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【短編小説】なんのスイッチ?(ミスミ編)


このお話は
【少女小説】ミスミ先生の犠牲になります
トップ絵を描いてくれた よるつきちゃん の
*描きおろしイラスト&原案*
を元に

作者である私こと麻衣が
本編ラストシーンの数日後を書いた、お楽しみ短編小説のミスミ編です♪

ニコ編のオマケなので、
良かったらニコ編を先に読んでね(⌒▽⌒)/✨


ニコ編はコチラ♫(*^▽^*)♫




【登場獣人紹介】

ミスミ(よるつきちゃん)
ミスミ(29歳の虎獣人の男性)

イラストを描いてくれたのは
✨よるつきちゃん✨ ありがとう!!! 

*大学院所属の神話学研究者。神話の話がものすごく長い

*母がニンジャの末裔でニンジャ屋敷育ち。何があっても生存するのが得意

*兄のカトゥが交通事故で死んだ事をいつまでも許さない

*虫🐝と普通に話すやん

*何かと凝り性だが、女の子の為ならば即座に全てを覆せる

*ニコが生きがい   
     ↓

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ニコ(12歳の虎獣人の女の子)

イラストを描いてくれたのは✨
よるつきちゃん✨ ありがとう!!!

*臆病だが一生懸命な女の子

*ミスミの兄(カトゥ)に交通事故から救われ、ミスミと縁を持つ。ミスミの神話調査について来て、ミスミと2人暮らし

*ミスミから「俺の女神」「俺の後継者」「神話の申し子」等と呼ばれている

*虫🐝とは話せない


↓ よるつきちゃんのオリジナルキャラクターにも、ぜひ会いに行ってね✨\( ˆoˆ )/✨



↓そもそもニコとミスミって誰?( ・∇・)?

 

【ニコ編】でニコがモジモジしていた時

ミスミは何を考えていたのでしょうか!?
(=^▽^)σ チェケラー✨




『なんのスイッチ?』


今日も俺の戦いが始まる。

ベッドから飛び起きたら、ムニャムニャしているニコに「おはよ!」と声を掛けて、思いっきり窓を開けて最高の快晴と心地良い風でニコを起こす。目をこする可愛いニコをおんぶして、枕カバーとシーツをはがして、リネン類だけを洗濯乾燥機に叩きこむ。うっかりニコまで叩き込まないようにしろよ~。それだけは俺の生涯で起こってはならない事なんだから!

今日も無事ニコを洗面台の前へ降ろして、毛布を干して、ゴミ出しの準備をして、シャワーを全速力で浴びて、相変わらずひげ剃りには少し失敗して、ニコがニコニコ食ってくれそうな朝食作りに取り掛かった。昨日の晩に準備しておいた紅茶粥と揚げパンを温めながら、野菜と香草と甘い梅の漬物を全速力で刻んだ。多分俺のトップスピードが更新された。

包丁を使っている時は危ないよっていつも言っているのに、ニコは今日も手伝いたそうな顔をして台所へ入って来た。刃物まで持ち出している俺の戦い【ミスミ朝の陣】にニコを巻き込む訳には行かない。急いで手を洗って、小さなニコの脇を掴んで持ち上げて、食事用の椅子に座らせた。

椅子に座ったニコはものすごく困った顔で俺を見て、か細く鳴いた。心の底から台所で料理がしたそうだな〜!
そんな風にされると、俺の子虎時代を思い出しちゃうんだよな。


あの日も、今日ぐらい良い天気だった。

カトゥが俺の火遁の術で火傷をした、あの日。


あの日、小学校からこっそり帰って来たカトゥは、晴れた庭を横切って俺の部屋へまわって、ひょこっと窓から顔を覗かせたんだ。

「ただいま〜! ミス、ミ……僕がいなくて、さびしかった!?  ごめんな!?」

カトゥは俺の顔を見た途端、大慌てで謝って、

「神話のことを考えていたの?」

と笑顔で聞いてくれた。

全部その通りだったから、本当に嬉しくて涙が止まらなくなった。カトゥは急いで窓から部屋の中に入って来て、ベッドへ転げ落ちた。けど痛いとも言わずに、俺を毛づくろいして背中も撫でてくれた。「ごめんな、ごめんな!?」と何度も謝ってくれて、「いつもみたいに笑ってくれる?」と申し訳なさそうに励ましてくれた。

