見出し画像

ウルグアイとアルゼンチンへの旅の話:DAY1-2

DAY0(と12をなぜかまとめてしまった)はこちらです👇


たぶん22年ぶりの再会

カラスコ国際空港。開きそうな、あるいは閉じそうな貝。ラファエル・ヴィニオリ建築。東京国際フォーラムの建築家よね。

砂に埋まりつつある二枚貝っぽさ。

機械にパスポートを読ませカメラで顔を撮影されてあっさりと入国審査が終わる。人間が介在しない省エネ感。審査後、すりガラスの自動ドアが開くとなぜか免税店のど真ん中。ワープ感。
床に記載された出口の文字と矢印の絵を頼りに免税店を抜けるともうひとつ自動ドア。それが開くと到着ロビーのような閑散としたエリアに出る。とうとう来た、ウルグアイ。モンテビデオ。30時間弱飛行機に乗るだけでこんなとこまで来れる。と、向こうからTシャツ短パンのアジア人が歩いてくる。M君と大学卒業以来となる生身での再会だ。

大学生の頃、第二外国語でスペイン語を取っていた。そのクラスが同じM君、と私は記憶していたが彼の記憶は「えっスペイン語?1年の頃のクラスだよ一緒なのは」。まぁどちらの記憶もよぼよぼである。そんな彼は現在ウルグアイを勤務地とするお国の仕事をしている。
学生当時もこれまでも、すごく仲がよいわけではなく、会えば話すけどわざわざ会う機会を作る間柄でもなく、社会人以降はSNSでたまにやり取りするくらいだったが、共通の友人は多くお互いの様子は回り回って何となく知っているという緩いつながり。なのにウルグアイ行くわと言えば空港まで迎えに来てくれる。もう足を向けて寝られません。どっちの方角か知らんけど。

お昼から焼き肉(アサード)

「今日さ、雨予報なんだけど2部リーグの試合あるから、行くかどうか肉食べながら考えようよ」というM君の提案によりまずは国民食アサードを食すことに。空港から40分ほど車で走ると港湾地域へ至り、そこにある市場Mercad del Puertoの建物の中に横丁的な感じで多くのアサード屋が入居している。その中でも彼のお気に入りのお店へ。

乾杯はmedio y medioで、とM君に言われるがまま、小さいグラスに入った白っぽい黄色っぽい半透明の飲み物を。これはウルグアイでアペロや乾杯など軽く一杯の時によく飲まれる、辛口×甘口ワイン半々で割った飲み物。どちらかはスパークリングのことが多く、メーカーによってはソフトドリンクなど色々配合もあるみたい。medioはミディアムとか半分みたいな意味を持つので、要はハーフ&ハーフ。あれ。てかM君運転するよなこの後も。
ちなみに行ったお店で出しているmedio y medioはこちら。

その後、私は客人だからと赤ワインへ流れる。もちろんウルグアイの代表的なぶどうTANNAT(タナ)を選ぶ。人生初のTANNAT100%のワイン、礼儀正しいワイルドさにむっちゃ感銘を受け、前菜としてのチョリソを食べている間に1杯目をさらっと飲んでしまった。当然メインのお肉(Lomo、Entraña)に合わせてもう1杯を即追加、ドライバーであるM君の存在は完全に無視して飲む。
そう、お肉のメニュー構成が面白く、どこのお店もステーキ=メインメニューとして並ぶ牛肉の各部位一覧の上に、前菜的なお肉のコーナーが設けられていて、チョリソはそこに位置する。サラミとかもこのジャンル。先にこれらが出てきて(もちろんサラダやポテトなども選べる)お肉の舌を作り込んだうえでステーキへ突入する。加工肉からのTHE 肉。この順番がとてもいい。
今回の旅で相当の牛肉を消費して、私はEntraña(エントラーニャ=ハラミ)が一番好きだということがわかった。そしてスペインへ行った学生の頃にはまったく使わなかった肉の好みの焼き加減を表す単語、Jugoso(フゴーソ=ミディアムレア)を完璧に覚えた。ちなみにレア:Bleu、ミディアム:A punto、ウェルダン:Cocido。

奥がLomo、手前がEntraña。ちなみにフライドポテトをパパフリータと言うけど響きむっちゃかわいいからつい頼んでしまうパパフリータ。
お兄さんの後ろが網焼きの全貌。薪のかおりがとてもいい。そして網の右端にあるアルミホイルで巻かれたじゃがいもがほんまにおいしい。

