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技術と芸術の両立:ブレイキンvsフィギュアスケート

2024年のパリオリンピックが1年以内に迫ってきた。
これから様々なスポーツ種目がメディアで取り上げられることだろう。

今回の新種目で注目を集めているのは、頭で全身をコマのように回すヘッドスピンなど派手な技が特徴的なブレイキン(ブレイクダンス)だ。

最近の大会での日本選手の卓越したパフォーマンスは、国内外で注目されており、メダルへの期待が高まっている。

ブレイキン動画にハマっている自分としては、このバトルを非常に楽しみにしている。

この対人バトル形式のブレイキンと、まったく異なるように見えて、実は共通性を持つオリンピック種目がある。

それは、冬のオリンピックの花形種目である華麗なフィギュアスケートだ。

両者には、芸術性やエンターテイメント性といった、意外な共通点が存在するのだ。


1. 共通するアーティスト性

多くのスポーツファンが浅田真央や羽生結弦のジャンプと芸術的演技に魅了されてきた。
もちろん自分もその一人であり、特に2018平昌での羽生結弦の陰陽師の様な金メダルの演技から心を奪われ続けている。

しかし、最近になって、ブレイキンにも興味を持ちはじめ、いろいろな大会の動画を観ているうちに、気づいたことがあった。

それは、フィギュアスケートと同様に、ブレイキンもまた芸術性が要求される競技だということだ。
これは、オリンピック種目では、他には新体操とシンクロナイズドスイミングがあるくらいの珍しい性質だ。

フィギュアスケートでは、事前に緻密なプログラムや曲選びに取り組み、本番でその芸術的な演技構成を展開する。

対照的に、ブレイキンでは、本番でDJがかける楽曲への瞬時の技の対応が求められるため、長い時間をかけて一つ一つの技を練習する。

フィギュアスケートは「時間をかけて構築する芸術」、ブレイキンは「即興性に富む芸術」と違いはあるが、両者は芸術性と技術力が評価基準となるという特異性で共通しているのだ。


2.日本における両種目の人気と知名度

羽生結弦さんの金メダル演技が日本中を興奮と感動で包んだのは記憶に新しく、フィギュアスケートの絶大な国内人気を物語っている。

一方、ブレイキンは若い世代には人気があるものの、上の世代ではまだ認知度が低いのが現状だ。

しかし、幸い日本には、Shigekix(半井重幸)さんやB-Girl Ami(湯浅亜実)といったオリンピック候補の強豪選手が多数いる。

2024年のパリオリンピックで、ブレイキンの選手が注目を集めれば、日本のスポーツ界における人気と知名度も、フィギュアスケート以上に高まる可能性があるだろう。


3.エンターテイメント性の比較

フィギュアスケートは、競技後に、演劇性の高い衣装や競技上許されない宙返りも可能なエキシビションがあり、エンターテイメントとしての一般の認知度も高い。

対照的に、ブレイキンは、多人数で驚異的な大技を組み合わせるショーケースがあって観客を楽しませてくれるが、その認知度はまだ低い。

今回のパリオリンピックでは、1vs1のバトルのみが認められており、ショーケースはブレイキンの文化的側面とされて、競技としては不採用となった。
ショーケースが競技として採用されないことは、ブレイキンのエンターテイメント性を広めるチャンスが失われるため、残念でならない。

ただ、もしも開会式や閉会式でショーケースが披露されるなら、その魅力は広く認知されるだろう。

ブレイキン文化の普及のためにも、そのような展開があることを期待している。


4.ブレイキンの可能性と展望

ブレイキンの未来について考える際、注目すべきはその多様な表現形式と商業的成功だ。

日本には、ラオスの日本大使館に招待されたモータルコンバットや、スポンサー契約のある Found Nationといったブレイキンのパフォーマンス集団が存在し、彼らのショーケースは高く評価されている。

また、ブレイキンxアニメオタクのスタイルで、アニソンやボカロを楽曲として使い、プロのパフォーマンス集団として一定の商業的成功を納めているリアルアキバボーイズ(RAB)もいる。

ブレイキンがバトルだけではなく、ショーケースもあるという認知が高まれば、アイスショーのように、プロのエンターテイメント性の高いパフォーマンス競技として、様々な形式での活動が拡がっていくだろう。

2024年のパリオリンピックで日本選手が活躍すれば、メディア露出とスポンサーが増えることも期待できるし、将来的には、地方自治体と連携した地域ブレイキンイベントや、ブレイキン専門の教育機関の設立も十分に考えられる。


5. 自分がブレイキンに対してできること

ブレイキンは、スポーツ競技であると共に、文化やアートの側面も持つエンターテイメントだ。
その多面性に触れるごとに、ブレイキンに対する支援の意欲が増していく。

自分の場合、アニメとブレイキンを融合させた独特のスタイルで活動するリアルアキバボーイズ(RAB)に対しては、すでに、配信購入やライブ参加、彼らの夢であるアニメ原作作成にも挑戦するなど、力を注いでいる。

今後は、アニソンダンスバトルやショーケース大会を取材し、その感想をnoteで記事にし、ブレイキンに興味を持つ人々を増やしていきたい。

一人一人が、イベントに参加する、SNSで記事や動画をシェアするなど、小さくていいからブレイキンに関する具体的な行動を起こしていけば、その文化は広がっていくと信じている。

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