本当に全部の出来事が嬉しかった。やっぱり、カトゥは俺の真の理解者なんだ!それに優しくて、頼りになって……。けど気持ちがうまく言葉に出来なかった。

だから、俺の大好きなパンケーキを焼いたら、カトゥならきっと分かってくれると思ったんだ。カトゥはパンケーキより小倉トーストの方が好きなのに。


「ぼくなら、ぜったいできる!」

「ミスミ。ミスミ、落ち着いて……。家はニンジャ屋敷だ。小学校の調理室とは全くちがう……。家のコンロだけ、この世のものとは思えないくらい複雑で、高火力で……」

「できるよ〜!?」

「待ってミスミ! 僕ができないんだ! 家でパンケーキを焼くなんて、そんな!」

「できる!!」

「ミスミッ!!」

母さんがいつもやっている通りの手順で、コンロのスイッチを押したつもりだった。なのに思いっきり火柱が上がった。

いつもはのんびりしているカトゥが、見た事のないスピートで俺を庇ってくれた。火も消してくれた。そのせいで、カトゥは手の甲を少し火傷した。けどカトゥは全然怒らないでくれた。ただ「火とんの術はこれきりにしような?」と笑顔で言っただけだった。カトゥは俺の無事を心から喜んでくれた。

あの時から、カトゥがニコとコハナを庇って交通事故で死ぬ運命は決まっていたのかも知れない。
カトゥは優しいから……この世界のどんな生きものよりも。

……俺の気持ちをカトゥに伝えたかったな。

けど、もうカトゥはいない。


目に力を込めて、窓の外を睨んだ。
泣くなよ。
俺が泣いたら、ニコまで泣いて「今日は学校を休んでミスミ先生と一緒にいます! いたいんです!」なんて言うんだから。ニコは最高にいいこだ。

神話の事でも考えて、悲しい気持ちは一旦忘れよう。

神話……神話……神話は最高……。

最高と言えば、ニコが考えた『ライガの4人目の奥さん生存説』は最高に面白い。

シュンライ国のスパイだった『ライガの4人目の奥さん』は死んだふりをしたままライガのそばにいて、ライガのシュンライ国侵略をサポートしたのかな?ライガの侵略が上手く行き始めた時期と『4人目の奥さん』の偽装死亡の時期は重なるか?……いや。スタートは重なっていない。侵略が上手く行き始めたのは、3人目の奥さんのコヨウテと結婚して仲良くなった頃からだ。

先行研究では、ライガのシュンライ国侵略は【ライガの喜怒哀楽が激しすぎる性格】と【実の妹のシュンライとの痴情のもつれ】が原因とされていて、その説明でなんとなく俺も理解した気になっていた。けどそれって侵略をする理由にはなっても、ライガが生きている間は勝てていた理由にはならないよな?

ライガはシュンライ国に勝ちうる個人的な要素を持っていたんじゃないか?

