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【小説】ワセジョvs慶應ガール。~怒りの慶應義塾~【1500字】

#私の作品紹介

怒りの慶應義塾。

畠山紗知は年より若く見える。34歳だが見た目は5歳若い。
「スマートコミュニケーションが大切です」
これが初対面での第一声だった。 新しく広報課に移動になった山中香織はこの 先輩とコンビを組む。
紗知は自己紹介を始めた。
中央区の名門公立中に越境入学、都内有名私立高校から慶應大学へ行った。
「 履歴書は読みました。 山中さんは 地元公立中から公立共学高ね、それでもいいからしっかりやっていきましょう」
早稲田を 出たのですね。 と いった。

いわく慶応は「上品」「洗練」「エレガント」
そんな言葉を口にし「大事なことです」 と繰り返した。
「ところで あなたは役員の評価がものすごく高いわね。 あなたが来ることに決まって 担当役員の 村田部長は喜んでたわ。 この会社は村田さんのように早稲田の役員が多いの。 慶応の私から見るとみんなすごく似てる。よく言えば個性的。 でも、」

慶応のスマートで エレガントな スクールカラー、雰囲気、校風、価値観からすると上品さがないのだそうだ。 「あなたを変な目で見てるから、気に入っているのでしょうねぇ」

※参考図

こういうイメージが世間にはある。

色々かくことさえ憚られることをナンダカンダと。 これで香織の今後の人間関係が多難なものになることは決定した。
嫌われている。
良いことは報告せず悪いことは大げさに上に報告するようになるだろう。

そこまくで覚悟していたにもかかわらず、残念なことに、現実は想像よりも悪かった。 話しかけても時に無視。 険悪だった。
(これが大人の態度だろうか?)

もしかしたら畠山紗知が悪く香織を言い、言われた管理職は言い返しているのか?
とにかくこのままでよいはずがない。ときほぐそうと香織は色々と話しかけ、冗談を言ったり おどけたり もした。お世辞も言った。
その甲斐あってこうして3ヶ月、半年と 経過し、ようやく最初の険しさはなくなってきた。
ところで気付きが遅れたのは香織の不覚だった。要は「スマート」「上品」「洗練されている」と言ってさえおけば良かったのである。

⬛得意先でのハプニング、暗転


状況がかわったのは 顧客の職場での、そこの係長との会話だった。
紗知と香織と2人で出向いたときのこと。
「え?畠山さんが早稲田かと思っていた。逆だったの?」
さらに言った。
「山中さんは、 注文を付けると 言い分を取り入れて さらに付け足してくる感じ。 ミスはないしスマートなんだよね、コミュニケーションタイプ

なんかマズイぞ、と香織は緊張した。

「 畠山さんは熱く説得して 教えてくる感じ」
たしかに。。香織にもわかる。
マズイのだが、心のどこかをくすぐられた気がして、笑いそうになった。香織は二人に背を向けてこらえた。
「この課はみんな早慶逆に思っているよ」

「なんでだろ。誰か間違いをいいふらしたのかな?たぶん二人の雰囲気なんだよなあ」
やーめなさいよ。おい!。香織は動揺した。
笑いだしてはマズイ。笑いをこらえたまま、早稲田卒の香織はトイレに逃げた。
言わないとは思うが、「雰囲気が上品」などと言われようものなら涙が出そうになる。

caution!

得意先を出てから駅までの道すがら、慶応ガールの紗知は独り言のように呟いた。
「スマートってなんなのかしら?」
(余計なことを言わないこと、しないこと 沙知さんはその点、略)

香織は笑いをこらえるのが苦しかった。
こらえるため深呼吸して息を止め、口を空けたまま空を眺めた。紗知は続けた。
「慶応のほうが美人イメージだし」

なぜこの人は全てを壊すように、自ら滅びへと会話を舗装していくのか? そもそも蒸し返さないでくださいよ。と香織は思った。
「そうですね」
香織はとっさに出た言葉を後悔した。
だから香織が慶応に間違われた、となってしまう。

「いや、最近は早稲田が美人イメージ」

これで良いのだろうか? 香織は混乱した。
まずい?
「慶応はスマートです」
いったい私は何をいってるのか?!
と慌てて口をついた言葉に香織はおののいた。
まずい!落ち着け、落ち着け!とこぶしを握り締めた。
💦

笑うな! く、苦しい
我慢のしどころだ!

「山中さんはもしかしてモテているんじゃないの?ひょっとすると。。」
また始まった。と、香織は天を仰いだ。


応援風景。
この曲でした。

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イラスト
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