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副業で音楽活動をしている地方教諭が頭打って鬱病になって家庭崩壊寸前までいってから自分の生き辛さと向き合う話です(約4000字)。

僕は音楽活動をしながら教員をしている、割と珍しい人だと思います。初めて読む人は、サイトが以下にありますので、興味があれば見て下さい。実際に音を創る人ではなく、企画書を書いて作って貰う人です。僕は良い作品を創るアーティストが好きで、所謂作品主義より作家主義だと思ってます。素晴らしいアーティスト様に素晴らしい曲を作って頂いてますので、是非ご購入下さい。と宣伝。今も新しいものを作っています(副業の許可は得ています)。

koszonto.net
Apple Music→koszonto

さて事の発端は、今年の6月末。仕事で憔悴しきった朝に階段から転げ落ちて頭を打った所がスタート地点。当初は仕事を休む気持ちが無かったものの、ドクターストップで結局6ヶ月の休職となりました。だからまだ、休職中。

その間に、これまでの自分とは明らかに悪い意味での変化がありました。自分の感情が著しくコントロール出来ない。脳に損傷を受けたかもしれないと言われその時はヒヤヒヤしました。後になって原因が分かったのですが、その時は本当に自分が怖かった。鬱と適応障害と自律神経失調症とが重なり合い、家出し一週間行方不明になり(しかもその間の記憶が殆どない)警察に保護され若い兄ちゃんから「死のうとしたんすか…?」と心配されました。それ以外に記憶として残っているのは、「市民の税金をこんな事に使ってしまって申し訳ない」とずっと謝っていた事だけです。ひどい。うける。

家の中ではほんの些細な事で妻や子どもに怒鳴りつける私。次第に憔悴する家族。誇張でもなんでもなく、家庭崩壊の危機でした。

そんなこんながあって、折角休んでいるのし、自分がこうなってしまった原因と、これまでの自分の中で抱えてきた生き辛さにしっかり向き合ってみようと、出来る限りやれる事はやろうと考えました。これは、自分の人生と、そして家族の為にも、しなければならない事でした。

大きく分けて二つ。一つはスピリチュアルにヒーラーに治して貰う事。もう一つは科学的に心理検査を行う事です。

【ヒーラーに会いに行く】

スピリチュアルに関して言えば、私は理解がある方です。というか、現実は脳が意識に基づいて作っているのだから、自分が良くなればそれはどんな方法でも良いんですよ。母が長年の鬱から脱却して、生き生きしてきた際に紹介されたのがヒーラーだったので、ヒーリングを受けに行きました。東京へ。

普通のどこにでもありそうなマンションの一室が、ヒーラーさんの仕事場でした。人の家の本棚見るのが好きなんですが、シュタイナーや曼陀羅の本、心理学系はユングが多かったように思います。

さて実際にヒーリングを受けてみて、その成果は大きかったです。ヒーラーさんの確かな腕を感じました。

施術は二回日を分けて行いました。一度目は、本来の自分を取り戻す事。二度目は様々な人とのネガティブなコードを切る事。何を言っているんだという感じでしょうが私もわからぬ。でもこれでスッキリしてしまうのだから凄い。

自分の中では、生き辛さの原因は父の自殺にあったと思ってました。だから多分そこが原因なんだろうなと思っていたのだけど、実はそこよりも重要な観点があり、それを見つけてくれました。ヒーラーは言います。中学一年から二年生の時に、貴方は自分を捨てました。思い当たる節はありませんか、と。よくよく考えてみると、確かに僕はその頃女の子になりたかったのです。髪を伸ばし、進んで先輩から借りたスカートを履いて喜んでいました。

つまり父が死に、母も死にたいと常に言い続け、母に認めて貰いたい、承認されたい、愛されたいと願った僕は、しかし余裕の無い母はそれに応える事が出来ず、僕は諦め、女の子であれば承認されるかもしれないと考えた様でした。その時に自分を生きる事を辞めたのだと。

これは僕にとってとてもクリティカルな発見でした。合わない靴をずっと履き続けていた様な感覚の原因はここにあったのかと腑に落ちたんですね。

こうした中で、ヒーラーさんの助力を得つつ、今一番自分が望んでいることは、「自分の言葉を創り、自分の言葉を生きる」事だと発見出来ました。この時点で、長年の付き物が落ちた様でした。

2日目は、ネガティブな思いを持っている人との繋がりを、ネガティブな部分だけ切って貰うというものです。

具体的には13人いて、それぞれ、妻、子ども、元カノ、父、母、昔企画で一緒にやった人、などなど。よくわからない感じでしたが、なんか、すっきりした気がします。1回目の衝撃が大きくてあまり2回目は覚えてないです。

ただ、何か納得できないことや引っかかる事があれば、自分に問うか、場合によっては相手に直接問いなさいと助言を貰いました。これは、今思っても良い助言だと思います。

加えて上京中には様々なアーティストや友人と会う機会もあり、創作から結婚以来ずっと離れていた僕としては、これも良い刺激になりました。

上京から戻ってきた僕の体調はかなり良くなり、家庭も平穏を取り戻しました。薬飲むだけでは、ここまで回復はしなかったと思います。

【心理検査と心理士さんの分析】
心理検査は8月から初めて全3回。結果が出たのは11月なので検査から結果まで4ヶ月かかりました。しかし長い時間待った甲斐があって、最後の答えを手にする事が出来ました。

