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第428話 トヨエツさんが最高! ドラマ『愛していると言ってくれ』の名言

再放送された、名作ドラマ『愛していると言ってくれ』を観て、思い出したことを書きます。

◆前提

ドラマ『愛していると言ってくれ』が再放送され、それを、ゆかりちゃんが録画してくれた。

豊川悦司さんのカッコ良さが半端なかった。

『愛していると言ってくれ』は、1995年7月7日から9月22日まで毎週金曜日22:00 - 22:54に、TBS系の「金曜ドラマ」枠で放送された日本のテレビドラマ。主演は豊川悦司と常盤貴子。 引用:Wikipedia


なので、このドラマを知っている方は問題ない。

だが、ご存じない方とも、ホンの少しだけ、前提を共有させていただきたいのだ。

① アイキャッチ画像がリンゴの理由
このドラマは、木に実っているリンゴから、出会いと恋が始まる。

② 主題歌はDREAMS COME TRUEの「LOVE LOVE LOVE」
この主題歌が凄くイイのだ。挿入歌でもあり、泣けるのだ。
この名曲をご存じない方は、ぜひ動画を観てほしい。それから記事を読んでいただきたい。



◆ねぇどうして 21時になると眠るんだろう

ゆかりちゃんが、録画したらしい古いドラマを観るという。

「これ、じょーじが『好き』って、言ってやん~」

・・・。

思い出せない。

僕は、トヨエツこと、豊川悦司さんが大好きだ。

それは、ゆかりちゃんに何度も語った。

僕の【名作映画ベスト10】に、常にランクインしている『12人の優しい日本人』のトヨエツなんて、もう~、最高なのだ。
当然だが、この映画のレンタルDVDを借りてきて、ゆかりちゃんと一緒に観たこともある。(ゆかりちゃんは途中で熟睡したけど)

トヨエツはカッコイイ。

これ ↑ が、僕がトヨエツの大ファンである理由だ。

僕は、ゆかりちゃんに、
「このドラマ、・・・観たっけ?」と、疑問を投げかけた。


「一緒に観たよね!」

と、ゆかりちゃんは言う。

僕は常盤貴子さんが主演のドラマは、一度も観た記憶がない・・・。

* * *

ドラマ『愛していると言ってくれ』は、1995年のドラマらしい。
1995年といえば、僕が仕事に熱中し、かつ、没頭していた、ワーカホリック時代だ。

トヨエツの演じる主人公は、ろう者で、耳が聞こえない。
Wikipediaでそんな情報を得たが、それでもまだ僕は、このドラマの何も思い出せない。

一昨日、このドラマが3話連続で放送され、ゆかりちゃんは、それを録画したらしい。

ゆかりちゃんはソファーに座って、
さあ、このドラマに没頭するぞ~! という体制に入った。

ゆかりちゃんの姿勢からは、そんな気合が感じられた。

* * *

僕は最近、ほとんどドラマを観ない。
ドラマは中毒性が高く、たくさんの時間を奪われてしまうからだ。

この時僕は、ダイニングテーブルで、このnoteを書いていた。第149話だった。

3話連続のドラマで、まだ1話が始まったばかりなのに、ゆかりちゃんは早くも舟をこぎだした。

21時頃になると、ゆかりちゃんはいつもこうだ。

「いったん、再生を止めたら?」と、僕は声をかけたが、ゆかりちゃんは、あっさりと睡魔に降伏し、ソファーに横たわった。

名作ドラマが、ゆかりちゃんの『子守歌』に成り下がり僕には『BGM扱い』されている。

わが家の、名作ドラマの扱いが、ちょっとひどすぎる。


◆ねぇどうして 僕は涙もろくなったんだろう

ドラマの、1話のラスト。クライマックスシーンだ。

ドラマの制作者や関係者って、凄いと思う。

僕にとってはBGMと化していたのに、ちゃんとクライマックスでは、
【観なきゃ損ですよ感】
【ココ!めっちゃイイとこですよ感】を、ガンガンに伝えてきた。

ただならぬ気配で、僕はドラマに視線と意識を向けた。

以下は、そのドラマのワンシーンの描写だ。

線路越しに、上りと下りのホームがある
線路越しに、トヨエツと常盤貴子が手話で話す
うまく伝わらない
電車がホームに近づく
常盤貴子がダッシュする
くぐって、反対のホームへ向かう
反対のホームに着くと同時に、電車が去ってしまう
常盤貴子が崩れ落ちるようにしゃがみ込む
が、
トヨエツが遠くにいる
トヨエツはホームに残っていた
電車をやり過ごしてくれていた
常盤貴子がそれに気づく


僕は、号泣。

カッコええ~~~! 

トヨエツが最高にカッコイイのだ!

なんで、この程度に号泣? 思わず自分で自分にツッコミを入れる。

結局、ちゃんと見るしかないではないか!