元々はシュンライと仲が良かったから、みたいな曖昧な要素じゃなくて……例えば、シュンライ国の情報を得る為の個人的な人脈を持っていたとか。ライガの事だから、シュンライ国のスパイだった『4人目の奥さん』を寝返らせただけじゃなくて、色仕掛けで次々とシュンライ国の獣人を懐柔していたとかさ。

懐柔と言えば、3人目の奥さんのコヨウテもライガに懐柔されたんだよな。

コヨウテはライガとたまたま出会ってからケンカばかりしていたのに何故か結婚して、新婚旅行の途中でライガに懐柔されて仲良くなったと思ったら、ライガが病気に罹って看病で尽くし過ぎてあっという間に死んでしまったと公文書にはあったけど、あのライガが病気に罹るって何だ?行軍中に居眠りして毒ミミズの沼に落ちた時も、ライガ1人だけはピンピンしてたのに。
ミミズに聞いても「ライガは病気なんてしないよ?」と言う。ライガは俺と同じで虫と友達だったらしい。だから虫がライガを見間違うはずはなくて、この情報は確かだ。
じゃあ、コヨウテがライガを看病して死んだって話はなんなんだ?
それにコヨウテは素性が全く分からない。名前と外見しか伝わっていない。それが原因不明の突然の死。コヨウテと仲良くなってから、急に上手く行き始めたライガのシュンライ国侵略……。

…….……。

もしかしてコヨウテの死も、コヨウテが死んだ事にする為のライガの芝居だったりする!!?

素性が全く分からないコヨウテも『4人目の奥さん』と同じくシュンライ国のスパイで、ライガ暗殺の為にライガへ接近したのに懐柔されてライガをサポートし出したとしたら……ライガのシュンライ国侵略が上手く行き始めた時期と見事に重なる。辻褄が合う!

「……つまり、コヨウテがライガと結婚したのも暗殺目的だったって事か!」

これはもう今すぐニコに説明した方が良いんじゃないか!?
ニコが考えた『4人目の奥さん生存説』のお蔭でこのアイデアが浮かんだんだから!

研究書と一般書がゴチャゴチャに詰まっている居間の本棚の前へ立って、急いでコヨウテの一般書を探した。まずはニコにコヨウテの事を説明しなくちゃ!

「ニコ!コヨウテって知ってる!? あ~~! コヨウテの資料ってどこにしまったっけ!? コヨウテは後回しにして来たから……この辺か!?」

「ミスミ先生。僕、先生から聞いてます。コヨウテはライガの3人目の奥さんで、2人はライガが釣りをしている時にばったり出会ったんです。それなのに暗殺って……自然に出会ったふりをしただけで、実は仕組まれた出会いだった……?」

本を引き抜く手を一旦止めて、横目でチラッとニコを見た。

いつだって神話を丸暗記してくれる神話の申し子ニコは、両手でマグカップを持って中を覗き込んでいた。今朝はまだ帽子を被っていないから、可愛い耳が俺の方を向いているのが分かる。
ニコがたまにする、俺を見ていないけど耳はしっかり向けている状態ってどういう気持ちなんだろうな?俺だったら不貞腐れてるんだけど……ニコは可愛い!

「可愛い! それに賢くて、いや~助かった~! これでもうコヨウテの一般書を探さなくていいな~! なあ、ニコ! ニコが考えてくれた4人目の奥さん生存説みたいにコヨウテもシュンライ国のスパイで、ライガ暗殺の為にライガと結婚したのにライガに懐柔されてシュンライを裏切ったとしたら……あの新婚旅行のメチャクチャぶりにも説明がつくと思わない!?」

「……はい! 最初だけメチャクチャで、途中から落ち着いた事に説明がつくと思います!」

「コヨウテも4人目の奥さんみたいに結婚してからライガに惚れて、それで、病死したのもひょっとしたらさ!」

「4人目の奥さんみたいに死んだふりをしたのかも!」

「ニコの考えた4人目の奥さん生存説が、ライガ国の歴史を覆す大発見に繋がるかも知れない! もう居ても立っても居られない! ニコ! 朝飯1人で食える?」

コヨウテ神話の再解釈を上手くやれば、ニコの考えた『ライガの4人目の奥さん生存説』はライガ神話とライガ国史の研究のキーポイントになりうると説明出来そうだ!
次の学会までにどうにかこうにか体裁を整えられたら、ニコと俺の共同研究として発表出来るかも知れないな!ニコはすごく嬉しいだろうな。嬉しすぎてニコニコになるかも知れない。ニコは俺と一緒が大好きだもんな~!

