界の響きと同じようにギターの本来の音の個性差を味わってるんじゃないかなと思うよ。レッドツェッペリンのインジイブニングはあの青のストラトキャスターの音か~とかさ。ヤードバーズ時代のテレキャスの音がとかバンジョーだっけ?1弦が違う弦のテレキャスの音だとかさ(笑)」
模話2「ありそうだね(笑)。ところでギターは何を使ってたの?」
模話1「大学入るときに中古のストラトキャスター本物買って使ってたけど弾きにくかったから売ったんだよ。ネック太くてね。でも初めてのライブででっかいアンプで鳴らしたらいい音だったよ。丸みがあってでもアタックの強い音」
模話2「売り払ったあとは?」
模話1「エピフォンジャパンのカジノ。ビートルズはまってたからかな、あとセミアコいいなって」
模話2「どうだった?」
模話1「音はよかったよ。あまりシャリシャリしないし、温かい音だったよ。大音量は全然だめ。ハウリングひどいし、パンクとかやると途中で6弦が外れる(笑)」
模話2「チューニングあわなかったんじゃない?」
模話1「わかる?それで、ある時クロサワかどっかでフェンダーU.S.A.のテレキャスターみて一目で気に入って月賦で買いました」
模話2「それはいまでもあるんだよね?」
模話1「いいギターだったから親戚の元プロギタリストのいとこに譲ったのよ」
模話2「何がよかったの?」
模話1「チューニングくるいにくくてさ、びっくりしたわけさ。弾きやすいし、やればやるほどいい音になってくし、ベックとかキースがなんでテレキャス弾いてるのかなんとなくわかる気がしてさ」
模話2「どういう意味で? 天才の考えはわかんないと思うぞ(笑)」
模話1「さわりごごち? 持った感じ? ずっと持ってたい感じかな?」
模話2「音色とかも好みだったわけ?」
模話1「好きな女の人って、自分の好みってより、好きになったら、その個性が好きになるでしょ?」
模話2「うん。なるほどね。どんどん好きになっていくってことね、その個性に」
模話1「まさにそんな感じかな。とくに1弦、2弦を短音で引いたり、3弦4弦を一緒にミュートしながらぺにゃぺにゃ弾いたりって…要するに、んちゃんちゃするブルースロックみたいなブギーっぽいなんつの?(笑)」
模話2「ギター弾いてる人はわかったりして(笑)」
模話1「結局、手放したけどね」
模話2「なんで?」
模話1「結婚したのは大きいかな。沖縄移住の時に、テレキャスは実家に送り、一本だけキープして全部処分した」
模話2「最後のギターは?」
模話1「シャーベルそっくりの聞いたことないブランドで、3万円くらいの中古品だったかな? お茶の水で買ってずっとまだ最後のギターとして残ってます。それも、今度の引っ越しで処分するかもね」
模話2「ステージでも録音や作曲なんかにも使ったやつでしょ? 執着ないの?」
模話1「もういかれてきてるしね。フェンダーのムスタングとかに似てて、ルックスはいいし、フロントハムバッカーでリアのパワフルなシングルコイルが気に入ってたけどね。サーフロックっぽいルックスで…基本的にシングルコイルのシャープで短音きっちり聞こえる、メイプル的な細身好きってことだったかな?」
模話2「いつかチャンスがあればギターほしくないの?」
模話1「まあね。人生いろいろ。30曲以上作った曲、録音したやつもすてちゃったし、忘れたらこの世から、自分の曲は消えるんだなあと思うと、死ぬ前に、何曲か覚えてたら、弾いてみたいかな?」
模話2「竹林の七賢人の話に、自分が死ぬからこの曲はこの世からなくなるみたいな話があったね」