小塚舞子

小塚舞子

最近の記事

私の目線と、誰かの目線

父の入院中、印象的な出来事があった。入退院をくり返す父は、もう歩くことも話すこともできなくなっていた。病院は駅前にあったが、私の家からだと往復2時間近くかかる。感染症対策のため、面会時間は15分。受付ではタイマーを渡された。麺が茹であがったときのような「ピピピッ、ピピピッ」という電子音が鳴れば、帰らなくてはならない。今思えば、面会できただけありがたかった。けれど、電車に2時間揺られて見る15分だけの父の顔は、ただ脳裏に焼きつけるしかなく、帰り道にはいろいろと考え込んでしまった

    • 父のこと

      父が亡くなった……と、文字で書いても実感はない。昨年春に癌が発覚した。父は血尿が出ていたのを、半年近く誰にも言わなかったらしい。突然血尿を知らされた母は、びっくりして父をすぐ病院に連れていき、精密検査を受けた。腎盂にできた癌は、もうあちこちに転移していた。結果を聞くときは娘さんも一緒にと言われ、私も付き添った。父は、淡々としていた。 必要最低限のことしか話さない人だった。いや、必要なことすらあまり話さない。いつも無口で、怒るとより無口になった。一人娘にもほとんどなにも言わな

      • 仕方ないに救われる

        最後に記事を書いたのはいつだろう。 最後もなにも、たった二回しか書いていない。 「何か書かなくちゃ」とは2000回くらい思った。 誰に向けているのかはわからないけど 考えたことを文字にするのが好きだった。 しかし、ふとまわりを見渡すと 才能のある人ばかりだ。 自分が発信する意味なんてないのでは…? ネガティブなことを書き散らかすのが楽しかったのに 自分で作り出したネガティブに 完全に支配されていた。 今も「書く準備」は出来ていない。 でも私は、私が書きたいことを ただ書くこ

        • カレーがおしえてくれたもの

          10代の頃、知り合いに連れられてカレーを食べに行った。 外でカレーを食べるなんて、その時が初めてだったかもしれない。 奈良の実家に住んでいた私は 外食といえば、ファミリーレストランやファストフードで メニューにカレーはあっただろうが、選んだ記憶はほとんどない。 いつも食べるのは、ハンバーグやドリアやスパゲッティ。 こってりしていて、作り手の顔が見えないものが「外の味」だった。 温度の感じないものの方が安心できた。 見たことのない看板の店に入るのは怖かった。 そんな私の”おそ

        私の目線と、誰かの目線

          はじまり、はじまり。

          こんにちは、はじめまして。小塚舞子です。 関西を中心にタレントやライターとして活動しています。 2018年に女の子を出産しました。 夫はミュージシャンで、かみぬまゆうたろうといいます。 のほほんとした牧歌的な音楽に 「これは説明いるやろ」とツッコミたくなる攻めた詩をのせて ほぼ全国のいろんなとこで歌っています。 娘は絶賛イヤイヤ期。 何でもとりあえず一旦否定するターンが入ります。 着替えるだけで何分かかるねんの毎日です。 今朝は夫がお土産に買ってきたハーモニカ(なんで)を吹

          はじまり、はじまり。