ニコの為だ!

急いでコヨウテの研究書を探しながら、頭の中で話の続きを組み立ててみた。

「つまり……ライガには元スパイの奥さんが2人いた。ライガは……コヨウテと4人目の奥さんを同じ場所に隠したのかな? いくらライガにデリカシーがなくても、2人の奥さんを同じ場所に? まさか戦地には連れて行けないだろうし……いや連れて行くか……強ければ全然……愛する獣人でも……いや、愛すればこそ……愛しているから……ライガを奪い合う2人の女性が争うように武勲を立てたら、それはライガの侵略だって上手く行くよな!? なあ、ニコ~!? そうだよな、ニコ! 女性は……すごいもんな!?」

危うく「女性は怖いもんな!?」と言いかけた。危なかった~!女の子のニコ相手に言う事じゃない。でもニコは本当に賢いから、俺の言いたい事くらい簡単に見抜くかな?

心配になって、また横目でチラっとニコの様子を伺った。

「……ミスミ先生……ミスミ先生!」

可愛いニコが、これから火事場に飛び込んで逃げ遅れた俺を救いたいけど火の勢いが凄すぎて怯みながら俺を呼んでるのかと思うくらい、深刻で怯えた目をしてる!!
どうしたんだ~!?

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↑ミスミが思っている程の目はしていない。
イラスト@よるつきちゃん✨加工は麻衣です!


勢い良く本を本棚へ押し込んで、その勢いのままニコの隣の椅子へ身体をねじ込んだ。

「ごめん、ごめん! どうしたの!?」

「あの、僕、考えが……あります!」

ニコに考えがある!?

ニコは俺と一緒になって、コヨウテについて考えてくれてたって事……!?

…………ニコ…………!!!

やっぱりニコは俺と共同研究がしたいんだな!それがニコの幸せだって俺には分かっていた……。
つまり俺は、自分で思っているよりも遥かにニコを理解しているのかも知れない。そうだったのか~!!女心は、惑星最初の生命の誕生あるいは生命が意識を持つ事と同等かそれ以上に複雑かつ偶然を孕みすぎている事象だから俺程度の頭脳では到底到達し得ない真理の1つだと完全に確信していたけど、ニコは女の子だけどニコだもんな!
もうちょっとニコ学に自信を持っても良いかな?ニコ学は、神話学に次ぐ俺の専攻分野だし。

ニコは考えがあるらしいのに目を伏せて、恥ずかしそうに頬を赤くした。
閃いたばかりの考えを口にするなんて軽率な行動には、抵抗があるのかも知れない。本当に思慮深くて流石はニコ!と感嘆する態度だけど、ニコのアイデアはいつだって光り輝いているんだから遠慮しないで何でも話して欲しい!
ニコの気分が盛り上がる事でも言って、発言を促そう!

「ニコ! ニコは可愛いけど、それだけじゃないもんな。神話の神々に愛された、神話の申し子だもんな。その叡智が導き出した光り輝くアイデアを俺にも教えてくれる? どうしても知りたいんだ!」

「あ、の♡ あの……はい♡ コヨウテの秘密は……学校の図書室に、隠されているかも……!」

「流石は俺の女神! 今までノーマークだったコヨウテの資料のありかさえ、神話を詳らかにするその千里眼でお見通しって事!?」

「そ、の……えっと……はい!」

「それなら今すぐ食って、今すぐ学校へ一緒に行かなくちゃな!」

なら朝飯をやっつけないと!
そう思ってテーブルを見たら、

「ニコの茶粥が全然減ってない!」

両手でマグカップを待って大事そうにお茶を飲んでいるから、てっきりもう食い終わって食後のひと時を楽しんでいるとばっかり思ってた!
ニコは1人だと朝飯が食えないって事?……ニコって……本当に……可愛いな~!!!
仕方ないんだよな~!!カトゥがニコを庇ってうっかり死んでから3カ月も経ってないもんな。仕方ない!ニコだって本当は1人でパクパク食いたいだろうけど、まだ時期が時期だもんな~!うんうん!
俺が上手い事やって、食わせないとな!

