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脆い夜は

張り裂ける 私はザラザラした堅いスポンジの上に放って置かれたままだ しんとした音にたまらなく血の気が引くから 耳の穴にイヤホンをぴっちりと詰め込んだ 鼓膜に雑な笑い声が意味もなく響き刺すので 今にも耳の骨ごと鬱血しそうだ 頭の髄に稲妻が刺していて、それが神経を通って網膜を裂きに来た 張り裂ける 掬い落とした1滴で、私のこれからは崩れていく 掬い落とした1滴で、このまま私は消えていく パァンと割れて 跡形もなく

    • 夢とうつつ

      頭がぼうっとする 原因は二酸化炭素量の多いことと、異世界を脳がさまよっていたからだろう 遠くで救急車の音が鳴って、次第に空気中に消えていった 本を読んでいた 今日でおそらく10冊分ほど読んだだろう まだ脳がゆめをみているようだ 花達と一緒に異世界をさまよっている 立て続けになって読んでいたからか、起き上がるのもだるいくらいに口の中が乾いていた よくあることなんだ 私の悪い癖 ほうっておいたら、干からびて死んじゃうよ! 誰かに小さい頃よく言われていた気がする

      • noteで良かったこと

        noteは多分、狙いすぎた文章にはいいねがつかない 自分の中で毎日風の如く顔を出す、わりと他人にはどうでもいいだろうと思えるグダグダした思考が(思考と呼んでいいものかすらわからないが)、だだもれしたnoteの方が、実は需要があるのか。 私が考え抜いた3時間の大作よりも、30分でどんどんたらたら書き連ねた、ただの胸の内の方がスキと言われる。そういう世界なのかもしれない。

        • はじめましては難しいが、自由でありたい

          心がもやもやする 情報量が多いとすぐ私の頭はパンクしそうになる 心理学検定の勉強 久々に机に向かって夢中で考え、紙にがりがりとインクの跡を残していく 非常に楽しいものだった。どういう風に紙とペンを使えば効率よく頭に残るだろうか、理解できるだろうか。そう考えるのが実は好きだったのかもしれない 大問1の答えだけつらつらと書き連ねていく高校までの勉強は退屈で実につかれるものであった。途中でこれは続ける意味なんてあるのだろうかと我に返り、ペンを放り投げてスマートフォンを手に取り

        脆い夜は

          エッセイ:光に愛を乞う

          毎朝9時に飼い犬の散歩に出かける これが最近コロナ渦中の私の日課だ いつも通りの道、いつも通りの歩幅 そして行く先々に根を張り、キラキラと日に照らされた彩度の高い緑たちが、足元から「今日もいい日差しだね」と目を瞑りながら歌いかけてくれた。いつも通りの交流だ。 本日、ある靴に出会った 漁業用のブーツだろうか、作業用らしき靴が道端に放り出されていた 勢いよく飛ばされたのだろうか、ひもの緩んだ左足は綺麗に行き倒れていた 右足はというと、驚いたことにソールだけが取り残さ

          エッセイ:光に愛を乞う

          エッセイ:コロナ禍で見つけたもの

          学校の授業がオンラインになった 私は家から出なくなった 人と話さなくなった というより自分が言葉を話さなくなった だからなのかな 体の胸のあたりがもやもやしていて 息をひそめる様に 一人の部屋で 目的もなくネットの中をさまよっていた こんな生活じゃダメだ 死んでしまう 心が死んでしまう 必死の叫びに私の中の怠惰も折れたようで 久しぶりに飼い犬の散歩に出かけた。 10歳の時に飼い始めたトイプードル 中高と部活に打ち込んでいた私は 心と体力の余裕も無く いつの

          エッセイ:コロナ禍で見つけたもの