所謂大人の発達障害が疑われており、僕自身もその様な気がしていたので、それで判明すれば、対処も可能になるだろうと思っていました。病名が付くのは悪い事ではなく、寧ろこれからどう付き合っていけば良いかがわかる筈です。自分の中では、自愛性パーソナリティになるのかな、なんて、思っていました。興味ある方はググってみて下さい。

検査内容は多岐に渡り、それらを総合して心理士が診断します。参考までに、以下が検査内容です。

<知能検査>
①WAIS4
パズルや算数等をやって知能指数を算出する。所謂IQ検査。

<投影法>
受検者の無意識の欲動や思考パターンを文章や絵等に投影させ、分析する。
①SCT文章作成法テスト
短い文章を描く。
②バウムテスト
木を描く。

③ロールシャハテスト
インクのしみを見て思いついた事を言う。

<アンケート調査>
①TEGエゴグラム(性格傾向診断)
②ADHD診断
③アスペルガー症候群診断

結論から言えば、僕は発達障害には分類されませんでした。知能指数もIQ120と一般に比べて高いようで、何も問題が無いと。ちなみに、中学時代に学校でIQ検査やった時は確か80台だったので、これは年齢とかでも変わるんだと思います。

が、しかし後天的に形成された性格傾向がかなり特殊で歪な形をとっていることがわかりました。

つまりこういうことです。母からの承認を得られなかった僕は、やがて無意識の中で自分の感情や欲求を表現することにブレーキをかけていた(フロイト的に超自我と呼ばれるやつです)。しかしストレスに耐えきれなくなると、妄想的な被害者となり外部を敵視する(フロイト的に分裂と呼ばれるやつです)。

更に、無意識の愛情欲求は、変形され社会に求めている。即ち、「尊厳」や「敬意」といった、社会的且つ理念的な概念へと変形され、これが軽視されると、激しい怒りとなって現れる。

自分にとって芸術活動は、自らの尊厳を守る行為であり、変形化された愛情欲求であり、即ち、自分の欲求を満たすものである。一方、仕事や育児は「命を燃やすもの」でありある意味自分の欲求を抑圧するものである。結婚を契機に、芸術活動が出来なかったことでバランスが崩れ、欲求が抑圧され続けた結果が、今回の体調不良の原因である。

優秀な心理士は名探偵と似ている。実は心理士の免許を取りたいな、なんて思っていたんですが、ここまで見せつけられると、ちょっと自分にはかなわないなあと思ってしまった。

【スピリチュアルと心理学】
なかなか、スピリチュアルと心理学の両方で自己分析?してもらう事は無いと思うので、折角なので振り返り検証してみます。まずそもそも、科学的なエビデンスについては、特に僕はこの場合求めていないという事は先に言っておきたい。スピリチュアルにせよ、心理学の分析にせよ、いくらでも異なる解釈が可能な訳で、つまり、僕にはとってそれが今の自分にとって有益な物語であれば、良いんです。私に必要なのは、今の自分にとって自分の中から見出せるクリティカルな物語なのです。それが本質的であればある程、少なくとも今抱えている困り感を解消することができる。

ヒーラーさんには、母への諦めから自分自身で生きる事を辞めてしまったと指摘を受けました。一方心理士さんからは、母への欲求不満が無意識の禁止(超自我)となり性格傾向が歪になったと指摘を受けました。不思議とどちらも、自殺した父親ではなく、母との関係性にフォーカスされている点が面白いですね。これは、自分では気付く事は不可能だったと思います。

ヒーラーさんからは「愛情を受け取ったり表現したりできないのは本来の自分を生きていないからだ」と指摘を受けましたが、これが心理士さんになると「愛情を受け取ったり表現したりできないのは欲求不満が解消されていないからだ」となるわけです。面白い。

今後の対策として、ヒーラーさんには、「自分の言葉を創り自分の言葉を生きる」という、目標を引き出して貰いました。心理士さんからは、芸術活動と仕事・育児の両立とご指摘を受けました。どちらも、自分の欲求不満を解消する手段として芸術活動が位置付けられています。

ヒーラーさんのヒーリングも、心理士さんによる分析も、異なるアプローチでありながら、照射されている点がほぼ被っており、僕にとっては大変満足というか、助かりました。このメタ認知を受けて、これまで以上に自分をコントロールできるような気がしています。そして、やはり、僕には音楽活動はこれからも必要で、そしてこれまでいかに音楽に救われてきたのかが、よく理解できました。だから、多分これからも続けていくのだと思います。


※おまけ

バウムテスト、即ち木を書くテストの方ですが、心理士さんは前景と後景を主題に分析していました。後景は、社会的責任を果たし、大人であろうとする自分。前景が繊細な本来の自分。後景においては、エネルギーに大変溢れているが、幹や枝の生え方も歪で、根が無く、無理をしている、という解釈です。実際はこの解釈を選ぶ上で、文章作成テストやロールシャハテストの内容も踏まえていますので、それぞれのテスト単体だと、良い解釈は出来ないとの事です。奥が深いですね。

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