「もしかして熱かった? ふーふーする?」

「お願い、します……♡」

「いくらニコが惑星の冒険家でも、茶粥は1人じゃ食いづらいもんな? ごめんな~ニコ~♡ もう熱くないよ~? あーーん♡」

「いただきます……」

「美味い?」

「うにゅ~~♡」

ニコは茶粥を頬張ったまま、ニコニコ笑って甘え鳴きをした。「とっても幸せ♡」と言っているように見えた。

……俺が火柱を上げてカトゥが火傷した、あの日。

俺もカトゥにこう言いたかったのかも知れない。とっても幸せ、って。

あの日、言葉に出来なかった気持ちに、ニコのお蔭でやっと名前がついた。名前がついたら、この気持ちはきっとカトゥに伝わっていただろうなと思えた。だってカトゥも、俺の笑顔をいつも見ていたんだ。俺がニコの笑顔をいつも見ている様に。

「……そっか。良かった~」

良かったけど……肝心のカトゥが死んで、もうどこにもいないのに怒りが湧いた。だからって怒りのままに暴れて泣き喚いたらニコが心配するから、毛布を干した寝室の窓を睨みつけた。

カトゥが交通事故ぐらいで死んだせいだ……。だからスポーツジムに通って体を鍛えておけって、あんなに言ったのに……。
窓の外を睨んだせいで、好天に目が痛んだ。腹が立つくらい天気の良い朝だ。

そうだ。今は朝だ。【ミスミ朝の陣】の真っ最中だ!

「……あれ!? 今日の給食の献立って何だっけ!? 茶粥じゃない!?」

「あの、クリームシチューとパンとフルーツサラダです」

「そうだった! クリームシチューも美味いよな~♡ 今度作ってみようか? クリームシチューって好き?」

「にゅ~♡」

「幸せそうな顔して~! 可愛いな~♡ ニコの好物なの? クリームシチュー」

どんなにやる事が多くても、どんなにカトゥに腹が立っても、いつだってニコは可愛いな〜♡

ニコの可愛いほっぺたをぶにぶに押したら、ニコはまたニコニコ笑って甘え鳴きしてくれた。やっぱり「とっても幸せ♡」と言っているみたいだ。
可愛いすぎて癒しすぎて抱きしめて駆け回りたいけど、掛け時計を見たらもう結構な時間だ!いい加減に家を出ないと、またミモザから「ミスミの方がニコの足を引っ張ってる。保護者はどっち?」と的確に叱り飛ばされる!

🐯(ミスミ)「ミモザは、ニコの担任の先生をしてる時だけ俺に厳しい。真面目だよな〜」

イラスト@かよんちゃん✨加工は麻衣です!


けどミモザから叱られるのは俺だけで、ニコは叱られないから別に遅刻しても良いか。ちゃんと食う方が今のニコには大切だ。そうだそうだ。ニコのQOLを思えばそうだ。
だから、紅茶粥を最後の一粒までかき集めて、丁寧にニコの口へ運んだ。

ニコはニコニコ笑顔で茶粥を食べて、最後の一口をごくんと飲み込んでもニコニコ、ニコニコしていた。とっても幸せそうで可愛いな~!!