Segunda División

雨は弱まりつつあるとのことで、17:50キックオフの2部リーグの試合を観に行く(この日は同じフィールドで21:40から別チーム同士の試合もあるらしく二毛作がすぎる)。正直眠すぎたけど、ここで寝ると時差ボケ確定と思い体力を振り絞って出かけた。会場はセンテナリオのある公園内の競技場、Estadio Parque Palermoで、いやー南米やなと思うのがフィールドとの間の金網。もちろん上部にはトゲトゲつき。

4位オリエンタル vs 5位ウルグアイモンテビデオ

とうとう達成してしまった南米でのサッカー観戦。まずはSegunda División。嬉しすぎてツイートすると「昨日到着した日本人が2部の試合を観ている」とXで拾われる事象発生(昨日、というのは日本時間で見た時の昨日ってことか)。

そして試合中以外、審判団は常に警備員というか警察に囲まれて移動する。

盾でかいよね

前半そこそこの制圧感ですべての局面を握ったオリエンタルが2点リードし楽勝かと思いきや、後半ウルグアイモンテビデオが仕掛けた複数名交代のうち長身FWが効果的に躍動、2点を追いつく展開。ホームのオリエンタル側で観ていたのもあり、追いつかれた時にはスタンドのお姉さまがたからなかなかの怒号が飛んだ。
ちなみに座席も入退場導線も、ホームとビジターは完全に分けられ、値段はビジターの方を高く設定するのが普通らしい。

お姉さまがたは座らない。

気がつけば後半の最後の最後。なんとオリエンタルがセットプレーから逆転。初の南米観戦は最高の幕切れで盛り上がる。そしてまた盾に囲まれて帰っていく審判団。いやーいい夜であった。

ショッピングモール

スタジアム、というか競技場からそのまま宿へお送りいただけると思いきや、私の買い出し状況を気にするM君からショッピングモールへのお誘い。確かにランチ後は宿でもそもそしていて買い出しへ行く余裕がなかったのでありがたい。
ということで、プンタカレータス(と言えば最近SNSで暴動予告があったらしい)にあるショッピングモール内のスーパーで、ハム、チーズ、りんごかそれに類するフルーツ、ビスコッティ的なあまり甘くない硬めお菓子、インスタントコーヒー(現地インスタントコーヒーを飲むのが旅では好きだ)、ワイン、マテ茶(茶葉)を買い込む。マテ茶は容器とストローのギアは後日買うとして、茶葉だけ先に手に入れておく作戦。

ハムは好きなタイプがたくさんあって(比較的)安い

ところでウルグアイは居住者に限り大麻が合法である。つまりスーパーに並ぶ食材の中にもカンナビス入りのものがあり、マテ茶もそうだ。今回M君のお勧めメーカー茶葉が2kgからしか売っておらず、さすがにこのサイズ持って帰るのはな、と思っていたら、CANALIASも伊藤園的な立ち位置だからこれにしなよと言われ黄色いパッケージの茶葉を購入。しかしその隣にあるカーキ色のパッケージはカンナビス入り。これを知らずに購入するとまずスーパーのレジで身分証明書を求められ、外国人だと売ってもらえないし、そこを何かしらの理由ですり抜けたとしても日本の税関で見つかるとアウトですね。密輸。この場合って空港で囚われの身になるんだろうか。

センテナリオへ

翌朝は朝から第一回ワールドカップの試合が開催されたスタジアム、センテナリオへ。M君らウルグアイの労働者は、この日、ハッピーマンデー的な休日だったため、前日に引き続き同行してくれた。
外観からして遺跡、という第一印象。ローマのコロッセオ感がある。だけど現役なのだ(DAY8で実際にここで試合を観た。人が入ると活き活きするのは巨大建造物のいいところだ)。

レンガもコンクリも風化中。だがそれがいい。

ピッチに近いエリアは、メイン/バック両側共に背もたれつきの椅子が設置されている。それ以外の座席は背もたれがない。ただし背もたれつきはなんとすべてコンクリ製で、リクライニングや弾力といった人体に沿わせる力はない。てかこういう椅子をコンクリで作っておこうという思想、何か狂ってる気がする。人間工学はないんかいと。1930年の突貫工事、7か月工期でつくったらしい。そりゃ狂ってる。

