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3連敗と横一線

ファイターズはホークスに開幕3連敗したのだけれど、なぜかそんなに悔しくない。つらくない。
もちろんここから勝てない日が続いたらつらく苦しくなるのだろうけど、不思議な気分で福岡での3連戦を終えた。
去年はチーム全体でホームランが出るのに10試合かかったのに、今年は開幕戦からホームランが出た。
それだけでも嬉しいのに、清宮選手、万波選手という期待の若手からホームランが出たことが、3連敗も「悔しくないしつらくない」ということにつながるのではないかと思う。負けても今後に期待の持てる3連戦で3戦ともワクワクした。

「横一線」ということ

就任会見で
「優勝は目指しません」
と言ったBIGBOSSだけど、そもそも目指せるような戦力でもない。主砲がトレードでいなくなり、主力がノンテンダーでいなくなったファイターズの選手層なんてペラペラに薄い。
もちろんとてつもない伸び代を秘めた若手はたくさんいるけれど、「いま」「現時点での」戦力を数値化することができたなら最下位で間違いない。
BIGBOSSがどんなに話題になったって、プレーするのは選手。今年はぐんぐん伸びていく若手と、若手にやすやすと椅子を譲るわけにはいかない中堅ベテランの活躍を楽しむための一年なのだろう。結果ではなく経過を楽しむための一年。どんなに負けても大丈夫。覚悟はできている。

そしてまたBIGBOSSは
「レギュラーはいない。横一線」
とも言っていた。キャンプ中もオープン戦も目の色を変えた若手たちがアピール合戦を繰り広げていた。
この3戦の選手起用にもその『横一線』が表れていた。
一軍登録した選手を3日間で全員試合に出した。先発投手も中継ぎも全員。野手も全員。
私が一番「本当に横一線なんだな」と深く感じたのは3戦目のスタメン捕手が郡選手で、最後まで捕手で使い続けていたことだ。

去年の郡選手はユーティリティプレイヤーとして頭角を表し、今季のキャンプ中の守備ローテーションの時にもどのポジションでもそつなくこなす器用さと新庄好みの肩の強さ&足の速さをアピールしていたことから、今年もユーティリティとしての出番が多くなりそうだな、と思っていた。
ユーティリティとしての出番が多いということは、捕手としての出番が少ないということだ。

しかし今年のファイターズは「横一線」なのである。横一線なのだから捕手としても清水選手、宇佐見選手と並べて評価しますよ、去年までのアドバンテージはありませんよ、という起用には郡選手も燃えたはずだ。過去にインタビューで「捕手はあきらめていない。捕手で試合に出たい」と言っていた郡選手にはこれからも捕手としての戦いが待っている。

「横一線」で黙っていられない中堅選手

「横一線」と言われて黙っているわけにはいかない中堅選手の活躍もあった。
まずは石井一成。
ドラフトで2人の社会人内野手を獲得したというのは、翻ると去年までの自分が認められていないということだと感じただろう。焦り、苛立ち、危機感、プライド…そういう複雑な気持ちを抱えて熾烈なショート争いが始まった。ルーキー水野選手は守備でもバッティングでも目立つ働きを見せている。負けていられないという気持ちは強いだろう。
そしてキャンプ中に前田智徳氏にアドバイスをもらってバッティングに磨きをかけた結果が、開幕戦でのホームランだ。
3連戦でエラーもあったけど、ファインプレーもあった。熾烈なショート争いは、ベテラン(ファイターズでは30代はベテラン)の中島選手や谷内選手も虎視眈々と狙っているだろうし、上川畑選手が怪我から復帰したら更に過酷になる。今のうちにどんどんアピールしなけば。

そしてもうひとりは松本剛。
西川選手、大田選手が抜けたとはいえ、外野のポジション争いは熱い。
日本を代表するアベレージヒッター近藤選手に、一発のある万波選手&今川選手、足と肩のある淺間選手&五十幡選手に比べて、松本選手には「これ」という武器がない。それが災いしてか、昨年はあまり出番に恵まれなかった。
ただ突出する武器はないが、なんでもできる器用さがある。守備力、長打力、打率、走力、肩というレーダーチャートを外野手で作ったなら、一番バランスの良い五角形になるのは松本剛選手だ。
キャンプ中も万波選手今川選手五十幡選手ばかりが目立っていたけれど、開幕戦、ファイターズの4番は松本剛選手だった。
BIGBOSSは「4番目」としか思っていなさそうだが、選手は「4番」を意気に感じるだろう。結果は4打数2安打1盗塁。点に絡むことはなかったが、しっかりと仕事をした。

今日からホーム開幕戦。
この3連戦でBIGBOSSは何をするのか。
『横一線』から抜け出す選手はいるのか。
本当に、文字通り、目が離せない。

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