[長編小説]言霊戦士 エピソード15
第15話 ファンタジアの掟
太陽、流奈、統真の様子は、先の敗北から大きく変化していた。
その日太陽はマウスファンタジアと戦い、辛くも勝利したが、動きに精彩を欠いていた。
流奈と統真に至っては戦意喪失していた。
特にこれまで敗北らしい敗北を経験したことのなかった統真の、精神的ダメージは大きかった。
棚橋は三人を無理に戦わせることはしなかったものの、内心焦りを募らせていた。
「敵が新たな動きを始めたことは間違いない。早く三人には立ち直ってもらわなければ…。」
事実、沙也加が何かと暗躍していた。
ファンタジアは数多いれど、その全てが積極的に人間を襲っているわけではないのだ。
むしろ人間を襲わない善良な者の方が多いくらいである。
商店街で八百屋を営む一人の男、彼も善良なファンタジアの一人だ。
威勢よく仕事に励んでいた男だが、急にその表情が曇った。
沙也加が現れたのだ。
「人間に敵意を向けない出来損ないの貴方には死んでもらいます。」
沙也加はそう告げるとラビットファンタジアに変身した。
八百屋の男はワームファンタジアに変身し立ち向かったものの、一瞬にして倒された。
戦いの一部始終を見ていた瞬輔は、
「雑魚掃除なんてくそつまらねえことよく出来るな。」
と悪態をついた。
「ファンタジアの管理は、あの方が我々に与えた重大な任務よ。」
沙也加は反論した。
太陽達は立ち直るのか?あの方とは何者か?
謎は次回解ける…。のか?
ここから先は
0字
¥ 100
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?