もたれても快適なんだろうか。いやぜったいしんどい。

つくりとしては単純だ。バックスタンドに該当するところにトレードマーク的な塔が建っていて、そのエリアはOlimpicaと呼ばれる(他にゴール裏やメインもそれぞれエリアに名前がついていてM君から教えてもらったけど忘れてしまった)。Olimpica専用のゲートがいくつかあり、それぞれそのまま外に繋がっている。ゲートを入るとちょうど客席の下がくり抜かれたような形でコンコースになっていて、飲み物やスナックを出すお店もここにまとめられている。

客席あるいは階段の下のスタグル。くり抜きというより梁の構造って感じか。
ブロック、レンガ、木。異素材の連続が美しい。
出入り口即コンコース。右側はミュージアムの入口。ここまで道路から3メートル。

スタジアム見学は試合も控えているからという理由で客席だけだったが、端から端まで、上から下までいろんな箇所に立ってピッチを見たり、壁の向こうの街を見たり(こういうところ旧国立っぽい)、トレードマーク的な塔を見上げたり、何とも贅沢な時間だった。第一回の試合に集った人々と同じ建造物の中にいる、不思議な感じ。
スタジアム見学の前に、ミュージアムも見た。昔の印象として、南米ってなんかカップ戦多いよなと思っていたけど、数々のトロフィーを見て自分が思っていた大会の1.5倍くらいカップ戦があることがわかった。昔の選手もだけど、フォルランが結構英雄的な感じで取り上げられていて(彼はまだ地域リーグ的なところでプレーしているというM君情報)、スアレスは現役だからかあまり目立たなかった。

開催を決めた会議室の再現。

そういえば入場料がいくらかわからない。というのは、最初M君が居住者カード(彼のIDでもある)を見せ居住者価格で支払おうとしてくれたのだが、入場のタイミングで決済端末がうまく動作せず、帰る時でいいよとなった。いざ帰るタイミングで再度試すも結局動作せず、友達は遠い国から来てるんだし今回は無料でいいよと言われ、ノー支払いで第一回ワールドカップ会場およびミュージアム見学を達成してしまった。何となくの罪悪感。

チビートスからアグリコラ

お昼を食べよう、ということでM君の奥様&お子様が合流。M家行きつけのチビートス(Chivitos)を出す食堂へ行く。ピザやポテトもあり、子どもたちも大満足の様相。
チビートスはグリル肉やベーコン、卵、レタスやらをハンバーガーのようにパンで挟む料理で、挟むものが多いのでこれひとつでだいぶお腹が膨れる。パンはとりたてておいしいわけではないが、売りは具なので問題なし。だって牛のグリル入ってんのよ。ベーコン入りは塩気がプラスされるのでおすすめ。

具がいまいち見えづらいアングルになってしまった。

行ったのはこちら。M君たちの自宅から車で10分かからないくらいで、川から近い開放感ある眺めだ。

うわーっといろいろしゃべる中で奥様とも打ち解け、私がブエノスアイレスから帰ってきてやることない日が来週あればワイナリーへ連れ出すから、というありがたいお申し出をいただく。本当に人あたりがよく距離感の保ち方も絶妙で、海外で暮らしてきた方ってこんな感じなのかな、すてきやなと毎分感銘を受けていた。

お腹いっぱいになったところで、アグリコラという農産物に強いモールへ行こうということに。M家は来週分の野菜を手に入れたいらしい。お昼を食べたティンカルから車で15分弱走ると、大きな駐車スペースを持つ建物に到着。
そうだ、モンテビデオは基本的に碁盤の目の道路なのだが一方通行がほとんどで、車移動は地図上の見た目より少し時間を要する、気がした。
建物の中に入るときれいなモールで、マテ茶ギアをびっしり揃えたお店やワイン屋、オリーブオイル屋、ミューズリー屋などいろいろな食品が揃う。奥様の目当ては2つ向かい合う八百屋のうちのひとつで、葉物野菜に強い方が推し八百屋らしい。その八百屋に入り、私も買うかどうか検討。ほうれん草やピーマンがみずみずしくていい感じ。ということで、自炊用に少しのピーマンを調達。奥様はほうれん草が2つで安くなるのでまとめ買い。異国の八百屋はやっぱどこ行っても楽しいよね。

かくぅぃ!
いんげんとネギの季節、おいしいよ。

そろそろ夕方、いろいろな予定もすべて終え、M家とはお別れ。宿まで送ってもらい、私は手に入れたマテ茶ギアの使い始め儀式やら、空いてきた小腹を満たすグリル野菜の準備。前日に装備完了したワインと共にちょろっと食べてDAY2はつつがなく終了。

最初に買ったのはメルローとタナのブレンド。

この記事が参加している募集

旅のフォトアルバム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?