◆ねぇどうして ゆかりちゃんは爆笑なんだろう

ドラマは2話になった。

冒頭で、1話のラストシーンを繰り返している。

何度でも泣ける。それまでのストーリーがわからなくても泣ける。

クライマックスの【観なきゃ損ですよ感】【ココ!めっちゃイイとこですよ感】のパート2だ。

そのすごさは、21時の眠り姫さえ目覚めさせたのだ。

ここから先は、ゆかりちゃんと一緒にドラマの続きを観た。

また電車が来る
トヨエツは「約束する」と伝えたいが、伝わらないのであきらめる
常盤貴子がメモを探す でも時間がない 電車はすぐそこまで来ている
トヨエツが何かをひらめく
そして小指を出す
ゆびきりげんまんだ 
二人は小指をからめ げんまんをする 無言で
場面が変わる
電車の車内 常盤貴子が1人だ
1人になった常盤貴子は、小指を愛おしそうに握りしめている


常盤貴子がキュンキュンしているのがわかる。

(そうか~)
(ならば・・・)

僕は、右手をグーの状態から小指だけをピーンと伸ばして、ゆかりちゃんの顔のまえに差し出した。

「にゃははははは~~~!」

ゆかりちゃんは常盤貴子と違って、爆笑した。


◆ねぇどうして 脚本家ってすごいんだろう

このちょっと後に、トヨエツの、心の声がナレーションされた。

耳が聞こえない僕は、
その分、人より分かるようになってしまったことがある。
例えば、
人の悪意。人の敵意。人の同情という名の優越感。人の嘘。
そんなものばかっかり敏感にわかるようになってしまったのは、
弱い人間になった証拠なのかも知れない。


名言だと、僕は思う。

僕は、この名言をきっかけに、とある家族を思い出した。


◆ねぇどうして 僕は仕事がメッチャできたんだろう

1990年か1991年。このドラマがリアルに放送される数年前だ。
僕は大学受験業界で営業マンだった。受講生の獲得が仕事だ。

両親ともに聾唖者(ろうあしゃ)の家庭。
子どもは3人で、みな健常者。
その長女が、高校2年生だった。

講座の説明を行なう前夜、僕は「決して同情しない」と、心に決めていた。
安っぽい同情は、絶対にしてはならない。
おそらくそれは、タブーの筆頭だ。
どこにでもいる安っぽい大人になってしまう。

まだ24歳の僕が、そう自分に言い聞かせた。

同情しないと決めただけではなく、逆に、もし高校生が、
「両親が障害者だから」
などと言って、努力から逃げる言い訳をしようものなら、真剣に叱ろうと、そんな覚悟までした。

結果それは、いらぬ心配だった。

素敵なご家族だった。

高校生の女の子は、長女ゆえの苦労を、いくつも乗り越えてきたのだろう。努力家で、親思いで、弟たちにも優しかった。

ご両親はご両親で、そんな長女を100%信頼していた。
長女の希望なら、何の吟味もいらない。
応える。
叶える。
そういう姿勢がご両親の、身体からあふれていた。

ご両親への説明は、長女の手話で通訳してもらい、重要なところは、僕が筆談を駆使して、丁寧に説明した。

ムードも良く、入会登録は間違いない。

それなのに長女とご両親が、お互いに何度も同じ手話を繰り返す。

何度も何度も繰り返す。
入会する・しないの議論とは思えない。

しばらく待つが、延々とご両親は、同じ手話を繰り返し続ける。

あまりにも時間が経過したので、僕は長女にたずねた。

「この手話」(手振り)
「これって、なに?」、と。

何度も同じ動きをするから、その場で、その手話の動きを真似することができたのだ。

長女は、

「お金のことは気にするな、です」

と、こたえた。

僕は、泣きそうになった。

長女は、費用の安いコースでいいと、両親に説明した。
僕のお薦めのコースでもある。
ベストのコースなのだ。

それに対し両親は、「どうせなら1番高いコースにしろ」と、かたくなだったのだ。延々と「お金のことは気にするな」と言っていたのだ。

僕は、あらためてそのコースがベストなのだ、遠慮してそのコースではないのだと、両親に筆談した。

ついでに記すと、その長女は、その子の高校からは合格者がめったに出ない、公立大学に現役合格した。


◆ねぇどうして 記憶って曖昧になるんだろう

僕が、「へたな同情などすまい」「同情はタブーだ」と、そう思うに至ったのは、おそらくは本のおかげだ。

障害者の声として、「1番イヤなのは同情」と知ったからだ。
そして、「確かにそうだろう」と、僕は深く納得もした。

僕自身、同情が嫌だった経験もある。
親切のように見えて、実は「親切してますアピール」なだけだったりとか、優しいように見えて、実は見下している人とか。
そんなことを感じたことがある。

正直に告白すると、残念ながら、僕が行なったこともある。

ともかく僕が、「偽善を慎もう」と思い、
「同情と優しさは似て非なる場合がある」と、
そう考えるようになったのは、たくさんの本を読んだおかげだ。

この教えは、【誰かに聞いた】という可能性もあるが、本で得た知識である確率が高いと思う。

その本が、何という本だったのかを思い出せないのは、かなり悔しい。


そして、僕以外にももう1人、記憶が曖昧になっている人がいる。

ゆかりちゃんだ。

僕は、どう考えても、
このドラマ、『愛していると言ってくれ』を観たことがない。

こちらは、悔しいというより、なんか複雑な気持ちになる。

ゆかりちゃんはいったい、誰と僕とを、ごっちゃにしてるのか?

誰と観たのか?


でも僕は、そんなゆかりちゃんが大好きなのだ。






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