マナーは誰のためのもの?

今回はマナーのことについて話をします。

まずは面白いエピソードをひとつ。
昔、私はリンシャン牌を下ろす時にはドラをめくってから降ろしていた。
それを見ていた前原から
「古川さん、リンシャン牌が見えないようにおろすのですから、先に牌を降ろしてから、ドラをめくるようにしてくださいね。」
と言われたものである。
ドラをめくっている時に牌山がこぼれたら何の意味もないというわけである。
「それもそうだな」
とそれ以降は、リンシャン牌を降ろしてから、ドラを捲るようにしています。

私は今の時流に乗れず、きちんとマナーのことが守ることができないでいます。
昔とった杵柄というか、前は許されていた行為を直せずにいたりなど…A1リーグの対局のところでは迷惑をかけています。大変申し訳なく思います。プロと言う立場、皆さんの模範となるように目指していきますので、実力だけでなく、マナーの面でも応援よろしくお願いします。

さて、プロが模範を示さなくてはいけないマナーの問題ですが、今回は特にアマチュアの方のマナーについて、プロがアマチュアの方にマナーを指導することについてお話ししたいと思います。

皆さん、この記事をお読みになることですのでマナーのことついてはできるだけきちんとやろうという方が多いでしょう。その通りに進んでいただいてOK。マナーは自戒するものですので、模範となるようにしてください。

また、マナーについてはそれぞれのお店で定められています。そのマナーをしっかり守って麻雀をしてください。
ちなみに名古屋はマナーには少し緩い傾向があるように思います。
東京は本当に厳しい。
もちろん、それぞれのやり方で進めてください。

さて、今度は競技麻雀の対局について。
ちょっと前ではフリー店とは違うんだ!
というところもありましたから、マナーをきちんと守ることが競技としての正しいあり方だというところもありました。アマチュアであってもプロレベルになるまでマナーを守るべきだという風潮もありました。

しかし、近年ではノーレート雀荘が増えたこと、競技麻雀のプロアマ交流戦、一発裏ドラなしを普段からやっているというお店もできました。
私がゲストになったA.ruleさん、ひよこ堂の活動には頭が下がります。
私の所も放送対局から公式ルールに興味を持ったという方が集まりました。
最初の頃は「一発裏ドラなしなんて、精進料理を食べるようなもんだから」
と言っていて否定気味の私だったのですが、スポットで公式ルールをやろうと言って人を集めたりします。名古屋でも中部支部主催のプロアマ交流戦ができました。

さらに名古屋独自の競技麻雀の団体が存在していましたので、そこで活躍した方が私とまた一緒にやりたいということで復活するなんていうこともあります。
また、手役が作れる麻雀が尊ばれるなら…とフリーをしっかりやられた方が、新たに競技に挑戦する方もいます。

時代が変わったのだなと感じます。

なので、私も競技をやるにせよ、健康麻雀をやるにせよ、フリーで対局するなど、いろいろな状況でのマナーについて考える必要が出てきました。

私が出した結論は
「プロアマの境界線をきちんと分けるなら、アマチュアの方にはそんなに厳しくしなくてもいいんじゃないかな…」
となりました。
私がもちろんできていないという負い目がありますが、プロという立場から無理やりプロのマナーをアマチュアに押し付けてもいいんだろうかという葛藤があります。

私のお客様は年配が多くなる傾向がありますから、その方々の時代背景やその方の麻雀の歴史もあったりしますので、無理にそのことを押し付けても直すのが大変だろうという私自身の経験を踏まえてのマナーの指導もあったりします。
健康麻雀という共通の趣味を持った人たちが集まり、和気あいあいとやっている所でしかめっ面をして「マナーを守れ」というのも野暮だなと思ったりもします。

もうひとつ。
マナーは自戒するものであり、自分のマナーを人に押し付けてはいけない。
感じることでもあり、聞いた言葉でもあります。

名古屋にはルールを含めて独自の文化が育まれました。
今でこそフリーでもありありが普通になっていますが、シニアの方では完全先付のルールも根付いています。そういう場所では「フリ聴リーチの禁止」もっと厳しく行くと「フリ聴のあがり禁止」というものがあったりします。

私が健康麻雀を始めたての頃には完先ルールに馴染んてしまったためにフリテンリーチを見た人が
「そんなルールあるわけねぇがや!」
と強い名古屋弁で言われて、私の集まりから離れてしまった方もいました。
また
「自分たちの麻雀ではそんなことはない」
といいつつ、渋々点棒を払う人もいます。

またリンシャン牌に触ること自体がリンシャン牌を見せるリスクがあるために王牌を降ろさないという集まりもあります。そのグループに行った人がいつもの癖でリンシャン牌を降ろしたばかりに鬼の首を取ったかのように
「リンシャン牌を下ろすな!」
と酷く怒られたというのです。

さて…このエピソードを見て、嘲笑したり、あげへつらう人がいるならば
あなたも
「自分たちの麻雀ではこんなことはない」
という人たちです。「自分たちの麻雀」は確かに大きな自分たちであるかもしれません。私たちの団体が指導しているマナー、雀荘ならばどこでもあるマナーを守る事…であってもです。

人というのは繋がりがある以上、トラブルを避けることができない。そのトラブルを未然に防ぐ手段のひとつとしてマナーがあるのだとわたしは思います。特に麻雀の場合はイカサマを防ぐために生まれたマナーが多くあります。正々堂々と麻雀で勝つことを示すための行為でもあります。

あなたが他人に自分のマナーに押し付けることで、トラブルになってしまうのはマナーの本来の目的から離れていることになりませんか?

私自身も感じることはあります。これまで書いたことの繰り返しになりますが、
過度な長考をたび重ねてしまうことは、本音をいえば、私の中では
「自分たちの麻雀ではそんなことはない」
と思っています。怒れてしまうこともあります。
しかし、私は力のあるものの圧力に反発する気持ちで今まで生きてきました。
その経験から、麻雀の先輩、団体の先輩である私が力あるものとして圧力を後輩にかけることは私の生きた道から外れた行為です。また時代の流れを受け入れること、相手に敬意を払うことも踏まえてグッと堪えているのです。

ならば、マナー違反に対してどう対処するべきか。
もちろん、マナーを守れていない人についてはその場で言ってはいけません。
実はリーグ戦の対局中にマナー違反を対局者から直接言われたことがあります。
これは個人攻撃になりますので良くありません。

皆さんの場合でしたら、ゲームが終わった後に店員さんにいうとか、競技会であるならば、審判、立会人に後で言うようにしてください。
お客さん同士や参加者同士で直接指摘したばかりにその人との関係が険悪になってしまったり、あるいはその場での口論ということにもなりかねません。それでは楽しい麻雀がつまらなくなってしまいます。

せっかく、同じものが好きであるものの集まりができているのです。
あなたの大好きな麻雀があなた以上に大好きな人もいるのです。

その集まりを楽しい雰囲気にしたほうがお互いに得ですよね?
麻雀をマナーの扱いで失敗し、その集まりを壊したりすることはやめてほしいですし、マナーの厳しい指摘によって、悪口が流行したばかりに、新規に始めようとする人の敷居を高くしてブームの火を消すことはやめてほしいと思っています。

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