「まち歩き」という概念と出会う【まいまい京都history②】

茶谷幸治さんと「大阪あそ歩」

「まち歩き」という概念との出会いは、茶谷幸治さんの本『まち歩きが観光を変える』だった。大阪で2008年に始まった「大阪あそ歩」(おおさかあそぼ)に、私が経営していたイベント企画会社が受託業者として関わることになったのだ。

この頃、茶谷さんとともに「大阪あそ歩」を中心的にプロデュースしていたのが、現在まいまい京都・まいまい大阪でも人気ガイドとして活躍中の陸奥賢さんだ。企画や運営を行いつつ、みずからガイドもしていた。当時いちばん影響を受けた人でもあった。

陸奥さんに教えてもらったこと

当時、陸奥さんは私の会社のオフィスに入り浸っていて、四六時中一緒に仕事をしていた。夜はよく散歩に出たり、ごはんを食べに行ったりして、歩きながら思想や蘊蓄をあれこれ聞いた。本の読み方、観光のこと、まち歩きの思想……。

観光はゼロ次産業だ。
何もなくなったまちでも、人がいて、記憶があれば成り立つ。
農業や工業ではなく、“光を観る”ことから全ての人の営みは始まる。
「歩(く)」という漢字は「止」と「少」すなわち「止まる」と「少し」でできている。
目的地に行くだけじゃない、立ち止まることが大事なんだ。

そんな見方に感心した。それまで、知にふれる、教養にふれる、ということがなかった私にとって、陸奥さんの話は素直に面白く、新鮮で、刺激的だった。勉強というものを初めて面白いと思った。

まち歩きの面白さを体感として知った原体験と言える。陸奥さんは現在も、まいまい京都で主に大阪コースのガイドとして活躍してくださっている。

(つづく)

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