達人戦で対決した森山さんに小島武夫の姿を見た

日本プロ麻雀連盟の発足時から長きに渡り、小島武夫、灘麻太郎の二枚看板で行ってきた。小島武夫から、灘麻太郎に会長のバトンがわかり、次は森山茂和ということだ。

ちなみに連盟は発足時から、後進育成をやっている。当時の若手だった私もいて、今、達人戦に参加しているメンバーは当時は全員若手なのである。当時の若手はそれぞれが連盟の新しい看板として台頭した。
そして、当時の若手がもっと若いものを指導、育成し成長させ、看板となっている。次は誰が台頭するのか…これからもドンドンと連盟の看板を担うものが増えてほしい。

今回は森山さんの話を書こうと思う。
達人戦で2回戦ったのだが、森山さんの麻雀はダイナミックな手作りと十分系なメガトンリーチ。そんな印象を受けたのだが、そのうち筋は小島武夫の背中を見ていたからだと思っている。彼が小島武夫の麻雀を継承している第一人者だと思っている。

性格は曲がったことが嫌い。そのことだけが注目されて、麻雀界やインターネットで話題になっているのだが、森山さんは小島武夫ならどう思うだろう?ということを意識しているのかもしれない。
彼が曲がったことが嫌いだというエピソードは森山さんと私にもある。

以前の対局(と言っても相当な昔話である)で、森山さんが出した牌で他の人がロン、つまり放銃したのだが、実はその牌は私のあがり牌だった。ロンということの判断であったり、打ち出される事もないだろうということで一瞬だけ間ができてしまったのだ。結果、遅ロンということになった。

ちなみに遅ロンについては慣れていない方は恐れずに発声してみてください。タイミングを掴む練習になると思います。しかし、自分は麻雀を打てると思っていたり、プロを名乗るのであれば、遅ロンは厳禁。稽古不足。当時の私も稽古不足ということだ。

この行為に森山さんは
「古ちゃん、それはない。それはいかん。」
と厳しく注意された。
今の規定であれば、私はチョンボになるだろう。しかし、細かい規定も決めている途中だったので「じゃあ、ロンは無しでいいよ」ということで納めようとしたのだが、結局私の上がりになった。この辺りの筋の通し方も森山さんらしい。

配信対局の時のエピソードもある。
A1リーグの対局の休憩時間の時に
「打牌が強いですから、気をつけてください」
と配信スタッフから注意を受けた。普段そういうこともいわれないから
「どうして?今更?誰が言ってるの?」
と聞くと
「会長から…」
というものだから、まぁ仕方ないか、と言って、以降は気をつけている。

仕方ないかと思うのは、もちろん映像に残るものだから、プロとしてふさわしい姿を見せることに由来するのだが、さらに言えば彼の人柄、彼を立てて上げたいからという気持ちがあるからだ。

森山さんのエピソードはきっと連盟の他の人達も持っているだろう。
森山さんの正義感は先ほど言った通り、インターネットで話題になったり、時に悪口を言われたりするようだが、私は彼の正義感をしっかり持っていることに強く信頼を持っている。同期、後輩たちや女性プロからも信頼はしっかりあると思う。
彼の行動を批判することは一度もない。会長に相応しい人物である。

今でこそサーフィン打法と言われ、重宝されている。
鳳凰位獲得までは、決勝に出ては万年2着のそこそこ頑張っていた打ち手が私。
そういうこともあるワケだから、森山さんは私の麻雀を認めてくれたことがなかった。
それも森山さんが小島武夫の麻雀を背中を一生懸命追っかけていたからだと思う。だからこそ「おかしな麻雀、はっきり言えば下手」という一言になる。
しかし、バラエティあふれる麻雀の一つとして映像対局で盛り上がってくれるなら、それでもいいだろうと森山さんは考えてくれるようだ。
そして「古ちゃんの麻雀は文化財」などと言って重宝してくれるのは、彼が色々な麻雀で「麻雀ファンを楽しませたい。」という彼のサービス精神によるのだと思う。サービス精神も小島武夫の大事にしていたことだ。

さて、私はサーフィン打法を確立し、それを世に残したいと思った。そのひとつとしてnoteの企画を立ち上げている。映像対局では私では当たり前と思っていても、他の人ではそうでないところがあったりするようで、ファンの方に評判という話だ。

しかし、私はいつも麻雀について悩みに悩んでいる。

というのも麻雀について考える時に安藤満の言葉を思い出すからだ。
「麻雀は王道が1番。リーチをかけてツモりに行く麻雀は立派である。」
そして安藤満が提唱していた亜空間殺法も自ら稚拙の道だとか、自分の戦法をやゆしていたこともある。亜空間殺法を封印してた時期もある。

達人戦というタイトルに出ているが、私が自分が達人の域に達しているとは思えない。
いつも自問し、答えが出ていない。
麻雀でもなんでもそうであるが、色々な引き出しを持ってヒョイヒョイと勝ってみたいものである。

その悩みのひとつが
「麻雀は逃げてばかりでは勝てない。そして、攻めてばかりでも勝てない。」
多くの打ち手を見てきたが、そのバランスが優れている人が強いのだな…と最近そんな思いが強くなっている。

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