ニコがあまりにも可愛いお陰で、怒りは完全にどこかへ消え去った。小さくて可愛い頭につい手が伸びて、元気な髪を撫でていた。

「とっても可愛いな~♡ とっても幸せなの? ニコニコして♡」

「あ、の、はい♡ あの、歯みがきして、そろそろ出かけなくちゃ!」

「張り切ってるな~! 学校が楽しみ?」

「はい! ごちそうさまでした!」

可愛いニコが可愛くグーを握って、椅子からピョンと飛び降りて、たたたっ!と洗面所へ走って行った。グーを振ってシッポをピンと立てて走るなんて可愛いな~!ニコは可愛いな~!!
本当に、何をしても可愛いなあ……。

俺もあれくらいの年の頃は、カトゥに可愛く思われていたかな。

いや。ぼんやり過去を懐かしんでいる場合じゃない。ニコが学校に行きたがってるんだから、遅刻しないように早く行かないとな!
窓に干した毛布を取り込もう。

慌てて席を立って、寝室へ駆け込んだ。毛布は随分幸せそうに、眩しい朝の光を浴びていた。

「やっぱり数十分でも干すと違うな~!」

幸せそうになった毛布を抱きかかえたら、良い匂いがした。気分が良くなって、窓の外の明るさに感謝の眼差しを向けた。

……あれ?

今、カトゥがこっそり家に来て、庭を横切ったような気がした。このまま待っていたら窓を覗き込んで、俺の部屋へ転げ落ちて来る気までした。

カトゥはもういないのに。

………….。

なら……別にいつだって良いよな。

どこに行っても本人がいないなら、俺が伝えたい時に伝えたい事を言って構わないはずだ。
もういないから……「嬉しいな! だが、改まってどうした? また台所の何だか不明なスイッチを押して、火遁の術を発動したくなったのか?」と笑われる心配も「勿論知っているよ。ミスミは全てが顔に出るからな。そもそもミスミは子虎の頃から……」とか何とか言われて、辱められる心配もない。

誰もいない、眩しいくらい晴れた庭へ向かって、そっと口を開いた。

「……とっても、幸せだよ。……カトゥは……優しい……」

「や~~い! ブラコンミ~スミーー! 言ってやろ~♪ 言ってやろ~♪」

間違いなく誰もいないと思ったのに、よりによって噂好きの茶色いバッタが毛布に乗っかっていた!!しかも涙がバッタを爆撃しそうになったから、勢いをつけて毛布をベッドの上に放り投げた。

「ヒューー♪ 今日も面白いねー! ミースミ~♪ ブラコ~~ン!  今日の噂話はミスミのブラコンで決まり!」

「水遁の術をくらわせてやろうか!?」

「酷い事言うんだね? あ〜あ。バッタのティーパーティだけで収めてあげられなくなった。ダンゴムシの集会でも暴露しないとね〜!?」

「ダンゴムシにも!!?」

ダンゴムシは一度面白いと思うとしつこいのに!?

……カトゥがまだ32歳なのに死ぬから、こんな事になるんだ!!
覚えてろよ、カトゥ!!
後、もし今日も【朝の陣】に敗れて遅刻してミモザから叱られたら、絶対にカトゥのせいだからな!!?







画像4
🐯(ミスミ)「カトゥは花を踏まないように気をつけて、庭を横切ってた」





【挿絵をありがとう!!】


よるつきちゃん

ミスミも殿下(ユエン)が大好き!!!
🐯「俺の言う事を全部聞いてくれそうで良いよな〜」



かよんちゃん

モッコウバラの絵!! ミスミもモッコウバラが大好き!!!
🐯「モッコウバラの花言葉は、幼い頃の幸せな時間らしいからさ」









うわ〜〜〜〜い✨✨

なんと! ここまで読んで頂いて、本当にありがとうございました!(´;▽;`)!


こんな下の方まで見て下さるのは
きっとミスミが大好きな方だと思うので!!!



*オマケ*


ミスミの声っぽい動画

ミスミってこんなに高い声なんだ!!?
と思ってから
もう一度『なんのスイッチ?』を読むと、ミスミの長い神話の話がスッと頭に入って来るかも知れません!




『ミスミ先生の犠牲になります』 第2話に続く!!!





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