ただのゲス男で片付けられない「エゴンシーレ 死と乙女」

以前からちょっぴり気になっていた映画を鑑賞。わたしはアーティストをモデルにした作品が好物の一つだし、エゴン・シーレの作品にいくつか印象に残っているものがあったからだ。大好きな画家ではないが、その才能には衝撃を受けた記憶がある。特にデッサン!デッサンを見るとその人がどれだけ才能に溢れているかが分かるときがある。

 スキャンダラスな28年間の人生。なんとこの天才画家は流行り病「スペイン風邪」で第一次世界大戦中に亡くなった。この作品は、彼の芸術活動を支えた女性たちとの物語。
何がスキャンダラスかというと・・

①妹ゲルティとの近親相関的と言えるかもしれない愛。妹は兄のヌードモデルとなっている。ここでもう拒絶反応を起こす人もいるみたいだけど。

②アフリカ系の踊り子(卑猥なショーに出演)モア・アンドゥとの関係。彼女をモデルに美しい色彩の絵を創造。

③支援者のクリムトのモデルだったヴァリとの関係。彼女はエゴン・シーレのミューズとも言える女性。結婚はしないで同棲生活を選ぶ。代表作「死と乙女」その他多くの作品のモデルとなる。性をテーマにした多くの作品は当時大変センセーショナルだった。

④ある少女モデルの告発がきっかけで、少女をモデルに性的な作品を制作していたことが発覚し、逮捕される。

⑤ヴァリと深く結びついていながら、中産階級の姉妹と関係し、そのうちの一人と結婚する。それだけでなく、結婚後も関係を続けることをヴァリに提案する。傷つくヴァリ!(ここで、このゲス男!とわたしも心中穏やかではいられなかったが・・)何故か許してしまうのは、エゴン・シーレを演じたノア・サーベトラの美貌と愛さずにいられなくなる仕草とか表情のせいかも・・。

⑥エゴン・シーレを愛し支えたヴァリは失意の挙句従軍看護師として戦地へ行き、23歳の若さで病死する。うう・・・( ノД`)シクシク…

⑦妻エーディットはお腹に子を宿したまま、エゴン・シーレより少し早くスペイン風邪で亡くなった。・・・ああ、みんな早く死んでしまった。

 芸術のためなら何でも許されるなんて思っていないけれど、多くの女性を虜にしたエゴン・シーレには、相当の魅力が備わっていたらしい。(写真や自画像ではいま一つ伝わってこないけれど)そんなエゴン・シーレを描きたかった映画なのだと思う。

 そういう意味では、ゲス!と罵声を浴びせつつも、やはり彼を愛さずにはいられない自分に気付くのだ。主演のノア・サーベトラはともかく・・やはりエゴン・シーレの作品はすごい!
 そしてエゴン・シーレと彼の芸術について調べ始めている。